(Q2) Aさんに昨日の「パターン1」での解決を説明しましたが納得できないようです。
「自分が悪くないのに、自分の保険を使って解決することは理不尽だ!何より無保険の上、まったく責任を感じていないBさんを許せない!」
一生残る後遺障害となってしまった以上、Bさんを訴えることにしました。
そうなると、D損保の立場も含め、どのような流れになるのでしょうか?
(解決パターン2)人身傷害特約か無保険車傷害特約か?保険金の請求先の選択で大変な損得が生じます。
① 取りあえず、治療費、休業損害はD損保の人身傷害特約に対し、月ごとに請求します。
② 治療終了後、後遺障害10級が認定されました。そしてE弁護士に依頼し、通院分の慰謝料、後遺障害の慰謝料と逸失利益をBさんに訴訟にて請求します。
③ 判決で損害賠償金2000万円が決定しました。しかし当然Bさんはそんな大金など払えません。
④ そこでAさんとE弁護士はD損保の無保険車傷害特約にその賠償額を請求します。
⑤ D損保は、無保険車傷害特約からではなく、「自社の人身傷害特約からの基準額である800万円までしか払えない」と回答しました。
⑥ しかしE弁護士の保険金請求訴訟をも辞さない再三の請求にて、D損保は渋々、無保険車傷害特約から判決額の2000万円を支払いました。
⑦ D損保はCさんの自動車の自賠責保険に人身傷害特約と無保険車傷害特約で支払った分を求償します。D損保は自賠責保険の限度で後遺障害保険金461万円と傷害険金120万円を取り戻しました。残り1419万円をBさんに請求をかけましたが・・・・Bさんは行方をくらましました。回収は諦めざるをえません。
このように請求先の特約によって解決パターンが二つ存在し、1の人身傷害特約では800万円のみ、2の無保険車傷害特約では2000万円と受け取る額が倍以上違ってしまいます。つまり保険金の算定基準が同じ実額でも、「(無保険車傷害特約の)裁判基準」か「(人身傷害保険の)保険会社基準」かで莫大な差がでてしまうのです。
保険会社との相対交渉では、ほとんどのケースで1の解決となります。当然ですが、保険会社は無保険車傷害特約を使ったパターン2など支払い金額が増えて困るからです。なるべく1を推奨します。2は・・絶対に「教えてくれません」。 このように請求する保険の支払項目が「だぶる」ことではなく、支払い基準がダブルスタンダードであることを大問題と認識しているのです。(ここで洒落を入れるか?) これが言いたいがために長文になりました。 つづく