人身傷害保険について基本的な内容、特徴を抑えましょう。この保険を理解しないと明日以降わからなくなってしまいますよ。
 

補償内容

 人身傷害補償保険では、けがによる治療費の実費や、働けない間の収入、精神的損害を幅広く補償します。また、会社によっては自動車による事故だけでなく、犯罪被害事故の補償もカバーします。

 

1、契約している自動車に乗っている時に事故に遭い、ケガをした。特約によってこの1の補償のみに限定することができます。

 

2、他の自動車に乗っている時に事故に遭い、ケガをした。(ただしその車についている人身傷害保険が優先的に適用されます)

 

3、歩行中、自転車搭乗中に自動車との接触事故に遭い、ケガをした。

 

4、バスや電車、船、飛行機等の交通乗用具に搭乗中、ケガをした。なぜかエレベーター搭乗中も含みます。

 

  以下は保険会社によって補償されます。 

 

5、 犯罪に巻き込まれてケガをした。強盗、通り魔など、身体的に害をなす目的で暴行を受けた場合です。この補償が損保ジャパンの人身傷害保険の特徴です。

 

6、 自転車走行中、自転車や人と衝突、もしくは単独で転倒してケガをした場合。

 

 ※ 6は元々すべての会社の補償内容に含まれていましたが、昨年、東京海上日動さん、損保ジャパンさんが約款改定をおこない削除しました。どうも支払が多く、不正請求も多かったので収益が悪化したようです。

 

  現在、三井住友さんは堅持していますが、各社削除の傾向です。

 

 

補償される被害者の範囲と支払い項目

 
1、契約本人

2、契約者の配偶者、子、同居の親族(配偶者の親族も含む)

3、契約者の別居の未婚の子。(例)通学の為に下宿している子。子の定義は何歳になっても婚姻歴がなければOKです。

4、契約自動車に搭乗中の他人(盗難等で運転を除く
 

■ 保険金お支払いの対象となる損害

1、治療費などの実費

2、休業損害

3、精神的損害(慰謝料)

4、後遺障害を負った場合、その慰謝料と逸失利益

5、将来の介護費
 

特徴~普通の傷害保険との違い

 
1、実額補償

 普通の傷害保険のように通院1日5000円、と最初に決めて契約するのではなく、支払い限度額だけ決めて契約します。その限度で実際にかかった治療費や休業損害、その他費用が保険会社の認定範囲で支払われます。慰謝料や逸失利益は保険会社の認定基準で計算されます。
 

2、全額補償
 
 自分にも事故の責任があり、相手から全額の賠償を受けられない場合、この保険で差額の支払いを受けられます。またケガをした人の過失割合に関係なく先に請求すれば、対象となる項目の全額が支払われます。

※ その保険金の支払いは示談交渉の終了を待たずに行われます。相手の過失分については、保険会社が後で求償(取戻し)をします。特に、相手に自賠責保険があれば真っ先に回収を図ります。
 

3、差額てん補
 
 他の保険から先に支払われた金額があれば差し引きます。契約者が健康保険を使用できる場合、自己負担となった分を支払います。労災で休業損害が支払われた場合も、全額の休業損害に足りない差額分を支払います。相手からの保険金(自賠責などの賠償金)、金銭を得た場合、足りない分や自分に過失があった等で減らされた分を人身傷害特約の基準額を限度に補てんします。

※ 約款には「なるべく支払の軽減につとめてね」と書いてあります。つまり労災や健保などを使った上で人身傷害特約を請求することを奨励しています。

※ 搭乗者傷害保険など自分で掛け金を支払った任意契約の傷害保険、生命保険は当然重複して支払われます。
 

4、広範囲な補償
 
 補償内容の通り、車に乗っている時以外でも補償が及びます。自動車とぶつかった事故なら歩行中、自転車搭乗中でも補償されるので、相手が無保険もしくは支払い能力がない場合の被害事故でも安心です。

 
 以上、夢のような全額補償保険としてアメリカから輸入された保険です。しかしこの「アメリカ(の制度)から」が日米の交通事故賠償の土壌に違いがあるため、後に問題となります。これは明日以降に。