脳に損傷を受けたり、頭蓋底骨折(脳の下とあごの骨の間にある薄い骨)があると、視覚、嗅覚、味覚、聴覚などに障害を起こすケースがあります。脳そのものの損傷の場合、それらの感覚を認識する「回路の故障」です。頭蓋底骨折の場合は、その周辺部において、脳から通じる神経が切れたり、損傷を受け、神経伝達が絶たれる事を原因とします。これは「ケーブルの断線」ですね。
いずれも眼科、耳鼻咽喉科にて受診し検査をします。回路の故障かケーブルの断線か、原因の特定は脳外科ですが、匂いがしない、味がわからないといった障害の有無、程度の検査はそれぞれの専門科になります。
味覚検査
1、電気味覚検査
まず首にアース極線の首輪をはめます。続いて舌の前後左右の表面に電極を当て、微弱な電気を流します。ピリッときたら手持ちのボタンを押します。「ピーッ」と鳴ります。このように舌の神経が生きているか否かを判別します。
こっちまでピリッとしそうです。最初は恐る恐る検査していた患者も徐々に慣れてきます。所要15分程度でしょうか。
2、ろ紙ディスク法
ピンセットの先の脱脂綿?に薬をつけ、順番に舌に当てていきます。そこで感じた味を申告します。これも舌の左右に分けて判定します。味を変えるたび、頻繁にうがいをします。
甘味、塩味、酸味、苦味の4種の識別です。回答には無味も含まれます。素朴な疑問として四川料理の好きな私は「辛みはないのですか?」と検査中の看護師に質問しましたが、「辛みはないです」と冷たくあしらわれました。
検査表はカラーで色を塗ったものや、下図のようなグラフを用います。
後遺障害等級
味覚の脱失・減退 |
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12 級相当 |
味覚を脱失したもの、 |
14 級相当 |
味覚を減退したもの、 |
これも味覚減退の程度を測る上では、電気味覚検査より、ろ紙ディスク法が適しています。味覚減退の種類・程度が数値化でき、具体的に障害の内容を説明することが可能です。
昨日から続く検査については色々なホームページや文献にて解説されています。敢えて取り上げなくてもいいのですが、見学や体験した報告はちょっぴり違うでしょ?