舟状骨々折(しゅうじょうこつこっせつ)

(1)病態

 交通事故では、バイクの転倒時に、足関節の捻挫に伴い、舟状骨々折を合併することがあります。舟状骨々折では、30%程度に骨癒合が不良で偽関節化することがあります。
 
(2)症状

 痛みと腫れ、皮下出血、足関節内側部に変形が見られることもあります。
 
(3)治療

 骨癒合はCTで検証しますが、3週間のギプス固定でも骨癒合が得られず、偽関節化しているときは、小さなスクリューで、内固定術が選択されています。
 
(4)後遺障害のポイント
 
Ⅰ. 転位の少ない単独の舟状骨骨折では、骨癒合が得られれば、後遺障害を残すことなく治癒します。痛みがあるときは、3DCTで変形骨癒合を立証し、神経症状で14級9号、もしくは12級13号の獲得を目指します。両者は残存する画像所見(変形や転移位)の有無で分かれます。

 足根骨全般に言えますが、12級13号となるような変形が残ると歩行に支障をきたしますから、およそ、手術での改善を図るはずです。したがって、術後の痛みや不具合から、せめての14級9号が多くなります。
  
Ⅱ. 医学論文を見ても、舟状骨の単独骨折は稀で、ほとんどが複合損傷です。
 
① 歩行中の交通事故で、右舟状骨体部骨折と右第2・3・5の中足骨骨折を認め,右足関節内果骨折を合併、
 
② バイクを運転中の交通事故で、右舟状骨体部脱臼骨折を認め、右脛骨顆間隆起骨折と左脛骨骨折を合併、
 
③ 建設現場で作業中に、鉄パイプが落下、右舟状骨結節部開放骨折、右第1中足骨開放骨折を認める、
 
④ 工場内で500kgの重量物が倒れ、受傷、左舟状骨体部骨折を認め、左第2~5中足骨開放骨折、左リスフラン関節脱臼、左足関節両果骨折を合併、
 
 こうなると、全体症状の経過を観察しつつ、後遺障害の立証を行うことになります。つまり、舟状骨骨折だけで議論しても意味がないことになります。
 
 次回 ⇒ 舟状骨裂離骨折