難聴には「感音性」、「伝音性」、「混合性」、「機能性」があり、後遺障害診断書では、「機能性」以外の3つしか記載がありません。機能性は心因性とも呼ばれ、詐病も疑われます。

 

1,感音性難聴とは、内耳やそれよりも奥の中枢神経に障害がある場合に起こるとされています。特徴としては、高音域の音が聞こえにくくなったり、複数の音を一度に聞いたときに特定の音を聞き分けることが困難になります。主な原因としては先天性や老化、騒音によるもの、薬の副作用、頭部外傷、メニエール病などが考えられます。感音性難聴は治療によって回復することがあまりなく、補聴器を使用しても聴力を補うことは難しいとされています。   2,伝音性難聴とは、外耳や内耳が正常に機能しなくなり音が伝わりにくくなるものをいいます。中耳炎など主に内耳の疾患が原因とされていますが、耳小骨の奇形など先天的な原因も挙げられます。特徴としては、耳の閉塞感や通常の音が聞こえにくくなる(ただし、大きな音は聞こえることが多い)といった症状があります。伝音性難聴は手術や治療によって回復する可能性がありますし、補聴器などを使用すれば問題なく生活できる方もいらっしゃるようです。   3,この感音性と伝音性の要素を持ち合わせているのが混合性難聴です。    4,機能性難聴とは、器官に障害がないにもかかわらず、聞こえが悪くなるものをいいます。不安やストレス、自律神経の乱れなどが原因とされていますが、よく分かっていないのが現状です。一過性のものが多いですが、投薬などで経過をみるしかないといったところでしょうか。    頭部外傷や側頭骨骨折等による難聴はありますが、頚椎捻挫で発症したというご相談も稀にいただきます。立証は非常に厳しいですが、初期から一貫していることや数値、事故態様により認定される可能性を秘めておりますので、諦めずに耳鼻科の受診をお勧めします。

 

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 最終回にして、この傷病名がでてくるとは・・・    最終話で、うつ病で現場を退いた院長先生(ヒロイン甘春先生の父)が久々に病院にやってきました。元気がないのは当然ですが、めまいで倒れました(正確には起立性頭痛かな)。その症状を診て、主人公の五十嵐放射線技師(実は医師免許を持つ)は、アメリカで類似の患者を診た経験から、「低髄液圧症候群」を疑います。簡単に説明しますと、外傷性のショックなどで後頭部の硬膜から脳脊髄液が漏れ出して、様々な症状が起きる症例と説明されています。ドラマ同様、うつ病と誤診されやすいようです。ただし、実際にそんな症状が起きるのか懐疑的な医師も多いようです。

 その後、MRI、脳シンチ検査を実施して確定診断となります。そこまでは良かったのですが、急遽、手術となり、なんと執刀を買って出たのは娘の甘春先生です。術式はブラッドパッチ(※)、甘春先生は放射線科医です。普通、放射線科医は手術をしません。まして、やったこともないブラッドパッチを行うなどありえません。さらに、あろうことか、助手に付いた五十嵐技師が手術を行いました。それが医師法違反と大騒ぎになる展開です。まぁドラマなので突っ込みを入れても詮無きことですが・・。   ※ ブラッドパッチ療法=硬膜外自家血注入療法。・・・脊椎の硬膜外腔に患者さんの血液を注入して、硬膜外腔組織の癒着・器質化(要するに血が固まる)によって穴をふさぐ療法です。これで、脳脊髄液の漏出を止めるのです。血液は20~30cc採血し、造影剤を加えてレントゲン透視下で硬膜外に注入します。都内では山王病院が有名ですが、実施できる病院は増えて、全国的に伝搬した感があります。    注目は、何と言っても最後の傷病名「低髄液圧症候群」です。ラスボスはこれか・・。数年前、この傷病名は「脳脊髄液減少症(CSFH)」でした。交通事故の相談会にやってくる被害者さんの10人に1人が、この傷病名を名乗ったものです。それが、ここ数年ピタッといなくなりました。不思議です。傷病名にも流行りすたりがあるのでしょうか。

 むち打ち、頚椎捻挫から、頚部に神経症状が発症した場合、単なる捻挫では済まず、治療が長引きます。症状として、頚部痛や肩~手指にかけてのしびれ以外に、頭痛、めまい、ふらつき、耳鳴り、不眠、疲労感、睡眠障害、生理不順、なんだか調子が悪い・・状態が続きます。これらを総称して「不定愁訴」と言います。不定愁訴が続くと、患者さんは長引く症状に、自身の症状は何か別の傷病なのでは?と不安に陥ります。そこに登場するのが、「脳脊髄液減少症」です。  

脳髄液の漏れ? かつて、お話を聞いた脊椎の専門医や脳神経外科医は懐疑的でした

   しかしながら、まだ完全に解明しきれていない謎の症例でもあります。現状、以下の通り診断基準が固まっています。それなりに珍しい症例であるはずです。数十名の「脳脊髄液減少症」とされた被害者さんを見てきましたが、1人もこの基準を満たす人がいませんでした。ですから、「脳脊髄液減少症の疑い」が正しい診断になります。それでも、一部の病院が、疑いだけで診断書を乱発したと思っています。    詳しくは ⇒ 続きを読む »

第9話:「肩関節亜脱臼による肩関節の動揺性をストレスXPで立証?」(秋葉が勝手につけかえたタイトル)  

 第9話も秋葉事務所の仕事と丸被りでした。前話で、転倒した甘春先生(本田つばさ さん)に対して、レントゲンに加え、頭部はCT検査、痛めた肩関節はMRI検査を行いました。その画像うを観た辻村先生(同僚の甘春先生に💗)は、MRIの矢状断から肩関節の亜脱臼と診断し、保存的治療で対処することを決めました。しかし、毎度のお約束で、五十嵐技師(子供の頃から甘春先生に💗)は、MRI画像からバンカート病変(※1)を疑い、ストレスXP(関節を引っ張って伸びた状態をレントゲンで撮る)もすべきではないか、その結果、損傷があれば(関節唇損傷・スラップ損傷※2)、肩関節の動揺性(関節が緩んでぐらぐらになってしまう)が後遺症として残らないよう、鏡視下手術をすべきと意見しました。それに対して辻村先生は、「技師が思いつきで言うな!(怒)」と拒否、読影判断をめぐる恋敵の対立となります(ヒロインの宿命ながら患者にとって迷惑な話)。   ※1 バンカート病変 ⇒ 肩関節 脱臼   ※2 関節唇損傷・スラップ損傷 ⇒ スラップとは関節唇の上部ことで、上腕骨が肩関節内で円滑に動くよう作用する軟骨です。これが、スポーツや事故での外力で、裂ける、剥がれる、あるいは骨ごと剥がれる(骨性バンカート病変)ことがあります。これらを総称してスラップ損傷と言います。肩関節脱臼の多くはバンカート脱臼かヒルサックス脱臼です。   ←関節唇(MRI・T1冠状断)

 結局、辻村先生はストレスXPをオーダー(撮影場面はなかったですが)、結果としてバンカート病変の診断から、関節鏡下手術(詳しく語られませんでしたが、手術場面から剥離した関節唇の縫合をしたと思われる)となりました。

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 一時期と違い、違法(弁護士法72条)ながら、行政書士がこそこそ賠償問題に介入するケースは減ったと思います。私どもは基本、弁護士と連携して業務を遂行していますので、その法律的な境界線は守っています。しかし、そもそも弁護士を介入できないこともあります。時に、保険会社の少ない支払い基準であろうと、相対交渉がベターとなるケースです。本件の場合も、事故状況はあいまいに、保険会社を刺激せずに穏便に進める必要がありました。それでも、綱渡りの進行で、依頼者さん共々神経をすり減らしました。

行書だもの(by ゆうじ)  

8級1号:視神経管骨折・失明/7級12号:顔面醜状痕(30代男性・千葉県)

【事案】

路上で横臥していたところ、自動車にひかれた。頭部は頭蓋骨骨折、急性硬膜下血腫との診断。顔面は右頬骨骨折により、顔面神経麻痺を併発、さらに、視神経管骨折により、片目を失明した。 続きを読む »

 昨日の内容を踏まえ、画像を観るに際して、「脳血管障害におけるMRIとCTの適用(以下の表)」がよく整理されています。おそらく、自賠責の高次脳審査会でも、顧問医は以下の原則から画像所見を確認しているはずです。

 救急搬送後の急性期、手術や緊急処置後の1週間後~3か月の亜急性期、その後の安定期(慢性期)と、経過から画像を追うと、選択された画像検査は以下のように、目的をもったものであることがわかります。  

(井田 正博 先生 他:脳血管障害 日本医師会雑誌2018:137(5)957-962より改変)

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 高次脳機能障害の認定要件として、意識障害とならび画像所見が挙げられます。他に脳外傷の診断名が必須ですが、診断名は画像所見があって付けられるものです。また、脳実質へのダメージで意識障害が起きますので、原則、脳実質への破壊なければ意識障害は起きません。したがって、脳外傷による障害の前提として、画像所見・意識障害・診断名はそれぞれリンクする関係で、3つが揃うことが普通と考えられています。ただし、脳出血(クモ膜下出血など)が消失して脳実質に器質的な変化(脳室拡大や脳萎縮など)がないケース、軽度意識障害(意識を失うまでもなく、もうろうとしているだけ、健忘が続く場合など)が、認定上、判断を難しくしていると言えます。    今日は脳損傷の画像を観るに際して、どの画像を参照すべきか、どのように観るか、その基本を復習します。今回は『高次脳機能障害リハビリテーション入門』を参照、抜粋しました。   【1】画像診断の観点

1、病巣の範囲はどこか?どの血管領域か?

 前頭葉なのか、頭頂葉なのか、または、中大動脈領域なのか・・・損傷部位と残存する症状に関連性があるからです。例えば、前頭葉の破壊は、注意・遂行機能、情動障害の原因病巣になります。局在性損傷(その部分に脳挫傷や硬膜下血腫あり)は、わりと一致する傾向です。びまん性軸索損傷の場合は、その点状出血が脳全体に散らばっている傾向から、症状や障害が多種多様となる覚悟しています。また、記憶障害はどの部位であっても見られる傾向です。

2、立体的に病巣範囲が構成できるか?

 画像を3次元でイメージします。私達はまず、矢状断と水平断を比較しながら脳外傷の部位を確認します。さらに、冠状断で奥行きのイメージに至ります。面ではなく、立体的に破壊された部分の大きさ・範囲を把握するのです。

 ※ 画像断について  

【2】画像診断に用いる検査

1、CT(computed tomography)

 急性期の脳出血、クモ膜下出血に有効。画像所見を確認する基本は、出血部位は脳実質と比較して高吸収域に描出され、脳梗塞の虚血性病変は低吸収域に描出されること。   2、MRI(magnetic resonance imaging)

 CTに比べ、骨のアーチファクト(レントゲン撮影時のノイズ、反射など)がなく、分解能がすぐれ、脳幹部や後頭蓋窩の情報が得やすい。  撮影法はT1強調画像、T2強調画像、T2スター、拡散強調画像(ディフュージョン)、FLAIRなど。

 私の場合、局在性損傷はT1,T2の矢状断と水平断を並べて病巣部を確認します。微細な出血、脳梗塞は受傷直後(急性期)なら、ディフュージョンの撮影の有無と画像に注目します。3か月以後はT2スターが頼りになります。T2スターなら、受傷2年後の点状出血も確認できました。また、経時的に脳実質の変化を追うに、FLAIR(フレア)を観ています。  以上は、脳神経外科の医師に教わったことですが、専門医はこれらを原則として、例外も留意しているとのことです。

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 病院との違いや、そもそも接骨院・整骨院(以後、接骨院とだけ表記)のかかり方について、誤解しがちと言うか、正しい知識が周知されていないように感じます。また、同じ治療機関でありながら、病院と仲が悪いように思います。双方の意見が耳に入ります。   病院「接骨院は画像を観ずに、施術するから・・どうかと思う」   接骨院「病院はレントゲン撮って、薬をだすだけ、これでは良くならない」    それぞれ、ごもっともな意見と思います。では、患者を前に双方敵対するだけ・・で良いのでしょうか。私は常々、こう考えています。    「連携治療」    やはり、症状の初期的な診断は医師がするべきです。長年の経験や勘で施術にあたる柔道整復師が多い中、それが正しいとしても、まずは、医師の診断を基に治療方針を検討すべきと思います。そして、徒手による筋肉の整復、過緊張の緩和などが効果的であると判断すれば、医師が接骨院・整骨院にコンサル(紹介)する流れこそ自然で、多くの患者にとって安心かと思います。実際、少ないながらそのように連携治療をしている病院⇔接骨院も存在します。また、整形外科内に、理学療法士だけではなく、柔道整復師を配置している院もあるのです。

 接骨院の健保治療については明示されています。以下、協会けんぽのパンフレットから抜粋、「接骨院・整骨院のかかり方」について復習しましょう。赤字で私達の立場からコメントしました。

 結局、患者第一ではない「大人の事情」が連携治療を阻んでいるのだと思います。どの業界も一緒ですね。

 

【1】健康保険の対象となる場合    急性などの外傷性の骨折・脱臼・打撲及び捻挫

 ※ 骨折、脱臼は応急処置を除き、医師の同意を得ることが必要です。   1、負傷の原因を正しく伝えましょう。

 何が原因で負傷したのかをきちんと話しましょう。負傷が原因が明らかではない場合は健康保険の対象とはならない場合があります。

 この書き方一つで、健保利用の可否が決まります。例えば、腰が長年痛い状態=慢性疼痛の治療はダメです。転んで痛めた場合はOKです。説明一つでどちらにでもできそうです。ちょっとグレーな部分ですが、明らかな虚偽説明を勧める柔道整復師がそこそこ存在しますので注意が必要です。本当は、五十肩(慢性です)なのに、「転んでぶつけた」ことにして健保治療すれば、その肩に保険金詐欺の片棒を担がされますよ。   2、療養費支給申請書の記載内容をよく確認しましょう

 柔道整復師による施術(治療)を受けた際の費用について、健康保険への請求を柔道整復師へ委任する場合、療養費支給申請書の委任欄への署名が必要です。署名する際には、申請書に記載された負傷原因、負傷名、日数、金額をよく確認しましょう。

 この申請書が健保の不正請求の温床になりえます。最近は減りましたが、チョイ悪感覚で、盛り盛りに部位を重ねた請求書を健保に提出する柔道整復師があまりにも多かったのです。健保や労災は厳しい目で監視するようになり、この数年、毎月多くの院の不正を摘発・処分しました。業界は体の不整を整復ではなく、請求の不正を整復したかのようです。   3、領収書をもらいましょう

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   過(あやま)ちて改(あらた)めざる是(これ)を過(あやま)ちという    ・・・過ちはだれでも犯すが、本当の過ちは、過ちと知っていながら悔い改めないことである。    誰だって間違えることがあります。プロ、すなわち専門知識や技術で飯を食っている者は、その仕事で間違いがあってはいけません。しかし、それでも間違いを起こすことがあります。そんな時こそ、素直に過ちを認めて、善処する姿勢が大事です。孔子さまは2600年も前にこの姿勢を、冒頭の言葉に残しました。誰にとっても自らを戒める格言ですが、そうもいかないのが人間です。むしろ、格言通りにする人の方が少ないのではないかと思います。もちろん、改めてくれたケースもあります。両方の事例を紹介します。    一つは医療過誤事件です。昨年から2件程受任がありましたが、いずれも、医師がミスを認めて謝罪、治療を継続したことにより、後の賠償問題は比較的容易に解決へ進みました。「過ちを改めた」のです。医療過誤事件は、常にミスの証拠を握っている病院側がミスを認めない、隠す、危険をはらんでいます。その点、この主治医は潔かった。対して、その賠償金を支払う立場の保険会社と弁護士が、調査と称してだらだら無駄に時間をかけてきた印象でした。    また、これも少なからず遭遇するのですが・・医師がレントゲン診断において、「(骨折はどこか不明ながら)骨折と診断する」、逆に「骨折を見逃す」件です。整形外科医の最初で最大の責務は、レントゲンで骨折を見つけ、診断名を付けることではないでしょうか。ここで、的確に人体の破壊を確認、治療方法を選択しなければなりません。町医者の場合、観血的手術が必要であれば、設備のある病院へコンサル(紹介)します。ここでの診断ミスは許されません。整形外科医にとって骨折の判断は大変に重要で、むしろ基本的診断力の絶対条件でもあるそうです。

 私達は医療調査を通じて、そこそこ骨折の誤診を目にしてきました。それらは、専門医でなければ確定的な判断ができない、決して難しい部位ではありませんでした。かつて、自賠責保険・調査事務所から「○○骨折とありますが、どこが折れているのでしょうか?」と、後遺障害の提出後に質問されたことが2度ありました。そのような質問は既に予想していたもので、私もレントゲンを観て、どこが折れているかわかりません。むしろ、「どこも折れてないよな・・」、あるいは「ここ折れているけど、見逃したな」と思うこともあります。つまり、主治医は間違えたのだと思います。

 そこで、その主治医に「保険会社からの質問なのですが、どこが折れているのかご指摘お願いします」と、該当部位のレントゲン写真を示します。すると、「わかりづらいけど、ここかな、多分・・」と実に頼りない回答です。その部分にマジックで〇をつけてもらい、自賠責に再提出したことがありました。私から観ても、せいぜい骨挫傷の類、あるいは陳旧性の骨折線?程度です(素人診断は厳に慎みますが)。自賠責の担当者に「主治医がここだと言っていますので・・」と補足、再提出しました。担当者も(ため息混じりに)「わかりました」と・・。  その逆となりますが、見落としていた骨折の指摘には、医師は割と素直に診断書の追記・修正に応じる傾向でした。    専門家であり、人の命を左右する医師こそ、基本的なことで間違ってはいけない仕事です。しかし、その誤りに直面した時、その人間性が明らかになります。確かに、診断力乏しく、人間性を伴わない、いい加減な医師は存在します。そのような時こそ私達は、「善処さえしてくれれば良いのになぁ」、と思う次第です。

 

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 私達は、恣意的に被害者さんの症状を重く見せたり、小手先の操作をして、誤魔化して等級を取っているわけではありません。

 申請内容はあくまで自然、その症状は自覚症状の訴えはあるものの、医師が診断を下すものです。そして、等級は自賠責保険・調査事務所が決めることです。認定基準に照らして厳密に審査しています。

 しかし、残念ながら、それらは基本的な前提でしかありません。14級9号の認定は、治療の過程こそが大事です。本例に照らしてみるとよくわかります。

 例えば、通院の都合から、整形外科ではなく、整骨院の施術に切り替えたら・・。治療先をコロコロ変えたら・・。画像検査をおざなりにレントゲンだけ・・。神経学的所見についても、主治医が「むち打ち程度で・・」とあまり注意を払わず、検査・記録が乏しかったら・・。これらの事情が積み重なれば、審査側に「症状の一貫性が乏しい」「大げさ」「賠償志向が強い人」と伝わります。

 正しい症状を正しく審査側に伝える・・これこそ、14級の取り方です。漫然と治療を進めるだけではなく、症状の一貫性と信憑性を整える工夫が必要です。しっかりとした準備こそ、認定率を高めるのです。私達が関与できないことは、事故の受傷機転と自動車の損害額位です。

長野の案件も連勝中です!  

14級9号:頚椎捻挫(40代女性・長野県)

  【事案】

自動車にて直進中、対向車が中央線を越えて走行してきたため、避けきれず衝突し、負傷。直後から頚部痛等、強烈な神経症状に悩まされる。

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世の中には2度も3度も結婚する人がいるもので・・    この業界に飛び込んで数年経ちますが、同じような「傷病名」、「流れ」といったものが続くということが多々あります。例えば、HPから「腰椎圧迫骨折の後遺障害申請について依頼したい。」というご連絡があった翌週に「胸椎圧迫骨折で困った人がいるからサポートしてあげてほしい。」というご連絡を頂いたりと・・・。理由はよく分かりませんが、このような流れは「あるある」なのです。

 最近、受任したムチウチ患者さんは、被追突にて整形外科に通院していましたが、相手保険会社から「今回の事故態様・症状を鑑みると、治療費は4ヶ月が妥当だと考えております。」と言われてしまい、有無を言わさず打ち切られることになりました。今後は健康保険を使って通院することになるのですが、被害者さんは「被害者の意見も聞かずに、保険会社が勝手に治療期間を決めるなんて納得できません!」と怒り心頭です。「後遺障害が認定されれば、賠償交渉で取り返せる可能性が高いので、今は怒りを収めて立て替えたつもりで治療を継続しましょう。」と気持ちを切り替えていただき、治療に専念してもらっています。

 そのような案件をサポート中、旧依頼者からご紹介いただいたムチウチ患者さんと面談したところ、保険会社からいきなり「交通事故賠償では「捻挫・打撲・挫傷」の傷病名による治療は、3ヶ月以内に治癒となる方が8割という医療統計があることから、検査上異常がない時には、治療のご対応は3ヶ月間を目処として賠償対象期間と考えられています。当〇〇としましては、受診された医療機関から提出される診断書の内容、受傷機転等から事故賠償における「症状固定」に至っていると判断し、残存する自覚症状による治療については、事故との相当因果関係の問題から目処を付けさせていただきたいと存じます。〇月〇日をもって現在ご通院されている医療機関様との一括対応は終了させて頂きますのでご了承願います。」という通知が届き、一方的に打ち切られたようです。どうやらこの保険会社では、器質的損傷のない方は「3ヶ月で打切り」と決めているようです。この被害者にも同じような説明を申し上げ、現在、自費(健康保険・労災等)で通院しています。

 私は常日頃からこのようなこのような流れを見ておりますので、「またか。」くらいにしか思いませんが、被害者にしてみれば「こちらには過失がないのに、なぜこのような仕打ちを受けなければならないのか!」といったお気持ちはとてもよく分かります。強制的に打ち切る保険会社が悪いのか、骨折等がないのに3ヶ月以上も通院する被害者が悪いのか。元凶は「大した症状もないのに、お金のために通院する詐病者」だと思います。世の中から詐病者がいなくなれば、保険会社も被害者の症状を信用して、このような治療費の早期打切り争いも起こらないのではないか、そんな気がします。

 「詐病者」は交通事故業界全体で排除しなければなりません。秋葉事務所は全ての被害者をサポートする訳ではなく、助けるべき被害者をサポートしております。

 二度あることは三度ある。近々、早期打切りにお悩みの被害者からご相談があるのではないかと期待しながら、7月も頑張ってまいります。  

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 先日、顔面麻痺の被害者がいらっしゃったのですが、顔面麻痺の検査方法がありましたので、記載してみます。    柳原40点法とは、1976年に柳原尚明先生をはじめとする顔面神経麻痺の臨床研究に携わるグループにより作成され、1976年および1984年の国際顔面神経シンポジウムで報告されたものです。柳原40点法は、※「安静時の左右対称性と9項目の表情運動」を4点(ほぼ正常)、2点(部分麻痺)、0点(高度麻痺)の3段階で評価されます。微妙な場合は、中間の3点、1点を採用する場合もありますが、合計点数を計算するには偶数の方が簡便で検者間の誤差が少なくなるため、より妥当な偶数点に変更し、2進法で評価します。柳原40点法は、顔面表情の主要な部位の動きを個別に評価することで、検者の主観をおさえて再現性を高めるとともに、経時的な部位別評価をすることができます。40点満点で10点以上を不全麻痺、8点以下を完全麻痺、あるいは20点以上を軽症、18~10点を中等症、8点以下を重症とします。また、36点以上で中等度以上の病的共同運動(口を動かすと、一緒に目が閉じてしまうなどの症状)のないものを治癒と判定するようです。

 柳原40点法を使用することにより、顔面神経麻痺発症初期に麻痺程度を診断することで予後評価が可能であり、的確な治療法の選択にも有用であることが報告されているようです。発症から1~2ヶ月の経過観察で機能予後をある程度判定できるため、術前評価法として神経再建をすべきか否かの判断の一助となっているようです。しかし、評価基準が3段階のため、術後評価としては実際には大雑把すぎるというのが問題であり、今後の課題でもあるようです。   ※ 10項目としては、「安静時の左右対称性」、「額のしわ寄せ」、「軽い閉眼」、「強い閉眼」、「片目つぶり」、「鼻翼を動かす」、「頬をふくらます」、「口笛」、「イーと歯を見せる」、「口をへの字に曲げる」があります。    後遺障害認定においては、この柳原40点法は参考程度にしか捉えられず、診断名、画像所見によって主に判断されていることが予想されます。「現場で使用する検査」と「立証で使用する検査」に乖離があるのは仕方のないことですが、問題はこの乖離を現場の医師が知らないという点です。交通事故(労災事故もですが)において、この問題が解決する日は来るのでしょうか。まだまだ秋葉事務所の活躍の場がありそうです。

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 交通事故を契機に、肩関節の不調を訴える被害者が後を絶ちません。むち打ち・腰痛の次に多い症状かもしれません。    多くの場合、むち打ちを契機とした、いわゆる頚肩腕症候群の範ちゅうに入ると思います。40~50代が圧倒的に多く、若年層はほとんどいません。中高年ともなれば、体が硬く、頚椎にも年齢変性がみられ、首から肩にかけて過緊張の状態になっています。交通事故外傷以前に、中高年の4人に1人は何等かの症状を持っていると言えます。

 さて、毎度、賠償問題となるのは、これらの症状が事故を原因とするものか否かです。保険会社は受傷の状況に不自然がなければ、およそ3か月の治療は容認します。しかし、それ以上となると・・「打撲・捻挫でいつまで通っているの(怒)」とは言いませんが、治療費打切りを切り出してきます。通常、打撲捻挫の類は消炎・鎮痛処置をすれば、1か月もすれば軽快するものです。3か月でも十分、それ以上は長過ぎると思うわけです。これは、単なる”保険会社の払い渋り”とは言えません。

 しかし、3か月でも症状が治まらない被害者さんは、確かに一定数存在します。さらに、その一定数からも大きく2つに分かれると思います。一つは、頚椎捻挫から頚部の神経症状が発症したタイプです。これは単なる捻挫を通り越して、上肢のしびれを代表に、様々な不定愁訴(頭痛や吐き気、肩の重だるさ、その他不調でなんだか調子悪い)が半年から数年続くことになります。肩関節も痛みから動かさないので、関節が拘縮し可動域制限が残る方も含みます。これを、「90°までしか肩が挙がらない! 肩腱板不全断裂ですから!」と、10級10号の診断書を提出したら・・自賠責保険の怒り(非該当)を買うこと必至です。絶対に10級を認めないと思います。    このような被害者さんは、痛みの継続をもって、後遺障害14級9号「局部に神経症状を残すもの」の認定を受け、その賠償金を得て、長期間の治療・リハビリに備えるべきと思います。この程度(と言っても200万円~)で手を打つべきなのです。治らないからと言って、いつまでも保険会社と戦争すべきではありません。この解決の流れを作ることが私達の仕事でもあります。    もう一つのケースは、事故受傷を契機に頚部や肩の痛みは当然として、肩にそれ程のダメージがないであろう受傷状況から、「どんどん肩が挙がらなくなった」人です。先の説明、神経症状の一環とも思えず、いわゆる四十肩・五十肩、老化による自然な肩関節周囲炎の症状そのままです。この場合、事故受傷により、その衝撃から発症してしまう不幸なケースもあれば、実は事故前から不調だった、あるいは事故後から拘縮が進むケースですから、ケガと言うより年齢変性・運動不足による疾病に近づきます。事故との因果関係について、保険会社は当然に否定します。肝心の医師も判断に困ります。それがわかるほど、現代の医学は進歩していません。そして、賠償問題に関わりたくないので、患者と距離を置きます(逃げ出します)。

 単なる打撲・捻挫、挫傷の類で、「肩が半分までしか挙がらなくなったのは事故のせいだ!」と保険会社と対峙しても、その争いは自賠責保険の後遺障害審査はもちろん、裁判でも負けると思います。骨折や脱臼、棘上筋断裂で手術でもしていれば別ですが、ズバリ、証拠がありません。その点、この問題をさらに複雑にするのが、医師の診断名です。半分も肩が挙がらないことのみをもって、「肩腱板断裂(損傷)」の診断を下してしまうのです。画像検査もなしに確定診断?は軽率に過ぎますが、そもそも町医者の先生に、MRI画像を正確に読影して頂くことなど高望みなのです。

   独り歩きを始めた診断名(診断書)ですが、賠償問題で保険会社と争う段階になれば、「肩腱板断裂」→「肩腱板不全断裂」→「肩腱板損傷の疑い」と、だんだん自信喪失、薄まっていきます。本来、慎重な医師であれば、予想的な診断名を口にしません。肩関節の専門医にコンサル(紹介)します。その専門医も安易に断定しません。問診・徒手検査を経て、MRIやエコー検査の画像を基に丁寧に診断を下します。そして、たいてい「年齢変性による肩関節の拘縮ですね」となりますが。    このように、中高年にとって、事故外傷と(年齢変性による)諸症状の切り分けこそ、交通事故解決の宿命と思います。私達は日夜、被害者さん・保険会社・医師の3者の交通整理をしているようなものです。    かく言う、私も肩の痛みに悩まされています。私には無縁と思っていた(根拠のない自信)五十肩になったのでしょうか? この件はまた、後日レポートしたいと思います。  

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 今週、眼医者さんで眼底検査の予定です。健康診断の高血糖の結果から、医師の勧めがありました。恐ろしいのは糖尿病による網膜症で、自戒の為にも説明をUPしました。

 一度も経験のない眼底検査、この際何でも経験してみたいと思います。  

【1】眼底検査とは  <日本予防医学学会様HPより引用>    眼底検査とは、瞳孔の奥にある眼底を眼底カメラで撮影し、眼底の血管、網膜、視神経等を調べる検査です。眼底とは眼球の後内壁面を覆う網膜のことで、瞳孔を通して観察し写真撮影することができます。私たちは網膜の働きでものを見ますので、その出血や変性などは重大な所見です。また、糖尿病性網膜症(※)や緑内障などの失明に至る恐れのある病気を早期に発見できます。さらに、眼底にある動脈を観察して、高血圧性変化や動脈硬化の程度を調べます。

  ※ 糖尿病網膜症(糖尿病性網膜症)とは <メディカルノートさまHPより引用>

 糖尿病の合併症として発症する疾患です。腎症や神経障害とともに糖尿病の三大合併症のひとつとして知られています。糖尿病では血管障害が引き起こされますが、これに関連した網膜病変です。最近の厚生労働省の調査では、国内の糖尿病が強く疑われる方は1000万人を越えていると推定されます。糖尿病の患者さんのうちのおよそ3分の1、約300万人が糖尿病網膜症に罹患していると推計されており 、非常にありふれた合併症であるともいえます。糖尿病網膜症は無症状で進行することも多く、最悪の場合には失明にも至ることがあります。患者さんのうち、およそ100万人に実際に視力低下や失明が起きていると考えられます。つまり、糖尿病患者さんの約10人に1人に、糖尿病網膜症による視力障害が出ているということになります。続きを読む »

 先日、SDSAというものを受けた方がいらっしゃったのですが、高次脳機能障害の評価として審査会が判断するのか、今後どのように扱われていくのか興味がありましたので、まとめてみます。    SDSAとは、Stroke Driver’s Screening Assessmentの略で、脳卒中ドライバーのスクリーニング評価は直訳です。イギリスのNouri&Lincoln博士らによって開発され、脳卒中患者が安全に運転できるかどうかを予測するための検査です。これまでイギリスやアメリカ、オーストラリア、北欧で行われた研究により、運転技能予測に有効な検査であることが多数報告されており、4種類の検査から注意機能、空間認知機能、非言語性推測力等を評価し、脳卒中ドライバーの運転適性を見極めるようです。

 検査の内容は、①ドット抹消検査 ②方向スクエアマトリックス ③コンパススクエアマトリックス ④道路標識 の4種類です。   ① ドット抹消検査とは、25行×25列に印字された記号(ドットで構成された何種類もの図形)の中から検査者に指定された記号を選び、印を付けていくものです。所要時間と正誤数等にて判断しますが、注意機能や情報処理速度等を評価します。   ② 方向スクエアマトリックスとは、4×4方眼紙の外側に2種類の矢印が記載されており、大きい矢印がトラック、小さい矢印が乗用車の方向を指しています。手元には16枚のカードがあります。カードには上にトラック、下に乗用車のイラストが描かれており、進行方向が上下左右ランダムになっています。その組み合わせとして正しい枠にカードを入れるテストです。   ③ コンパススクエアマトリックスとは、4×4方眼紙の外側に8種類のコンパスが記載されており、車の進行方向を意味します。カードにはロータリーに2台の車が進入しているイラストが描かれているため、それぞれの進行方向に対応するカードを正しい枠に入れるテストです。尚、このテストでは、対応していないイラストも入っており、その場合には、枠に入れずに除くと作業も含まれております。   ④ 道路標識とは、様々な道路状況を表したイラストが描かれた用紙があります。手元には道路標識のカードがあり、使わないものも出てきます。それぞれのイラストに対応する正しい道路標識のカードを用紙の上に乗せるテストです。  

 私も動画を見てやってみましたが、①はただただ疲れる、②と③は結構難しいです。④は割と簡単かもしれません。但し、高次脳機能障害の立証という点においては、わざわざこの検査を実施しなくてもいいのではないかという気がします。補足資料として添付する分はいいかもしれませんが、運転ができるレベルの方であれば、好成績になる可能性が高いので、後遺障害申請という意味では不利に働くことの方が多いのではないかなと思います。

 特に地方では、車がなくては生活ができないといった側面があると思います。脳卒中患者のためだけではなく、高齢者ドライバーの適性についてもこのような検査を実施し、免許返納等、事故抑制の足掛かりになればと思います。  

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 次に、指を曲げることができなくなった、または伸びたまま硬直した状態、伸展拘縮も検討します。曲がらなくなった理由は一つではありませんが、屈筋腱損傷を前提に考えます。これも基本知識から。

 

(2)屈筋腱損傷の基礎解説 手の掌側にある屈筋腱が断裂すると、筋が収縮しても、その力が骨に伝達されないので、手指を曲げることができなくなります。切創や挫創による開放性損傷、創のない閉鎖性損傷、皮下断裂がありますが、圧倒的に前者です。屈筋腱の損傷では、同時に神経の断裂を伴うことが高頻度で、そんなときは、屈筋腱と神経の修復を同時に行うことになり、専門医が登場する領域です。

手指の屈筋腱は、親指は1つですが、親指以外では、深指屈筋腱と浅指屈筋腱の2つです。親指以外で、両方が断裂すると、手指が伸びた状態となり、まったく曲げることができなくなります。

深指屈筋腱のみが断裂したときは、DIP関節だけが伸びた状態となり、曲げることができません。しかし、PIP関節は、曲げることができるのです。

屈筋腱損傷の治療は、手の外傷の治療のなかで最も難しいものの1つで、腱縫合術が必要です。年齢、受傷様式、受傷から手術までの期間、オペの技術、オペ後の後療法、リハビリなどにより治療成績が左右されます。治療が難しい理由には、再断裂と癒着の2つの問題があります。オペでは、正確かつ丁寧な技術が求められ、オペ後の後療法も非常に重要となります。

(3)DIP関節の伸展拘縮と屈曲拘縮、どちらかで14級7号は認められるのか?

 労災の認定基準では、以下の通りです。

 14級7号:1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

 MCP(指の根元)やPIP(第2関節)は1/2までしか曲がらなくなった場合で用廃と、労災・自賠責共に基準とされています。

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 多くの指の認定例を誇る秋葉事務所でも、まだ未経験の部位・症状があります。今後、それらの受任と実績を待つとして、自賠責・労災の認定基準を明確に把握しきれないケースについて、最新の認例実績をもとに解明していきたいと思います。

 指のケガを検索、秋葉事務所に引っかかった方は、どしどしご相談下さい。初の相談例であっても、指にまつわる経験則は抜きんでていると思いますので。     【1】 DIP関節における機能障害の等級認定は?

 DIP関節は指の一番先の関節です。根本の関節(MP)、中間の第二関節(PIP)、親指の場合は(IP)・・これらの機能障害、欠損の認定基準は上の一覧表を見れば、容易に判断できます。しかし、細かい症状で悩むことがあります。最初に取り上げるのは、第1関節(DIP)の障害です。機能障害としての認定基準、例えば可動域制限などは明記なく、14級7号が唯一明記されています。   「14級7号:1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの」    このような障害の代表は、いわゆる「突き指」で第一関節が曲がったまま固まった状態でしょうか。多くは、伸筋腱か屈筋腱の損傷を原因に、そのまま長期間装具固定した、あるいは放置した結果、関節が拘縮してしまった状態です。こうなると、手術での改善も時すでに遅しに感じます。

 この後遺障害で秋葉が感じる謎は、「屈伸できなない=硬直」は当然として、では、「伸ばすことはできるが曲げることはできない(伸びたまま)=伸展拘縮」、逆に「曲げることはできるが、伸ばすことはできない(曲がったまま)=屈曲拘縮」、これらも14級7号に該当するのか?です。 まずは、基礎解説から(交通事故110番より)。   (1)伸筋腱損傷の基礎解説   指を上から見たときの解剖図

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 誰だってもめ事は早く解決したいはずです。しかし、例外をいくつか経験しています。

 その理由は様々ですが、大別すると以下のパターンでしょうか。   1、復職したくない?

 解決したい気持ちが無いわけではありせん。しかし、治療や手続きが進むと、何かと言い訳して解決を引き延ばします。ケガ人なら堂々と仕事しないで家でプレステ三昧、この生活に甘えてしまう人もいるのです。

 怠け者と言えばそれまでですが、元々ハンデキャップを持った人や、例えばアスペルガーの方は職場でトラブルを起こすなど、そもそも困っている人がおります。また、障害がなくとも、人間関係の悩みやストレスで苦しんでいる人も少なくありません。それに交通事故のトラブルが重なり・・。ケガの回復より、精神面の休養が長期間必要なのかもしれません。

 仕事をどうするかは別として、解決こそ精神的、肉体的にも健全なので私達も丁寧に説得することになります。「早く解決して、一定のお金を得たら、ハワイでも行ったらどうです?」、何か目標を示すことが良いようです。

 例外的ですが、かつて公務員のご依頼者さんで、事故の解決に向けて進めるも、実際、後遺障害申請に直面すると、あれこれ理由をつけて先延ばしにする方がおりました。心を込めて説明をしてもダメです。それどころか、また事故に遭った、転んだなど、ケガを重ねていきます。どうやら給与が保障されてクビにもならない地位から、ずっとケガ人でいたいようです。

 

2,自分の障害を永久に追求したい?

 医師が訴える不調を聞いてくれない、保険会社は治療費打ち切りを打診し、相談した弁護士も相手にしてくれない、そして、後遺障害が認められない。

 このような周囲の対応に戦い続ける人がおります。お聞きすると事故から5年も経っています。とっくに治療費は打ち切られています。それでもドクターショッピングを続け、たまに元気になると弁護士など業者に相談をします。疲れると半年くらい動きません。これはケガではなく精神的に参っている患者さんで、心療内科の先生が担当すべきなのです。すでに通っていたりしますが。

 このタイプの被害者は解決のない無限ループにおります。仮に、妥協的でも妥当な線で解決させたいと思いますが、ケガや障害を否定する意見には耳を貸しません。残念ながら私達の専門外、何もできません。いずれ誰も相手にしなくなり、心療内科含め違う病気にかかって退場するようです。

 

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最終回です  前回 👉 パニック障害について ③    精神療法については、認知行動療法が薬物と同等の効果をもることがわかっているようです。認知行動療法には、曝露療法や認知療法など様々な技法の組み合わせがあります。    例:対人関係療法、精神分析、精神力動的精神療法、支持的精神療法など。    曝露療法とは、広場恐怖に最も効果のある治療法と言われています、通常は、「段階的曝露療法」といって、広場恐怖の対象をその不安の度合いによって0から100までに段階付けし、容易な段階から挑戦します。それが出来たらその上を目指すというやり方で行動練習を行います。例えば、1人で電車に乗れない場合には、初めは家族同伴で乗ってみる、その次は家族に別の車両に乗ってもらう、その次は1人で一駅だけ乗ってみる、出来たら二駅三駅と距離と時間をのばしていくといった感じです。無理せず、少しずつ成功体験を積み重ねることによって、自身をつけていくのがコツのようです。    認知療法とは、不安の予兆に対し、いつも最悪の事態を予測してしまう癖(認知の歪み)に気付き、「これはいつもの不安のためだ、時間が経てば自然に治まる。」などと、言葉にして自分に言い聞かせることによって認知の修正をはかるようにする方法です。これは自分で出来る簡単な認知療法の一つです。    パニック障害は早期成人期が多く、アメリカの調査では後期青年期と30代半ばとの二つの山があると言われているようです。発症後の経過は、寛解と増悪を繰り返す慢性経過が一般的です。不安障害は他の精神障害の依存が多いことも特徴の一つですが、そのことも経過に影響を与えることが分かっています。特にうつ病、アルコール・薬物依存、パーソナリティ障害などが加わると、症状が悪化し経過が長引くことが分かっています。初診時までの罹患期間が長い、ソーシャルサポートが乏しいといった環境も経過を長引かせる要因とされているようです。    交通事故が直接の原因となるケースは少ないかもしれませんが、今後、二次被害として増加していくのではないかと考えます。苦しむ方が少しでも楽に生きられる社会になっていくことを祈っております。   

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 前回 👉 パニック障害について ②    治療法については、薬物療法と精神療法に分けられます。パニック障害でも抗うつ薬のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と抗不安薬のベンゾジアゼピン誘導体(BZD)を中心とした薬物療法と精神療法である認知行動療法を基本として行うことが多いようです。

 SSRIは脳内の神経伝達を改善し、意欲を高めたり、憂鬱な気分などを改善する薬とされています。そのため、セロトニンの働きが深く関わるとされる強迫性障害やパニック障害などに使用されています。SSRIのメリットとしては、パニック発作を確実に抑制し、予期不安や広場恐怖にも有効とされていながら、副作用が少ないため、安全性にも優れています。そのため、長期間使用しても依存性を生じにくいようです。デメリットとしては、即効性がなく、投与初期に眠気、吐き気、食欲低下、下痢、軟便などの副作用や一時的な不安の増強がみられることがあるようです。また、飲み合わせに注意が必要なものがあるので、いくつもの病院にかかっている方は、医師若しくは薬剤師に相談が必須です。また、急に投薬を中止すると、断薬症状(頭痛、めまい、風邪に似た症状等)が出ることもあるので、医師の指導の下、服用されるのが望ましいと思います。

 主な名称としては、レクサプロ、パキシル、ジェイゾロフト、デポロメールルボックスなどの薬があります。

 BZDは脳の興奮などを抑えることで、不安や緊張、不眠などを改善する薬とされています。その他、筋肉の緊張を緩和する筋弛緩作用により腰痛症や緊張型頭痛などに使用する場合もあります。BZDのメリットとしては、不安や不眠、不安に伴う自律神経症状など、不安症状全般に有効であり、副作用も少ないので、安全性が高く、即効性があります。デメリットとしては、長期間使用すると依存性が生じやすく、乱用の危険があることや、急にやめるとリバウンドや離脱症状(不眠、焦燥感、知覚異常等)が出やすいことが挙げられます。尚、アルコールとの併用は禁忌です。

 主な名称としては、デパス、リーゼ、メイラックスなどの薬があります。

 薬物療法は、症状が良くなってもすぐに薬はやめず、半年から1年程度続けることが推奨されています。その後、だんだんと減らしていき、経過を見るといった流れが一般的なようです。なぜなら、パニック障害は「再発」が多い病気だからです。時間をかけてゆっくりと向き合っていくこと、特にご家族の理解・サポートが重要かもしれません。    

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続けます    前回 👉 パニック障害について ①    不安障害の症状は主に字のごとく「不安」です。誰でも経験しているように思いますが、ここに記載する「不安」とは、はっきりした理由がない若しくは理由があってもその理由に対してひどく不安に思う、またその感情を何度も繰り返す、いつまでも続くというのが病的な「不安」です。

 不安のあらわれ方は様々なので、①で記載したような分類がされているのです。

 パニック障害の症状としては、パニック発作、予期不安、広場恐怖が3大症状とされています。中でもパニック発作、それも予期しないパニック発作がパニック障害の必須症状であり、予期不安、広場恐怖はそれに伴って二次的に生じる症状とされています。

 パニック発作とは、パニック障害の特徴的な症状で、急性・突発性の不安の発作です。動悸、発汗、身震いや震え、息切れ感や息苦しさ、窒息感、胸痛や胸部の不快感、嘔気や腹部の不快感、めまい等の症状がいくつもある場合、パニック発作と診断されるようです。

 予期不安とは、パニック発作を一度経験して、あの恐ろしい発作がまた起きるのではないかという不安感が生じることを言います。予期不安にみられる症状には、「発作を起こすこと自体への不安」と「発作によって起こる別のことへの恐怖」がありますが、別のことへの恐怖とは、発作によって死ぬのではないか、誰も助けてくれないのではないか、他人に迷惑をかけるのではないかといった感情になることを指します。

 広場恐怖とは、パニック発作を経験した人が「特定の場所や状況」を避けるようになることを言います。発作が起きたときにすぐに助けを求められなかったり、逃げ出すことができないような場所を避けるようになるようです。(例えば、電車やバスなどの公共機関や人混みなど)また、過去にパニック発作が起きた場所で、もう一度そこへ行くと発作が起きるのではないかと思い、このような場所を避けるようになるようです。    尚、パニック障害の診断基準は次のようになっています。   A 1.と2.の両方を満たす

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