今回3つのパターンを紹介しますが、⑴、⑵の先生に依頼すると残念な結果と迷走が待っています(弁護士名は仮名です)。   (1)交通事故経験の少ない弁護士:甘利先生

 患者の言う事と医者の診断書を信じすぎる傾向にあり。   (2)そこそこ経験がある弁護士:石原先生

 必要無い検査や画像鑑定を行い、結局は事故との因果関係を的確に立証できない傾向。    (3)秋葉事務所の場合

 多くの被害者さんは悲惨な結果になってから、やっとセカンドオピニオンで秋葉事務所に来ます。「相談が遅すぎて手遅れ」と、涙で枕を濡らすこともあります。    それでは、これらの顛末を追ってみましょう。  

肩腱板損傷の取り組み、2つの典型例と秋葉の対策

 ※「後遺障害が取れたら、またご連絡下さい」と言う弁護士は論外とします

 

(1)交通事故案件の経験少ない甘利弁護士の場合

 診断書を見て、「腱板損傷」を最初から丸ごと信じます。「肩関節の可動域制限が1/2ですので、後遺障害は10級10号が見込めます!」と息巻きます。今後、請求する慰謝料や逸失利益を計算して、「これは利益の大きな案件だ」と張り切ります。

 しかし、自賠責の等級は「非該当」、もしくは大サービスで「14級9号」となるはずです。腱板損傷で10級取り、3000万を超える慰謝料が貰えると、期待させた依頼者:枝野さんから散々責められて・・面目立たずに委任解除となります。または、引っ込みがつかなくなった甘利先生は、軽薄な診断書一枚を持って裁判に持ち込みますが、有効な立証などできようもなく青色吐息、画像所見は相手損保の顧問医の意見書から否定され、負けは必至となりました。毎度お馴染みですが、裁判所の和解案にすがり、「この辺で手を打つよう」必死に依頼者の説得にかかります。結局、低額の和解(実際はボロ負け)=最初から裁判の必要などない結果(獲得額)となります。

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 肩腱板損傷に関する相談、ご依頼をまんべんなく頂いております。早期からの相談であれば、等級認定を含めた対策を誤ることはありません。それは、弊所の実績ページの通り、あらゆるパターンを経験しているからです。

 一方、不慣れな事務所に依頼したばっかりに等級が付かず、迷走状態になっている被害者さんも多いものです。最近も某掲示板から直リンされた(?)のか、アクセスが多いので、その記事を加筆修正の上、再掲示します。

 今日から3回の元記事は専門家にも好評のようです。多くの方に参考となれば幸いです。そして、できれば、ご依頼もお待ちしています。  

医師の診断名は絶対ではない?

 交通事故で肩の痛みから腕が上がらず、肩関節の可動域制限が残った被害者さんの相談を100人程度、受けてきました。その中で、無事に機能障害、もしくは神経症状が認められた被害者さんは実績ページの通りです。    ⇒ 上肢(鎖骨・肩)の等級認定実績    しかしながら、一方で非該当や、肩関節の可動域制限がありながら神経症状の14級9号止まりの被害者さんが多数存在するのです。私達は初回相談の段階からMRI画像を確認していますので、等級はほぼ想定通りに収まります。したがって、早くから相談の被害者さんに関しては心配ありません。問題は画像所見の不明瞭な方の場合です。とくに、治療先で「事故との因果関係が不明瞭」ながらついた診断名に難儀しています。これが肩のケガの場合ですと、多くは以下の診断名になります。  

 肩腱板損傷(不全損傷 部分損傷)  

 肩腱板断裂(不全断裂 深層断裂)

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 前シリーズもそうでしたが、マニアックな傷病名をどんどん採用、ドラマを盛り上げています。    第3話の患者は、脳腫瘍による相貌失認を抱える女性教師です。相貌失認(そうぼうしつにん)は珍しい症例で、医師を含め脳障害に関わる者でなければ知らないと思います。先日の業務日誌「軽くバズった記事」で、「1冊のメモ帳と相貌失認」の記事へのアクセスが急上昇したことを書きました。その理由はこれっだたのですね。恐らく、多くの視聴者が放送後、検索をしたのでしょう。ドラマは録画して数日後に観ましたので、今になって気づきました。     その記事 👉 1冊のメモ帳と相貌失認     相貌失認については上の記事をご覧下さい。交通事故外傷による脳損傷でこの症状をはっきり示した被害者さんは、かつて1件だけでした。それ以外は兆候があるも、記憶障害の範疇でした。「失認」とは、物体を識別する能力が低下又は失われることです。失認の多くは行動において問題が生じます。簡単に言うと、日常使っていた道具の操作が出来なくなるなど、「失行」につながる症状になります。ひどいとズボンの履き方すら迷ってしまうようです。  相貌とは人の顔や表情を指しますので、顔を識別できないことになります。その”程度”ですが、新しく会った人を覚えられない、知人の顔を忘れるなどは、記憶障害と重なります。失認との区別ですが、家族の顔すら忘れる、「怒っているか、笑っているか」相手の表情が読み取れなくなるなど、極端なケースは相貌失認を疑います。      相貌失認を取り上げたドラマ、映画はいくつかあるようです。注目はその映像化で、障害者からどのように観えているのか、色々と工夫しています。先のキムタクのドラマでは、奥さんや実子の顔を含め、人の顔がすべて仮面に見えていました。実際、このように見えているのかどうか、障害者じゃないと分からないでしょう。ラジエーションハウスでは、顔全体、顔の一部にもやもやしたモザイクをかける映像処理でした。これですと、人の区別や表情の読み取りが困難で、視聴者にとって、障害者の視点がわかり易かったと思います。 続きを読む »

 セカンドシーズンの放送が始まりました。遅ればせながら、録画にて視聴しました。第1回は主人公の五十嵐放射線技師がアメリから帰り、甘春病院に復院から始まります。しかし、病院の院長は灰島院長に代わっており、その経営合理化路線から、遠隔読影(※)に切り替えた為、放射線科医の甘春先生はじめ、かつての技師チームのほとんどが他院へ異動していた状態でした。

※ 遠隔読影・・・CTやMRIなどの医療画像を、通信ネットワークを利用して専門医がいる施設へ送信し、読影・画像診断を行うシステムです。 遠隔読影の導入により、放射線科常勤医がいない病院に、専門医による精度の高い検査結果を迅速に取得できます。アメリカではかなり一般的で、日本では医療過疎地域で拡大しています。

 前院長の大森先生も甘春病院に医師として復帰、その圧力(何故か灰島院長は大森先生に弱い)?により、かつてのチームが再結集することで1話が終了しました。注目は2話です。

 今回の患者はてんかんで苦しむ陸上選手の少年(走太)です。投薬でてんかん発作に対処していましたが、発作の頻度増加から、例によって五十嵐技師が検査を強く訴えます。そこで、2つの検査が実施されます。SPECT検査とファンクショナルMRI(fMRI)です。   スペクト・・・高次脳機能障害の立証 10 ~ 画像:スペクト

fMRI・・・続きを読む »

   難聴には「感音性」、「伝音性」、「混合性」、「機能性」があり、後遺障害診断書では、「機能性」以外の3つしか記載がありません。機能性は心因性とも呼ばれ、詐病も疑われます。

 

1,感音性難聴とは、内耳やそれよりも奥の中枢神経に障害がある場合に起こるとされています。特徴としては、高音域の音が聞こえにくくなったり、複数の音を一度に聞いたときに特定の音を聞き分けることが困難になります。主な原因としては先天性や老化、騒音によるもの、薬の副作用、頭部外傷、メニエール病などが考えられます。感音性難聴は治療によって回復することがあまりなく、補聴器を使用しても聴力を補うことは難しいとされています。   2,伝音性難聴とは、外耳や内耳が正常に機能しなくなり音が伝わりにくくなるものをいいます。中耳炎など主に内耳の疾患が原因とされていますが、耳小骨の奇形など先天的な原因も挙げられます。特徴としては、耳の閉塞感や通常の音が聞こえにくくなる(ただし、大きな音は聞こえることが多い)といった症状があります。伝音性難聴は手術や治療によって回復する可能性がありますし、補聴器などを使用すれば問題なく生活できる方もいらっしゃるようです。   3,この感音性と伝音性の要素を持ち合わせているのが混合性難聴です。    4,機能性難聴とは、器官に障害がないにもかかわらず、聞こえが悪くなるものをいいます。不安やストレス、自律神経の乱れなどが原因とされていますが、よく分かっていないのが現状です。一過性のものが多いですが、投薬などで経過をみるしかないといったところでしょうか。    頭部外傷や側頭骨骨折等による難聴はありますが、頚椎捻挫で発症したというご相談も稀にいただきます。立証は非常に厳しいですが、初期から一貫していることや数値、事故態様により認定される可能性を秘めておりますので、諦めずに耳鼻科の受診をお勧めします。

 

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第9話:「肩関節亜脱臼による肩関節の動揺性をストレスXPで立証?」(秋葉が勝手につけかえたタイトル)  

 第9話も秋葉事務所の仕事と丸被りでした。前話で、転倒した甘春先生(本田つばさ さん)に対して、レントゲンに加え、頭部はCT検査、痛めた肩関節はMRI検査を行いました。その画像うを観た辻村先生(同僚の甘春先生に💗)は、MRIの矢状断から肩関節の亜脱臼と診断し、保存的治療で対処することを決めました。しかし、毎度のお約束で、五十嵐技師(子供の頃から甘春先生に💗)は、MRI画像からバンカート病変(※1)を疑い、ストレスXP(関節を引っ張って伸びた状態をレントゲンで撮る)もすべきではないか、その結果、損傷があれば(関節唇損傷・スラップ損傷※2)、肩関節の動揺性(関節が緩んでぐらぐらになってしまう)が後遺症として残らないよう、鏡視下手術をすべきと意見しました。それに対して辻村先生は、「技師が思いつきで言うな!(怒)」と拒否、読影判断をめぐる恋敵の対立となります(ヒロインの宿命ながら患者にとって迷惑な話)。   ※1 バンカート病変 ⇒ 肩関節 脱臼   ※2 関節唇損傷・スラップ損傷 ⇒ スラップとは関節唇の上部ことで、上腕骨が肩関節内で円滑に動くよう作用する軟骨です。これが、スポーツや事故での外力で、裂ける、剥がれる、あるいは骨ごと剥がれる(骨性バンカート病変)ことがあります。これらを総称してスラップ損傷と言います。肩関節脱臼の多くはバンカート脱臼かヒルサックス脱臼です。   ←関節唇(MRI・T1冠状断)

 結局、辻村先生はストレスXPをオーダー(撮影場面はなかったですが)、結果としてバンカート病変の診断から、関節鏡下手術(詳しく語られませんでしたが、手術場面から剥離した関節唇の縫合をしたと思われる)となりました。

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 昨日の内容を踏まえ、画像を観るに際して、「脳血管障害におけるMRIとCTの適用(以下の表)」がよく整理されています。おそらく、自賠責の高次脳審査会でも、顧問医は以下の原則から画像所見を確認しているはずです。

 救急搬送後の急性期、手術や緊急処置後の1週間後~3か月の亜急性期、その後の安定期(慢性期)と、経過から画像を追うと、選択された画像検査は以下のように、目的をもったものであることがわかります。  

(井田 正博 先生 他:脳血管障害 日本医師会雑誌2018:137(5)957-962より改変)

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 高次脳機能障害の認定要件として、意識障害とならび画像所見が挙げられます。他に脳外傷の診断名が必須ですが、診断名は画像所見があって付けられるものです。また、脳実質へのダメージで意識障害が起きますので、原則、脳実質への破壊なければ意識障害は起きません。したがって、脳外傷による障害の前提として、画像所見・意識障害・診断名はそれぞれリンクする関係で、3つが揃うことが普通と考えられています。ただし、脳出血(クモ膜下出血など)が消失して脳実質に器質的な変化(脳室拡大や脳萎縮など)がないケース、軽度意識障害(意識を失うまでもなく、もうろうとしているだけ、健忘が続く場合など)が、認定上、判断を難しくしていると言えます。    今日は脳損傷の画像を観るに際して、どの画像を参照すべきか、どのように観るか、その基本を復習します。今回は『高次脳機能障害リハビリテーション入門』を参照、抜粋しました。   【1】画像診断の観点

1、病巣の範囲はどこか?どの血管領域か?

 前頭葉なのか、頭頂葉なのか、または、中大動脈領域なのか・・・損傷部位と残存する症状に関連性があるからです。例えば、前頭葉の破壊は、注意・遂行機能、情動障害の原因病巣になります。局在性損傷(その部分に脳挫傷や硬膜下血腫あり)は、わりと一致する傾向です。びまん性軸索損傷の場合は、その点状出血が脳全体に散らばっている傾向から、症状や障害が多種多様となる覚悟しています。また、記憶障害はどの部位であっても見られる傾向です。

2、立体的に病巣範囲が構成できるか?

 画像を3次元でイメージします。私達はまず、矢状断と水平断を比較しながら脳外傷の部位を確認します。さらに、冠状断で奥行きのイメージに至ります。面ではなく、立体的に破壊された部分の大きさ・範囲を把握するのです。

 ※ 画像断について  

【2】画像診断に用いる検査

1、CT(computed tomography)

 急性期の脳出血、クモ膜下出血に有効。画像所見を確認する基本は、出血部位は脳実質と比較して高吸収域に描出され、脳梗塞の虚血性病変は低吸収域に描出されること。   2、MRI(magnetic resonance imaging)

 CTに比べ、骨のアーチファクト(レントゲン撮影時のノイズ、反射など)がなく、分解能がすぐれ、脳幹部や後頭蓋窩の情報が得やすい。  撮影法はT1強調画像、T2強調画像、T2スター、拡散強調画像(ディフュージョン)、FLAIRなど。

 私の場合、局在性損傷はT1,T2の矢状断と水平断を並べて病巣部を確認します。微細な出血、脳梗塞は受傷直後(急性期)なら、ディフュージョンの撮影の有無と画像に注目します。3か月以後はT2スターが頼りになります。T2スターなら、受傷2年後の点状出血も確認できました。また、経時的に脳実質の変化を追うに、FLAIR(フレア)を観ています。  以上は、脳神経外科の医師に教わったことですが、専門医はこれらを原則として、例外も留意しているとのことです。

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 交通事故を契機に、肩関節の不調を訴える被害者が後を絶ちません。むち打ち・腰痛の次に多い症状かもしれません。    多くの場合、むち打ちを契機とした、いわゆる頚肩腕症候群の範ちゅうに入ると思います。40~50代が圧倒的に多く、若年層はほとんどいません。中高年ともなれば、体が硬く、頚椎にも年齢変性がみられ、首から肩にかけて過緊張の状態になっています。交通事故外傷以前に、中高年の4人に1人は何等かの症状を持っていると言えます。

 さて、毎度、賠償問題となるのは、これらの症状が事故を原因とするものか否かです。保険会社は受傷の状況に不自然がなければ、およそ3か月の治療は容認します。しかし、それ以上となると・・「打撲・捻挫でいつまで通っているの(怒)」とは言いませんが、治療費打切りを切り出してきます。通常、打撲捻挫の類は消炎・鎮痛処置をすれば、1か月もすれば軽快するものです。3か月でも十分、それ以上は長過ぎると思うわけです。これは、単なる”保険会社の払い渋り”とは言えません。

 しかし、3か月でも症状が治まらない被害者さんは、確かに一定数存在します。さらに、その一定数からも大きく2つに分かれると思います。一つは、頚椎捻挫から頚部の神経症状が発症したタイプです。これは単なる捻挫を通り越して、上肢のしびれを代表に、様々な不定愁訴(頭痛や吐き気、肩の重だるさ、その他不調でなんだか調子悪い)が半年から数年続くことになります。肩関節も痛みから動かさないので、関節が拘縮し可動域制限が残る方も含みます。これを、「90°までしか肩が挙がらない! 肩腱板不全断裂ですから!」と、10級10号の診断書を提出したら・・自賠責保険の怒り(非該当)を買うこと必至です。絶対に10級を認めないと思います。    このような被害者さんは、痛みの継続をもって、後遺障害14級9号「局部に神経症状を残すもの」の認定を受け、その賠償金を得て、長期間の治療・リハビリに備えるべきと思います。この程度(と言っても200万円~)で手を打つべきなのです。治らないからと言って、いつまでも保険会社と戦争すべきではありません。この解決の流れを作ることが私達の仕事でもあります。    もう一つのケースは、事故受傷を契機に頚部や肩の痛みは当然として、肩にそれ程のダメージがないであろう受傷状況から、「どんどん肩が挙がらなくなった」人です。先の説明、神経症状の一環とも思えず、いわゆる四十肩・五十肩、老化による自然な肩関節周囲炎の症状そのままです。この場合、事故受傷により、その衝撃から発症してしまう不幸なケースもあれば、実は事故前から不調だった、あるいは事故後から拘縮が進むケースですから、ケガと言うより年齢変性・運動不足による疾病に近づきます。事故との因果関係について、保険会社は当然に否定します。肝心の医師も判断に困ります。それがわかるほど、現代の医学は進歩していません。そして、賠償問題に関わりたくないので、患者と距離を置きます(逃げ出します)。

 単なる打撲・捻挫、挫傷の類で、「肩が半分までしか挙がらなくなったのは事故のせいだ!」と保険会社と対峙しても、その争いは自賠責保険の後遺障害審査はもちろん、裁判でも負けると思います。骨折や脱臼、棘上筋断裂で手術でもしていれば別ですが、ズバリ、証拠がありません。その点、この問題をさらに複雑にするのが、医師の診断名です。半分も肩が挙がらないことのみをもって、「肩腱板断裂(損傷)」の診断を下してしまうのです。画像検査もなしに確定診断?は軽率に過ぎますが、そもそも町医者の先生に、MRI画像を正確に読影して頂くことなど高望みなのです。

   独り歩きを始めた診断名(診断書)ですが、賠償問題で保険会社と争う段階になれば、「肩腱板断裂」→「肩腱板不全断裂」→「肩腱板損傷の疑い」と、だんだん自信喪失、薄まっていきます。本来、慎重な医師であれば、予想的な診断名を口にしません。肩関節の専門医にコンサル(紹介)します。その専門医も安易に断定しません。問診・徒手検査を経て、MRIやエコー検査の画像を基に丁寧に診断を下します。そして、たいてい「年齢変性による肩関節の拘縮ですね」となりますが。    このように、中高年にとって、事故外傷と(年齢変性による)諸症状の切り分けこそ、交通事故解決の宿命と思います。私達は日夜、被害者さん・保険会社・医師の3者の交通整理をしているようなものです。    かく言う、私も肩の痛みに悩まされています。私には無縁と思っていた(根拠のない自信)五十肩になったのでしょうか? この件はまた、後日レポートしたいと思います。  

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 次に、指を曲げることができなくなった、または伸びたまま硬直した状態、伸展拘縮も検討します。曲がらなくなった理由は一つではありませんが、屈筋腱損傷を前提に考えます。これも基本知識から。

 

(2)屈筋腱損傷の基礎解説 手の掌側にある屈筋腱が断裂すると、筋が収縮しても、その力が骨に伝達されないので、手指を曲げることができなくなります。切創や挫創による開放性損傷、創のない閉鎖性損傷、皮下断裂がありますが、圧倒的に前者です。屈筋腱の損傷では、同時に神経の断裂を伴うことが高頻度で、そんなときは、屈筋腱と神経の修復を同時に行うことになり、専門医が登場する領域です。

手指の屈筋腱は、親指は1つですが、親指以外では、深指屈筋腱と浅指屈筋腱の2つです。親指以外で、両方が断裂すると、手指が伸びた状態となり、まったく曲げることができなくなります。

深指屈筋腱のみが断裂したときは、DIP関節だけが伸びた状態となり、曲げることができません。しかし、PIP関節は、曲げることができるのです。

屈筋腱損傷の治療は、手の外傷の治療のなかで最も難しいものの1つで、腱縫合術が必要です。年齢、受傷様式、受傷から手術までの期間、オペの技術、オペ後の後療法、リハビリなどにより治療成績が左右されます。治療が難しい理由には、再断裂と癒着の2つの問題があります。オペでは、正確かつ丁寧な技術が求められ、オペ後の後療法も非常に重要となります。

(3)DIP関節の伸展拘縮と屈曲拘縮、どちらかで14級7号は認められるのか?

 労災の認定基準では、以下の通りです。

 14級7号:1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

 MCP(指の根元)やPIP(第2関節)は1/2までしか曲がらなくなった場合で用廃と、労災・自賠責共に基準とされています。

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 多くの指の認定例を誇る秋葉事務所でも、まだ未経験の部位・症状があります。今後、それらの受任と実績を待つとして、自賠責・労災の認定基準を明確に把握しきれないケースについて、最新の認例実績をもとに解明していきたいと思います。

 指のケガを検索、秋葉事務所に引っかかった方は、どしどしご相談下さい。初の相談例であっても、指にまつわる経験則は抜きんでていると思いますので。     【1】 DIP関節における機能障害の等級認定は?

 DIP関節は指の一番先の関節です。根本の関節(MP)、中間の第二関節(PIP)、親指の場合は(IP)・・これらの機能障害、欠損の認定基準は上の一覧表を見れば、容易に判断できます。しかし、細かい症状で悩むことがあります。最初に取り上げるのは、第1関節(DIP)の障害です。機能障害としての認定基準、例えば可動域制限などは明記なく、14級7号が唯一明記されています。   「14級7号:1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの」    このような障害の代表は、いわゆる「突き指」で第一関節が曲がったまま固まった状態でしょうか。多くは、伸筋腱か屈筋腱の損傷を原因に、そのまま長期間装具固定した、あるいは放置した結果、関節が拘縮してしまった状態です。こうなると、手術での改善も時すでに遅しに感じます。

 この後遺障害で秋葉が感じる謎は、「屈伸できなない=硬直」は当然として、では、「伸ばすことはできるが曲げることはできない(伸びたまま)=伸展拘縮」、逆に「曲げることはできるが、伸ばすことはできない(曲がったまま)=屈曲拘縮」、これらも14級7号に該当するのか?です。 まずは、基礎解説から(交通事故110番より)。   (1)伸筋腱損傷の基礎解説   指を上から見たときの解剖図

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 受傷機転とは、「どような事故状況で、どのように受傷部位に衝撃が加わったか」を説明したものです。これを、自賠責保険の後遺障害審査では非常に重視しています。受傷部位・診断名ごとにその理由を説明します。本日は毎度毎度のむち打ちです。      交通事故外傷の実に60%はむち打ちです。正式には、頚椎捻挫、外傷性頚部症候群、頚椎症などの診断名になります。これは、歩行中、自転車・バイク搭乗中でも頻発しますが、何と言っても代表的なケースは追突です。追突の衝撃によって、首が急激に前後に振られて痛めます。多くは、捻挫ですから、安静と消炎鎮痛処置を続ければ、痛みは軽減します。通常の捻挫であれば、後遺症などは残りません。しかし、頚椎は体幹部でも細く脆弱ながら、脊髄の神経を中心に、神経根~末梢神経など神経のターミナルです。これらに衝撃が加わると、しつこい神経症状を惹起することがあります。神経症状となれば、捻挫の腫れが引いても、上肢へのしびれ、頭痛、めまい、耳鳴り、不定愁訴、諸症状が長引く原因とされています。  しかし、保険会社はそれら目に見えない症状に、いつまでも耳を傾けてはくれません。打撲・捻挫の症状は、せいぜい3か月と基準しています。したがって、治療費支払いの延長には、単なる捻挫ではない神経症状を信じてもらうしかありません。それには、医師によるジャクソン・スパーリングテスト、腱反射など、またはMRI画像における神経圧迫所見など、他覚的所見を示さなければなりません。経験上、それらが明確であれば、自賠責の後遺障害認定にも有利に働きます。ところが、それら他覚的所見がほとんどみられない被害者さんが大多数なのです。つまり、本人が痛いと言っているだけで証拠がない。これが、交通事故外傷・むち打ちにおける最大の問題となるのです。

 「被害者は、被害者意識から大げさに症状をまくし立てる」と保険会社は確実に思っています。そのような相手に、いくら痛い、つらいと言っても、信じてもらえるでしょうか? ここでも受傷機転が大きく関与することになります。例えば、同じ追突でも、ノーブレーキの大型トラックに突っ込まれ、小型車が全壊、バールでドアをこじ開けて、救急搬送された場合・・これは大ケガだと推定されます。交差点で横っ腹に突っ込まれ、自車が横転した場合も大ケガの範疇です。むしろ、骨折なく、むち打ちで済んでよかったと思います。これなら、通院が長期化しても、保険会社の支払いは優しいものです。自賠責の後遺障害も、リハビリ通院が一貫して半年続けば、14級9号を認定し易くなります。

 一方、信号待ち停車中、後ろの軽自動車がブレーキから足を離したため、コツンと衝突、修理費はバンパー交換程度の10万円。誰がどうみても大ケガをしたとは思ってくれないはずです。駐車場内(低速度)で、車の角がちょこんと当たっただけ、直進道路で割り込みされて、左前のフェンダーをこすっただけ・・・大した衝撃ではないはずです。中には、すれ違いざまにお互いのサイドミラーがこすっただけで、入院した被害者さんもおりました。もちろん、これらは詐病者扱いされます。軽い衝撃でも、心配なので数回通院した程度ならOKですが、3か月以上も通おうものなら、保険会社は治療費をきっぱり打ち切ってきます。それでも、文句を言えば、弁護士を立ててくるでしょう。これを保険会社の横暴と思いますか?    確かに例外的に軽度の衝撃でも、不意打ちに弱い人体ですから、頚部に神経症状が起きることはあります。それらレアケースでも、保険会社は(どうせでない)明確な他覚所見を要求します。仮に頑張ってリハビリを半年続けて、自賠責に後遺障害の申請をしても、14級認定は絶望的です。最近も、提出後、自賠責保険・調査事務所から、「物損の見積もりを提出してくれませんか」と追加要請が入り、10数万円の見積もりを提出した瞬間、非該当と通知がきました。やはり、受傷機転をみています。車同士の場合は、衝突の衝撃程度=修理費でまず予断しています。そもそも、自動車搭乗中の受傷事故の場合、調査の第一歩は修理費の確認です。大まかに大破、中破、小破の3段階に分けています。小破の場合、その程度の衝撃で具体的にどのように痛めたのか、厳しく審査されるわけです。  

 「その程度の衝撃で、何か月も通院するケガのわけはない。被害者はいつも大げさだ」と思われても、仕方ないと言えます。稀に、軽度の衝撃に関わらず、神経症状が重い場合は、専門医の診断と検査を重ね、自ら立証しなけらばなりません。むち打ち裁判の多くは、明確に勝訴の判例は少なく・・自賠責が認めなかった「軽度の受傷機転」に裁判官も傾くようです。    自賠責保険は、まず常識で判断しているのです。    中には、不幸にも軽度の衝撃ながら、神経症状が重度化してしまった被害者さんもおります。その救済は、私達も大変です。あらゆる検査、検証を加えて、自賠責保険にすがりつくような申請を試みます。この場合、多くは受任せず、諦めるよう言います。可能性のある方だけ受任、頑張っても30%程度の勝率です。どこの事務所でも、受任するか否か、非常に迷うのです。  

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 受傷機転とは、「どような事故状況で、どのように受傷部位に衝撃が加わったか」を説明したものです。これを、自賠責保険の後遺障害審査では非常に重視しています。受傷部位・診断名ごとにその理由を説明します。不定期ですが、シリーズ化の予定です。本日は、よもやよもやの膝関節。    以前から、再々受傷機転の重要性を語ってきました。自賠責保険は、審査上、医師の診断名を鵜呑みにしません。必ず、レントゲンやCT、MRIの画像を確認します。ここで「確かに損傷がある」としても、直ちに等級認定しません。受傷機転に戻ります。①「このような事故状況で膝を強打するだろうか?」、②「この程度の衝撃で靭帯や半月板が損傷するのか?」と、極めて常識的な疑問を持ちます。

 私達がよく相談者さんに説明する話法はこうです。「床に固いガラスの玉と柔らかいゴムの玉を落とすと・・・割れるのはガラスですよね」。ガラス玉は骨で、ゴム玉は靭帯を指します。つまり、膝に衝撃が加わったとして、骨折を回避できたのに、都合よく靭帯や半月板だけ痛めるのは、極めてまれなことだと思うわけです。例えば、自動車搭乗中に追突されて、踏ん張った拍子に膝を痛めた・・・この程度の衝撃で膝の靭帯が切れるはずはないと思われるでしょう。仮に、玉突き衝突で前車にも追突して、ダッシュボードに膝を打撃した場合、可能性は感じます。そこで、膝蓋骨(膝のお皿)が骨折していれば、靭帯や半月板の損傷は信用されます。ところが、骨に異常なく、都合よく靭帯だけが切れたとなると、にわかに信用できなくなるわけです。

 一方、自転車搭乗中に交差点で左折自動車の巻き込みにあって、人体への打撃はほとんどなかったが、脚が自転車に挟まって膝関節をひねり、前十字靭帯が断裂した例はありました。これは、事故状態から十分に説明できるので、靭帯損傷は納得できるものです。    通常、医師はこれら受傷機転を考慮することなく、画像検査や問診・触診から損傷があれば、診断名にします。受傷の原因はどうであれ、診断を下すことが医師の仕事です。しかし、相手保険会社、そして、自賠責保険の調査事務所は受傷機転に納得いかなければ、医師の診断名を疑う、あるいは陳旧性(事故以前の古傷)病変と思うのです。これが、交通事故外傷にまつわる紛争化の原因なのです。    MRIを撮って、靭帯の不全断裂、もしくは軽度損傷が見つかりました。医師も画像から診断名をつけました。さて、この損傷は事故受傷によるものでしょうか? これを、ケガと事故の直接因果関係と呼びます。ここでも、最も参考とするのは受傷機転なのです。次いで、事故直後の行動でしょうか。例えば、中高年の男性が自転車で自動車と衝突・転倒し、膝を強打したとします。しかし、骨折なく、多少のスリ傷程度です。通常、靭帯が断裂した瞬間、「ゴリッ」「ボキッ」と音がします。アキレス腱断裂などは周囲にも音が聞こえます(剣道部のあるあるです)。関節内出血が起きれば、膝部が腫れあがって膨張します。 でも、それらがない。

 何より、大の男がのたうち回る位に激痛です。まともに歩けません。それが、立って普通に歩けるのは何故か? これらの情報から、事故受傷が主原因ではなく「元々、経年性の損傷が半月板や靭帯にあった」との推定が働きます。とくに、変形性膝関節の兆候がある中年女性の場合、半月板がすり減っている人が多いものです。

 事故現場から普通に自転車に乗って帰宅し、翌日になって痛みで病院に行ったら、靭帯損傷の診断名となりました。これも、実に不自然でしょう。対して被害者さん達は、事故直後はアドレナリンがでて痛みを感じなかった、仕事に遅れるので痛みをこらえて急いで会社に行った、痛みはあったが日曜だったので翌日病院に行ったと言い訳します。しかし、一般人にそんな我慢は無理です。訓練された軍人やスポーツ選手なら可能性がありますけど(ランボーやマイク・タイソンなら可能でしょう)。普通、事故の衝撃で靭帯が切れたら、歩けない程痛みます。それを現場検証に来た警察や周囲の人がほっておくでしょうか? 救急搬送が普通、自転車など漕げるはずがないのです。

 ただし、すべてが嘘とは言えません。経年性で靭帯や半月板に劣化があったとして、無症状だった人が、事故の衝撃から痛みや不具合を発症することはあり得ます。そこは、自賠責も鬼ではありません。受傷直後~半年間、症状の一貫性があれば、14級9号(局部に神経症状を残すもの)のお茶を濁すような認定もあります。ただし、自転車を漕いで帰った人や、1週間後にやっと病院に行った被害者さんは、苦しい・・「非該当」になると思います。    このシリーズ、毎回の結論ですが、「自賠責保険はまず常識で判断」しているのです。    受傷者がアスリートなど特殊な例は除外。これら個別具体的な事情のある後遺障害は、裁判で後遺障害等級を勝ち取らねばなりません。

 

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 昨日の実績投稿の解説に付随して、保険会社が定める治療期間について、意見を加えたいと思います。

 

90日後に打ち切られる被害者

   交通事故で被害者となりました。診断名は頚椎捻挫、いわゆる、むち打ちの類です。相手の保険会社は治療費を病院に直接払ってくれます。これを「一括払い」と呼んでいます。被害者さんは治療費の立替なく、安心して通院できます。そして、2か月を超えた頃、「症状はいかがですか?」⇒「そろそろ、治療は終わりませんか?」⇒「弊社としては3か月をもって治療費の対応を終わりたいと思います」・・このように、3か月の治療費打ち切りを徐々に切り出してきます。

 一方、被害者さんがそれまでに治れば、何ら問題はありません。しかし、中には神経症状がしつこく残り、理学療法を継続したい方もおります。そこで、「ふざけるな!治っていないのに打ち切りとは何事だ!」とケンカになります。治るまで治療費を払わせることは、被害者の当然の権利だと思っているのです。しかし、それは当然の権利ではありません。保険会社にしてみれば、便宜上、一括払いをしているに過ぎません。これは、裁判できっちり白黒ついています。保険会社は独自の判断で、いつ治療費を打ち切ってもなんら罪はないのです。

 もちろん、治療費支払いの継続を巡って争うことはできます。しかし、勝ち負け定かではなく、半年以上かかるかであろう裁判へ・・現実的ではありません(現実にやる被害者さんもおりますが)。その間、決着がつくまで、当然に治療費は自腹です。ここで、被害者さん達は、「100日後に死ぬワニ」ならぬ、「90日後に打ち切られる被害者」となります。

 

打撲捻挫は3か月間! の理由とは?

   3か月とは実にざっくりした数字です。患者個々に症状の程度は違います。症状の軽重や、患者の都合から、期間を一定に類別すること自体に無理があります。しかし、そんな悠長に考えていては、保険会社の仕事は進みません。SC(支払い部門)の職員によると、整形外科の医師が想定する、傷病名からの平均治療期間を定める基準が存在し、それを根拠に判断しているとのことです。どこどこの骨折の場合は〇か月等々、その資料をみたことがあります。十把一絡げ(じっぱひとからげ)の基準ですが、一応、臨床を重ねたデータから医学的に定めたものです。これを建前とします。

 では、根拠はそれだけでしょうか? 実は、任意保険会社(以下、任意社)の一括払いとは、治療費や休業損害、傷害慰謝料など支払った分は、自賠責保険からきっちり回収できます。つまり、その限度額である120万円までは、任意社のお腹は痛まないのです。すると、120万円まではわりと鷹揚に治療期間をみますが、休損や慰謝料を含めた金額の合計が限度額に近づく・・その期間がおよそ3か月であることに気が付きます。私は、SC勤務の経験のある秋葉は、任意社の本音はここにあると思ってしまうのです。

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 保険会社は無制限に治療費を払ってくれるわけではありません。被害者さんのケガの診断名や受傷機転(どのようにケガをしたのか)など、客観的な事実から、相当する治療期間を判断をしています。私は、この保険会社の姿勢を直ちに批判する気はありません。医者でもない保険会社社員こそ、平均値から判断せざるを得ないと思います。しかし、物事は平均的な基準では測れないことが多々あるものです。交通事故での典型例は、何と言っても「むち打ち」です。

 同じような受傷機転(どのように受傷したのか)、医師の下す同じ診断名でも、症状の個人差は絶大にあります。ある人はまったく病院に行くこともなく無症状です。また、仕事が忙しく通院できないと、湿布を貼って治す方もいます。そして、頚部の神経症状が惹起され、上肢~手指のしびれが収まらず、それこそ、半年から数年にわたって症状に悩まされる方も存在するのです。一方、大げさに症状を訴えて、慰謝料増額を期してか長期治療を画策する悪い人も少なくありません。そもそも、傷病そのものに対して、年齢、性別、体質、既往歴など、個人差があって当たり前です。

 このように千差万別の患者さんは、同じ程度の衝撃でも生まれるのですから、個々にその治療期間を断定するなど、端から難しいのです。

 それでも、治療費を払う側の保険会社は、むち打ち患者全員に一定の基準を押し付けてきます。打撲・捻挫の平均的な治療期間はおよそ3か月とみています(この3か月説に関するよもやま話は、明日の記事で追補しようと思います)。この治療費打ち切りの打診に、症状が残っている患者さんは大パニックです。でも、決して慌てる必要はないのです。本例のように、健保に切り替えて粛々と治療を続け、自賠責保険の後遺障害審査に付して、ここで症状を認めてもらい、後遺障害慰謝料と逸失利益(10年以上通えるほどの治療費に匹敵します)を確保すれば良いのです。

 さらに、14級認定となれば、途中から自腹だった治療費も取り戻すことが容易です。弁護士が、「後遺障害が認められたのに治療費を打ち切って・・保険会社(担当者)の判断ミスでしたね」と言えば足りす。まさに、大逆転の解決になります。

 治療費を巡って保険会社とケンカするなど、時間の無駄、愚の骨頂なのです。      治療費など些細な金額です。後の賠償金で取り返せばよいのです  

併合14級:頚椎・腰椎捻挫(50代男性・神奈川県)

【事案】

信号のない交差点で、一時停止無視の自動車と出会い頭衝突、首と腰を痛め通院するも、事故から三か月目に保険会社から治療の打切りをされる。

【問題点】

事故車の損傷度合いから、軽度な事故と判断されてもおかしくはなかった。保険会社から早めに治療の打切りを打診される予想から、早めに弁護士を介入する必要があり、契約を急ぐも、本人の都合が合わずになかなか弁護士介入が出来なかった。

そうこうしている内に、3ヶ月目で治療費一括対応の打切りを宣告され、ご本人から慌てて連絡が入った。

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 交通事故・科学の教科書において定番の、「ビル落下時の衝撃」から説明しましょう。

 自動車が衝突したときの衝撃について、そのスピードから換算すると以下の図のようになります。<『図解 交通資料集』立花書房より >・・いつも、参考にさせて頂いています。

 例えば、時速60km/hで壁に激突した場合、ビル4階(およそ高さ14m)から地面に落下した衝撃と同程度の衝撃となります。高速道路で80kmを超えるような追突だったら、車ごと人間も潰れてしまいそうです。逆に渋滞中、ブレーキから足が離れたクリープ走行で追突された場合、せいぜい10km以下ですから、衝撃はバンパーで十分吸収できます。つまり、大したことない衝撃となるはずです。  

 計算式は以下の通り。時速36km(秒速10m/s)の場合です。40キロに満たなくとも、すごい衝撃となります。

※ 空気抵抗を無視した計算です。考慮すると衝撃は少し下がります。    空気抵抗を加えると文系の私では手に負えない計算式となりますので、大よそはこの計算から衝撃度を想定します。このような計算は、弁護士が裁判で事故の衝撃を立証する際、用いられる科学的根拠=理屈です。加害者側保険会社においても、物損損害でもめた場合(自動車がそんなにひどく壊れたのか?)、アジャスターの損害調査に加えて、科学鑑定を依頼する場面に登場します。

 被害者の医療調査を請け負う私達も、知っておくべき知識です。もっとも、自賠責保険側が考える”衝撃度”の検討は、被害車両の修理額から小破・中破・大破でおおまかに分類、判断していると推測しています。当然、「少破程度の被害から、むち打ちで後遺症になった」としても説得力は下がります。

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 むち打ち・打撲捻挫の類は、骨折などの明らかな人体の破壊がないので、普通、その衝撃はそれほどでもない、大したケガではないと判断されます。

 相手保険会社は「打撲捻挫など腫れが引けば治るもの」と考え、3ヶ月を超えるような長期通院に理解など示しません。早期の治療費打切りに及ぶでしょう。さらに受傷時の衝撃具合は、後遺障害認定における14級9号の判定に絶大な影響を与えます。「その程度の衝撃で後遺症を残すほどの重傷なの?」・・・当たり前の疑問です。

 このような受傷時の衝撃を説明するものが「受傷機転」です。どのように接触・衝突、事故となったのか、です。バンパー交換程度の軽微な追突、交差点の出会い頭衝突でもバンパーの角がつぶれた程度、二車線道路で割り込み車とフェンダーがこすった程度、これらの衝撃で何日も病院に通うなど、誰がみても大げさにみられるのです。

 ところが、打撲捻挫でも症状が長引く被害者さんも一定数存在します。保険会社の冷たい対応を受けてご相談を頂きます。ご依頼となれば、症状の証明に奔走、後の後遺障害立証についても全力でフォローすることになります。しかし、受傷機転だけは変えようがありません。私達の努力が及ばない部分なのです。

 かつて、すれ違いざまに対向車とドアミラーがこすっただけの接触事故ながら、頚椎捻挫で数ヶ月通っている被害者さんの相談を受けました。頚部痛のみならず、めまいと頭痛、不眠、肩こり、不安症も重なり、今でも過呼吸で倒れそう・・心療内科へ一直線です。さらに、視力低下、難聴、便秘、生理不順、夫婦仲の悪化や子供の教育問題まで、ほとんど更年期障害の症状はおろか、交通事故による家庭崩壊まで訴えるのです。そして、保険会社の(治療費打切りの)横暴を1時間に渡りまくしたてます。

 残念ながらいくら熱弁しようにも、受傷機転から訴える症状の信憑性を見出すことはできません。主治医も、もはや面倒な患者に関与せず、医学的な証明など程遠いところに行ってます。せいぜい心因性の関与しか診断できないでしょう。対応できるのは心療内科医か、はたまた心霊治療、悪魔祓いの選択です。保険会社の治療費打切りが至極当然に思えます。  

 連携弁護士も丁寧にお話を伺い、色々と対策を思案します。しかし、事故状況・衝撃から発症したその症状は、あらゆる自然科学、物理法則に逆らうスーパーナチュラル(超自然現象)なのです。治療費の請求など絶対に通りません。常識や科学に反した請求など、ダメなものはダメなのです。  

 大なり小なり、このような相談を何十件、いや何百件も受けてまいりました。当然、お力にはなれません。それでも、数件は真剣に検討したものです。

 それは明日以降に。  

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 こんにちは、金澤です    今日は交通事故被害に遭われた方にも多い、鎖骨の骨折について記事にしていこうと思います。

 整骨院では、鎖骨に限らず骨折直後に来院してくることは殆どありません。あったとしても、おばあちゃんが「さっき転んでから手が痛いの」 →コーレスじゃないですか!

 おばあちゃんが「朝起きて息したら痛い」 →おばあちゃんは寝返りや咳するだけで肋骨がイってしまう。 等々です。

 肋骨は、整形にいっても何もする事はないですが、一応は整形に送ります。ですので、整骨院に来る方としては、半年前に骨折をして治ったけど、どこどこが痛い。など訴えて来院されます。そして本題の「鎖骨骨折後、せおうことになる痛み」。鎖骨というのは、沢山の筋肉が着きます。 一つの骨につく筋肉の数で言うと上位です。

・三角筋  ・僧帽筋  ・大胸筋  ・胸鎖乳突筋  ・鎖骨下筋

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佐藤、今日はバッターです。

 日本ハムファイターズの清宮幸太郎選手が怪我したことで一躍有名になった「有鉤骨」ですが、交通事故においては、傷病名として目にすることが少ないと感じています。手根骨の骨折は手関節機能に影響を及ぼしますが、有鉤骨についてはほとんど影響がありません。その為、14級9号を前提に進めていくことが望ましいと考えますが、様々なケースを考えてみましょう。

有鉤骨とは8つの手根骨の一つです 

 まず、有鉤骨とは手根骨と呼ばれる手首の8つの骨のうちの一つであり、薬指・小指の下に存在する骨です。主にスポーツで負傷してしまうことが多いでしょう。野球のバッティングやゴルフ、テニスのスイングで骨折することが多いようです。負傷の原因としては、外力によるものと、蓄積したダメージによるものに分かれます。交通事故は前者ですね。交通事故の場合には、バイクや自転車のグリップによって、転倒した際に地面に手を付いた等、骨折の可能性があります。症状は「腫れ」、「痛み」、「熱」が強くなると言われていますが、具体的には小指の痛みや痺れがひどくなるようです。ひどい場合には、握力低下や小指の可動域にも影響が出るとも言われています。

 治療法としては、他の骨折同様に「保存療法」と「手術」に分かれます。保存療法では、ギプス等で小指までしっかりと固定します。(有鉤骨には「短小指屈筋」と「小指対立筋」という小指を動かす筋肉がくっついているので)一方、手術では、「接合術」と「摘出術」に分かれます。「接合術」は、ネジを使って固定します。しかし、手根骨全般に言えますが有鉤骨は血流が悪い為、癒合がしにくいという点からこの手術はあまり一般的ではないようです。「摘出術」は、骨片を除去します。癒合を待つ必要が無い為、リハビリの開始時期も早めることが可能となります。    有鉤骨骨折により、小指に可動域制限が残存した場合には、13級6号「1手の小指の用を廃したもの」に該当する可能性がありますが、小指対立筋と短小指屈筋の損傷等を明らかにする必要があるでしょう。そうは言っても非常にハードルが高い為、14級9号認定となるケースが多いようです。    

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高次脳機能障害の性格変化については、医師が高次脳機能障害の専門的な知見を持たない限り、非常に見逃されやすい症状と前回述べました。

その理由として、以下の(1)~(3)等があげられます。   (1)かかりつけ医がいない限り、事故後病院に運ばれてからはじめて医師に会うことが多く、事故前の患者の性格を確認できないことが多いこと。   (2)事故後の患者を診て頂いても、現状の性格が事故前と違うのかどうかを確認することは、高次脳機能障害に知見の深い病院や医師でない限りあまりないこと。   (3)高次脳機能障害の患者は、性格変化の症状を自覚することはほぼ無く、患者自ら医師に訴えることはあまりないこと。また、不思議なことに、就労不能レベルではない程度の性格変化の場合、家族の前でしか症状が現れず、医師や近所の方々に会う場合には普通に接することができる患者もいます。よって、患者から医師に対して症状を訴えることはあまり期待できません。 そこで、性格変化の症状を必要になってくるのは、家族、特に同居している家族からの報告です。事故前と事故後の性格の違いを判断でき、さらに、医師や病院関係者、近所等の他人に対しては症状が出ないことがあるため、性格変化の症状を一番認識できるのは家族だけなのです。     高次脳機能障害によって性格が変わってしまった場合、これに対する治療方法は、投薬方法があげられますが、効き目は人によってバラバラです。また、投薬以外にできることはあまりありません。このことから、一部の医師は、性格変化について、日常生活に大きく影響しない場合は重く受け止めて頂けないことがあります。この点、性格変化が加齢等によるものであれば、やむを得ないこともあるかもしれません。

他方で、交通事故の場合ですと、保険会社に治療費を請求するため、あるいは後遺障害申請をするため、診断書に性格変化まとめて頂く必要があります。

しかし、短い診察時間で性格変化は表出しづらく、「臨床上大したことない」「診断書に書く必要がない」等、まじめに取り合ってもらえないことがあります。肝心の医師が高次脳機能障害に対して理解して頂かないと、意味がありません。このような医師にあたってしまった場合、性格変化について立証する手段としては、(1)専門医の紹介状を書いて頂き、専門医の診察を受けること、(2)家族からの「日常生活状況報告」として日常のエピソードと共に性格変化の内容についてまとめてから後遺障害申請をすること、の2点があげられます。

専門医や高次脳機能障害について知見の深い病院であれば、家族から性格が変わったことを報告されると、診断書やカルテにまとめてくれます。また、性格変化で日常に影響が出る場合も専門的なアドバイスももらえますので、保険手続面や後の裁判面だけではなく、今後の日常生活を送る上でも、症状をメモ等にしてまとめておくことをお勧めします。また、医師は診察中忙しく、逐一報告しても聞いて頂けないことが多いこと、本人の目の前で性格が変わったことを報告するのは躊躇いがあることが多く、これらの事情からも、メモにしておけば医師に渡して報告が出来ますので、その方面でもお勧めします。  

なお、弊所では専門医にお連れすることだけではなく、やはり家族からの本人の状態・症状を確認し、かつ、家族には常日頃、気付いた点をメモにまとめるようにアドバイスしています。というのも、上記(1)(2)はいずれも重要であるため、後遺障害申請時に使用する日常生活状況報告をまとめる際に極めて有効な手がかりになるといえるからです。

交通事故に遭われた方はご自身で治療努力することは当たり前のことですが、高次脳機能障害で自分ではどうしようもない状況になってしまった場合、最後に助けてくれるのは信頼できる家族である、と言えます。    

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