(1)病態

 震盪とは、激しく揺れ動かすという意味で、脳震盪は回転加速度による衝撃により揺さぶられると生じると考えられています。画像で損傷部位が特定できない脳損傷は「びまん性」と定義されており、脳震盪は”脳損傷のない”軽度の病態と区別されています。

 交通事故では、歩行者や自転車と自動車の衝突の衝撃で、被害者が気絶したが、ほどなく、むっくり起き上がり、周りが安堵しているイメージです。軽度な脳損傷であっても、脳震盪を繰り返すと、将来、パンチドランカーのようなダメージが出てくることが明らかとなっており、受傷直後は、深刻に対応すべき傷病名です。

 フルフェイスのヘルメットでバイクを運転中、交差点で自動車と出合い頭衝突し、投げ出された被害者に、事故後のCTに画像所見は得られないものの、重篤な見当識障害、記憶障害などの高次脳機能障害が出現し、MRIのT2スターでびまん性軸索損傷、脳表面の広範囲の点状出血が確認され、後遺障害として2級1号が認定されたことも複数回経験しています。脳は、直接的な打撃でも損傷しますが、回転加速度による衝撃により揺さぶられることで損傷します。幼児を執拗に揺さぶって、急性硬膜下血腫で死亡させた幼児虐待例も新聞を騒がせています。脳は、揺さぶりの衝撃に弱いことを覚えておいてください。   (2)症状

 脳震盪では、頭部に加えられた衝撃により脳細胞が一時的に機能を停止したのか、あるいはその一部が損傷されるかして、一過性の意識障害を発症します。症状としては、受傷時の記憶喪失=健忘が起こるため、受傷当時のことを思い出せません。日付や場所、周囲の人のことが分からない見当識障害や意識消失が見られます。大半は、健忘だけが残り、その他の脳の機能異常は認められません。

(3)診断と治療

 6週間程度で脳神経伝達物質の代謝は正常化するので、経過観察だけで正常に回復します。頭痛や嘔吐があれば、安静、点滴、対症療法として鎮痛薬や吐き気止め薬などが処方されます。

 失われていた記憶の一部はもどりますが、怪我をしたときのことは思い出せないのが普通です。ただし、大部分で、その後に記憶障害が後遺症として残ることはありません。

 受傷時に意識障害があったときは、脳震盪が疑われます。頭をぶつけた子どもに対して、医師や看護師は、「すぐ大泣きましたか?」 と質問しています。これは、意識障害の有無を確認しているのです。すぐ泣いて、念のために撮影したCTで出血がなければ、脳震盪自体は心配ありません。

 交通事故で、脳震盪と診断されたが、休まずにラグビーの試合に出場、タックルを受けて気絶した?これは、大変危険で、最初の脳震盪の症状が残っている状態で、再度衝撃を受けたときは、セカンドインパクト症候群を発症し、死に至ることや重篤な後遺障害を残すことが報告されています。   ※セカンドインパクト症候群、SIC

 頭部に外傷や打撲などの衝撃を受け、脳震盪を発症した後、時間が経過しないうちに再び頭部に衝撃を受けることで発生する症状のことで、脳に損傷が生ずるリスクが高まり、より重篤な症状を呈することが報告されています。脳震盪のレベルは、①失神を伴わない軽度、②失神がしばらく続く中等度、③失神が比較的長く続く高度に分け、検証されています。  ① 軽度では、一過性の意識消失で、バランス感覚の消失や見当識障害などを伴い、②③中等度以上では、頭痛が持続し、四肢のしびれ感や吐き気のほか、健忘や記憶障害を伴うことがあります。  アメリカでは、中学の女子サッカー選手に多く脳震盪が見られることで、成人に比べて衝撃の大きいヘディングを10歳以下の選手に禁止することをアメリカサッカー協会が公表しています。また、ラグビー選手が脳震盪となったとき、3週間は試合に復帰せずに様子を見ることをアメリカ神経学会から勧告されています。日本においても、全日本柔道連盟が、脳震盪を起こした柔道選手に対し、2~4週間の練習休止を求めています。脳震盪を起こして頭痛や吐き気などが持続するときは、検査結果で異常が認められなくても、1週間は、安静にして経過観察をすべきです。   (4)後遺障害のポイント

 脳震盪では、2週間以上の安静、スポーツの禁止を守っていれば、後遺障害を残すことはありません。      次回は様々な障害が懸念される・・ ⇒ ⑤ 頭部外傷 頭蓋低骨折  

続きを読む »

(1)病態

 交通事故では、軽い衝突事故で、多くは、歩行中の子どもに発生しています。皮下血腫、帽状腱膜下血腫、骨膜下血腫、いずれも、広義には、たんこぶです。

 頭皮は、表面から順に皮膚→皮下組織→帽状腱膜→骨膜で形成され、その下に頭蓋骨があります。たんこぶであっても、血腫の部位により、皮下血腫、帽状腱膜下血腫、骨膜下血腫に分類されます。たんこぶは、皮下血腫であり、帽状腱膜下血腫や骨膜下血腫は、子どもに多い、特殊なたんこぶで、帽状腱膜下血腫、骨膜下血腫となると、やや大きく、触るとブヨブヨしており、触るとその部分が陥没しているかに感じますが、決して、頭蓋骨の陥没骨折ではありません。   (2)症状

 打撲部の痛みを訴え、みるみる腫れてきます。直後に大泣きしたときは、重大な脳損傷の可能性は低く、安心できる状況です。反対に、暫くボーッとして意識が朦朧としているときは、病院に走らなければなりません。   (3)治療

 放置しておいても、自然に治癒しますが、帽状腱膜下血腫、骨膜下血腫では、特に子どもでは、血腫の吸収が不良で、1週間位経過しても、逆にブヨブヨと溜まってくることがあります。そんなときは、小児科を受診、穿刺して水様の血腫を吸引すれば、治癒します。   (4)後遺障害のポイント

 たんこぶ三兄弟で、後遺障害を残すことはありません。

 昔、祖母が頭を打った時に「たんこぶが出たら安心だよ。たんこぶがでないと危ないんだ。」と言っていたのを思い出しました。確かに、たんこぶの出ない脳内出血(硬膜下血腫、硬膜外血腫、クモ膜下出血)なら、処置が急がれます。    次回も軽傷? ⇒ ④ 脳震盪  

続きを読む »

 頭部外傷のシリーズにて、てんかんを集中的に取り下げています。脳を原因とするてんかんは「症候性てんかん」の診断名がつきます。交通事故による外的な破壊=高エネルギー外傷からも多くみられます。    最後にまとめ・総論と後遺障害について。 <総論は医療情報のトップサイト、メディカルノート様から引用しました>   (1) 概要

 症候性てんかんとは、腫瘍しゅようや脳出血、脳梗塞などの脳疾患が原因となり生じるてんかんのことを指します。てんかんは、脳の慢性的な病気のひとつであり、脳の神経細胞に異常な電気的興奮が起こることで、けいれんなどのさまざまな発作を繰り返す病気です。

 症候性てんかんは後天的に発症するものが多く、すべての年齢層で生じる可能性があります。特に、近年では高齢者の症候性てんかんが多くなっており、発作時の転倒による骨折などが問題となっています。   (2)原因

 症候性てんかんは、脳の異常によって生じます。小児の場合には、先天性の脳奇形や出産時の低酸素脳症、脳内出血などの障害が原因になり、成人の場合には、脳梗塞や脳内出血、くも膜下出血などの脳血管障害、腫瘍しゅようなどの脳の器質的な病気が原因となります。小児から高齢者まで共通する原因としては、頭部外傷や髄膜炎、脳炎などの感染症が挙げられます。

 これらが原因となって脳に障害が加わると、神経細胞が異常興奮を生じることがあります。その結果、けいれんなどてんかん特有の発作が引き起こされます。    (3)症状

 てんかんには、大脳半球の一部のみに電気的興奮が限局している部分てんかんと、両方の大脳半球に電気的興奮が生じている全般てんかんがあります。症候性てんかんは、部分てんかんがほとんどです。

 脳の異常がある部分によって、生じるてんかんも異なります。それぞれ側頭葉てんかん、前頭葉てんかん、頭頂葉てんかん、後頭葉てんかんと呼びます。側頭葉てんかんと前頭葉てんかんが多いとされています。

続きを読む »

   先の宮尾氏の実例、その詳細と顛末、そして教訓は以下の通りです。てんかんはそれなりに珍しく、相手損保も不慣れです。重傷例では、毎度のことですが、被害者さんは相手損保の対応に唯々諾々ではなく、よくよく考えて自ら判断し動く必要があります。   【宮尾氏の実例】外傷性てんかん2級1号

 この事故は、1995-3、大阪の郊外で発生しました。被害者は39歳の男性です。4トントラックの荷台から運転席後部のはしごを伝って道路に降りる際、通りかかった2トントラックのバックミラーに跳ね上げられ、頭部から路面に落下しました。

 加害者は後日に出頭しましたが、事故現場から逃走、いわゆるひき逃げ事故でした。傷病名は、脳挫傷・急性硬膜下血腫・頭蓋骨陥没骨折で、搬送先の病院でただちに開頭の上、骨片と血腫の除去、硬膜修復術を受けました。さらに、2カ月後に頭蓋骨形成術を行う極めつけの重篤でしたが、順調に回復し1995-6には退院までに漕ぎ着けました。

 通院で左半身不全麻痺の猛烈なリハビリ訓練中の1995-10、最初のてんかん発作を発症したのです。意識喪失・尿失禁を伴う大発作です。この直後から、大阪大学医学部付属病院脳神経外科に転院、再入院となりました。病院では脳神経外科と神経内科が共同で治療に当りましたが、この被害者は症状固定の1999-5までの5年間にわたって苦しみ続けました。

  私が彼を担当したのは、1998-12です。すでに事故から4年が経過していました。損保は、例によって休業損害の内払いを停止し、打ち切り攻勢です。治療は、労災保険の適用を受けていたので、私は労災保険の特別支給金の申請を急ぎました。12月中の支給は間に合いませんでしたが、翌年の1/末に振込みがなされました。特別支給金は、給与の20%に相当する金額です。損保から、休業損害の内払いを受けていても申請すれば支払われる労災保険独自の恩典なのです。しかし請求そのものは、2年で時効が成立するのです。

 この被害者ですが、97、98年分は支給を受けたのですが、95、96年分、金額にして168万円は、時効成立により棒に振ってしまったのです。入院直後に治療先で、「治療費を労災保険の扱いにしてほしい!」 と懇願したのは相手損保です。その手続きを担当したのは、損保から依頼を受けたリサーチ会社です。「知らなかった?」 と言えば、それまでのことですが、大変やるせなくなりました。

 もう一つあります。治療費は、初診の病院が労災保険の扱い、大阪大学医学部付属病院が健康保険の扱い、大阪大学医学部付属病院が指定した被害者の自宅近くの治療先はなんと自由診療の扱いです。どうして、そんなアホなことが?「転勤による担当者間の引き継ぎがうまく機能しなかった?」 相手損保の言い訳です。払わなくてもいい治療費を120万円も支払って、その後に20%の過失相殺を押し付けてきたのです。怒る気力も萎えてしまったのを、はっきりと覚えています。拒否したことは言うまでもありません。

 泥縄の損保でしたが、1999-5、被害者と家族の同意を得て、症状固定を選択しました。被害者も弁護士に依頼し、後遺障害部分について、被害者請求の委任請求を実施したのです。等級認定までに5カ月を要しましたが、結果、2級1号が認められました。自賠責保険で2590万円を受領したのです。

 この傷病の被害者の家族が気をつけなければならないのは、発作の回数にこだわるだけでなく、性格変化・人格低下について日常生活で十分なチェックをすることです。性格変化・人格低下は日常生活の中でよほど注意をしていないと見落としてしまうものなのです。私は仕事で、「小学校2年生程度の知能・情緒」と診断された、被害者の対応をなんども経験していますが、難しい政治や経済も普通に話し、どこから見てもごく普通の一般人が多いのです。なにかの決断に迫られたときに大きな段落に落ち込むとのことですが、分かりやすく表現すれば、なにから、なにまで小学校2年生ではないということです。

 先の被害者は受傷から症状固定までに5年を要しました。てんかん発作を多発しておりましたので、やむを得ないと判断されます。これほどの外傷性てんかんを経験したのは30年間でたったの1回だけですが、発作に至らないものはそれこそ無数に経験しています。一般的に外傷性てんかんの症状固定は遅れがちであるとの印象を強く持っています。特に子どもさんの交通事故では、8年間のフォローも珍しくありません。しかし等級認定基準を理解すれば、賠償上の打ち切りは、もう少し早く持っていくのがポイントです。

 つまり抗痙攣剤の内服は積極的な治療ではないのです。1カ月に1回程度の脳波検査と抗痙攣剤の内服を8年も続けたとしても、脳波が安定すれば、治癒したことになり、後遺障害部分の評価は0円になるのです。交通事故そのものは、加害者の不注意を原因として発生するものが大半です。しかしこうむった被害の回復は、被害者自身の力でつかみ取っていくものです。加害者や損保の対応に憤っているだけでは、何も前に進みはしないのです。私の持論ですが、ここのところは大変重要な示唆を含んでいるのです。

 先の被害者は、2001-5、示談金9000万円で円満解決となりました。自賠分と併せて1億1590万円となりました。これ以外に労災からは月額30万円の障害年金が支給されており、これは一生涯続きます。今後も治療を継続していくのですが、それは労災保険が負担してくれます。てんかん発作の爆弾を抱え、就労のめどは全く立っていませんが、家族4人が生活できる基盤だけは確保できました。      てんかんのまとめ・後遺障害 ⇒ 続きを読む »

(4)後遺障害のポイント

 被害者側が注意すべきは、発作の回数に注目するのではなく、性格変化・人格低下の高次脳機能障害を、日常生活でつかみ取ることです。性格変化や人格低下は、被害者本人には自覚がなく、よほど注意していないと見落としてしまうことになるからです。    交通事故110番の宮尾氏によると、宮尾氏は保険調査員時代に「外傷性てんかん2級1号」を経験しています。以下、その経験則から、4段階の症状に分けて対策を提案しています。   【事案】歩行中、自動車に跳ねられ、頭蓋骨陥没骨折となった39歳会社員男性の件。神経心理学的テストの結果は、IQレベルで小学2年生程度の知能・情緒でした。治療先には、10回以上同行しており、季節・出来事・子どもの話も、普通にやりとりがあり、どこから見ても一般人でしたから、神経心理学検査の結果には、その低得点から非常に驚きました。専門医より、「今後、重大な判断や決断で、大きく(数値が)落ち込むことが予想される。」と説明を受けました。   ① 脳波上に、てんかん波を示す棘波=スパイク波が認められないとき

 脳波上、大きな異常が認められなくても、予防的に抗痙攣剤の内服が指示されることが大半です。脳波上の異常が確認されないときは、てんかん発作を発症する可能性は、基本的にはありません。予防的に6カ月程度の抗痙攣剤を内服し、3カ月ごとに脳波検査を受けます。脳波上、異常がなければ、内服を停止、さらに3カ月ごとに2回の脳波検査を行って、治療終了です。後遺障害等級が認定されることはなく、将来、てんかん発作を発症することもありません。   ② 脳波検査で、境界波ですねと言われたとき

 脳波検査で、α波や徐波が認められるときは、主治医より、上記の説明がなされます。やはり、抗痙攣剤を内服し、3カ月ごとに脳波検査を受けます。脳波検査で、異常波が消失した時点で、内服を停止し、さらに、3カ月ごとに2回の脳波検査を行って、変化がなければ、治療は終了します。後遺障害等級が認定されることはありません。   ③ てんかん発作はないが、脳波検査で、てんかん波=スパイク波が認められるとき

 ここから、後遺障害等級の対象となるので、治療先を選択してフォローしなければなりません。抗痙攣剤を内服し、3カ月ごとに脳波検査を受けます。内服をキチンと守って、過激な運動を控えていれば、まず、てんかん発作の心配はありません。

 てんかん波の終息時点で、抗痙攣剤の投与量を少なくしながら、さらに、3カ月ごとに脳波検査を続け、2回の脳波検査でてんかん波が認められないときは、内服を停止、さらに、3カ月ごとの脳波検査でチェック、私の経験則では、治療を完了するのに、約3年、最大で5年があります。

 長期間に定説はありませんが、一般的に閉鎖的外傷で5年以内、開放性外傷では10年以内とされています。長期であっても、必ず、脳波は正常に復帰するので、過剰な心配は必要ありません。   続きを読む »

 てんかん発作は、今まで受任した頭部外傷の中に一定数見られました。最大の問題は、再発作への警戒から症状固定日が遅れることです。ご本人ご家族にしてみれば、再発作に怯える毎日です。症状固定に進め、解決することに躊躇してしまうのです。  てんかんは論点が多く、3回にわけて解説したいと思います。   (1)病態

 頭部外傷後のてんかんの初期発作は、統計上は、約75%が1年以内となっており、開放性脳損傷は、閉鎖性脳損傷に比較すれば外傷性てんかんの発生頻度が著しく高く、陥没骨折後の発作頻度は、約30%と報告されています。

 専門医は、口をそろえて「2年間の観察と投薬、そして定期的に脳波検査」としています。   (2)症状

 外傷で、脳の実質部に残した瘢痕は、手術による摘出以外、消去することはできません。この瘢痕部から発せられる異常な電気的信号に、周辺の正常な脳神経細胞が付和雷同して大騒ぎをしている状態を、外傷性てんかん発作といいます。発作は、とき、ところを構わず、突然、発症しますが、時間的には、ほとんどが2、3分で終わります。

強直性全身痙攣発作

 

 発作には、大発作、焦点発作、精神運動発作がありますが、発作を繰り返すことにより、周辺の正常な脳神経細胞も傷つき、性格変化や知能低下の精神障害をきたします。高度になると痴呆・人格崩壊に至ります。

続きを読む »

 今日から頭部外傷をシリーズで掘り下げます。まずは、脳損傷に結び付く、頭蓋骨骨折から。  

A :陥没骨折  B:線状骨折(亀裂骨折)

 

 頭蓋骨は、身体の他の部位の骨が関節を形成したり、重力に対して体を支えたりしているのとは違って、脳を格納し、脳を守る容器としての役割を果たしています。頭蓋骨骨折は、見過ごすことのできない外傷ですが、すべてが重症化するのでもありません。

 ポイントは、頭蓋骨骨折に伴って、脳損傷を発症しているかどうかにあります。頭蓋骨骨折の衝撃で、脳損傷をきたすことも多発していますが、損傷に至らないこともあり得ます。逆に、頭蓋骨骨折がないときでも、びまん性軸索損傷などの重篤な後遺障害を残すことがあります。ここに立証側の着眼点を置くべきでしょう。

 頭蓋骨骨折には、以下の3つの病態があります。

 ① 線状骨折 ・・・文字通り骨にひびが入る。≒亀裂骨折。

 ② 陥没骨折 ・・・頭蓋骨が内側に凹んでいる骨折

 ③ 頭蓋底骨折 ・・・頭蓋骨の底辺部の骨折    今回は①と②を解説します。 ③ 頭蓋底骨折は、頭部外傷 ⑤ 頭蓋底骨折 Ⅰにて集中解説します。   ① 頭蓋骨線状骨折

 直接的な衝撃で、頭蓋骨に線状のひびが入った状態です。亀裂骨折との診断名を目にすることもあります。頭蓋骨は、脳を守る格納容器であり、線状骨折そのものが、手術の対象になることはありません。しかし、線状骨折するほどの衝撃を受れば、脳に対する影響が大きく問題視されるのです。XP撮影で線状骨折が診断されたときは、頭部CT検査が行われ、脳損傷の有無が確認されています。

 また、深刻な脳障害に至らずとも、頭痛やめまい、諸々の神経症状が残存することがあります。    線状骨折からめまいを発症した実例 👉 続きを読む »

3、血管の損傷による障害    ○ 内腸骨動脈損傷(ないちょうこつどうみゃくそんしょう)

① 病態

 赤丸部分の腹大動脈は、左右2本の総腸骨動脈に分岐し、総腸骨動脈は、内腸骨動脈と外腸骨動脈に分かれています。内腸骨動脈は、骨盤の後方部分に分布しており、骨盤骨折による血管損傷では、大量出血につながります。さらに、豊富な側副血行路がはり巡らされており、破綻した血管からの出血は容易にとめることができません。

 骨盤骨折の死因の50%は、出血であると報告されており、骨盤腔内の出血で出血性ショックを引き起こし死亡する例も、珍しくありません。   ② 症状

 骨盤骨折により、骨盤内の血管や臓器が損傷されると、出血斑や血尿、血便などのほか、低血圧や意識障害などの症状が出現します。   ③ 治療

 輸液・輸血にもかかわらず、血圧が上昇しないときは、ただちに内腸骨動脈造影を実施し、スポンゼルコイルを使用し両側内腸骨動脈の根元から血管塞栓術が行われています。   ※ 出血性ショック

続きを読む »

○ 男性の生殖器の損傷・障害    男性では、勃起障害が多く見られます。勃起障害は、泌尿器科におけるリジスキャンRによる夜間陰茎勃起検査を受けて立証します。夜間の勃起も計測しますので、2泊~3泊の入院が必要です。それなりに大変な検査で、実施できる病院と診察できる医師も限られます。

 完全なる検査はリジスキャン検査です。他の検査として、会陰部の知覚、肛門括約筋のトーヌスおよび球海綿反射筋反射による神経系検査、プロスタグランジンE1海綿体注射による各種の血管系検査があります。以下に図示・説明します。これらの検査により、勃起を支配している神経の損傷を立証しなければなりません。原因がわからず、とりあえずバイアグラが処方されている方もおりました。薬で改善するのであれば、心因性(勃起不全)かもしれません。  

1、会陰部の知覚

会陰部とは、俗に蟻の門渡りと呼ばれる外陰部と肛門の間に位置していますが、肛門の周囲を針で刺して痛みがあれば正常とされています。

 

    2、肛門括約筋の随意収縮

続きを読む »

2. 骨盤輪内に収納されている臓器の損傷    骨盤輪の中には、S状結腸、直腸、肛門、膀胱、尿道、女性では、これらに加えて、子宮、卵巣、卵管、腟が収納されており、消化管は下腸間膜動脈、女性性器は卵巣動脈と子宮動脈、泌尿器系は内腸骨動脈により必要としている酸素と栄養素が供給されています。   ○ 排便障害

 骨盤骨折に合併するS字結腸・直腸の損傷ですが、人工肛門の造設などの重症例はなく、経験則では、程度は様々ですが便秘を残すものが圧倒的です。S字結腸に外傷があって、その結果、便秘になったものが対象で、便秘を残すものについては、肛門括約筋を支配している骨盤神経もしくは下腹神経に損傷が認められることが条件となっており、これは、直腸肛門機能検査を受けて立証します。その上で、排便回数が週2回以下の頻度で、恒常的に硬便であれば、11級10号の認定がなされています。

 9級11号は摘便(手で肛門から便をかき出す)が条件ですから、重度の介護状態が想定されます。この場合、介護等級である別表Ⅰの第1号1級、2級1号に内包されることになります。単独の9級11号認定は未経験です。

 逆に頻便(便意がしょっちゅう、便の回数が1日数度、単なる下痢ではない)の場合については、13級11号「臓器の障害」に属します。臓器の13級は、各臓器のちょっとした不具合をこの認定に当てはめています。    13級11号:胸腹部臓器の機能に障害を残すもの     以下は、排尿、排便、尿漏れの3点セットが認定された例です。

👉 ...

続きを読む »

ストラドル骨折・マルゲーニュ骨折、恥骨結合離開・仙腸関節脱臼における後遺障害のポイント>    不安定型の骨盤骨折が癒合不良となった場合、具体的には変形(文字通り形が変わってくっついた)や転位(ズレてくっついた)、もしくは偽関節(くっつかなかった)となれば、変形の12級5号となります。また、これら癒合不良に派生する後遺障害と内臓損傷、神経損傷における障害は以下の3つが想定されます。   ○ 骨盤骨折自体に関するもので、疼痛、股関節の可動域制限、骨盤の歪みによる下肢の短縮

○ 骨盤輪内に収納されている臓器の損傷・神経損傷による障害

○ 内腸骨動脈などの血管の損傷による障害    以下、骨盤骨折から派生する後遺障害を解説します。  

1.

続きを読む »

(2)恥骨結合離開・仙腸関節脱臼   ① 病態

 骨盤は左右2つの寛骨が、後ろ側で仙腸関節、仙骨を介して、前側で恥骨結合を介してジョイントしており、左右の寛骨は腸骨・坐骨・恥骨と軟骨を介して連結し、寛骨臼を形成しているのです。この輪の中の骨盤腔は内臓を保護し、力学的に十分荷重に耐え得る強固な構造となっていますが、大きな直達外力が作用するとひとたまりもなく複合骨折をするのです。     ② 症状

 骨折部の強い痛みで動くことができず、内臓損傷では、腹痛、血尿、排尿困難、排尿の制御ができなくなり失禁することや下血、性器出血を伴うことがあります。仙骨神経に損傷が及べば、排尿・排便障害となることがあります。「頻尿」は常に尿意があり、回数が増える。または尿漏れ。逆に「閉尿」は尿が出なくなります。便ですと、それぞれ頻便、便秘です。仙骨神経の損傷から下肢のしびれ、ひどいと麻痺で動きが悪くなります。   ③ 治療

 上図のような不安定損傷になると、観血的に仙腸関節を整復固定すると共に、恥骨結合離開についてはAOプレートによる内固定の必要が生じます。

 上のイラストは、右大腿骨頭の脱臼も伴っています。大腿骨頭の納まる部分である、寛骨臼の損傷が激しいときは、骨頭の置換術に止まらず、人工関節の置換術に発展する可能性が予想されます。

  ④ 後遺障害のポイント    安定型の骨折でも触れましたが、骨盤の変形を問うことになります。そこを参照下さい。    👉 骨盤骨折 ④ 後遺障害のポイント    ただし、骨盤の一部とも思える仙骨は、脊柱として判断されます。つまり、「脊柱に変形を残すもの」=11級7号の認定になるわけです。↓ ...

続きを読む »

 中断してていました骨盤骨折、シリーズを再開します。   👉 前回  ① 腸骨骨折   【2】骨盤骨折・不安定型

 前回の①~④までは、【1】安定型とのくくりで、骨盤輪にゆがみや崩れがなく、骨折が癒合することが多い傷病名から解説しました。今回からの不安定型は重傷と言えます。

(1)ストラドル骨折・マルゲーニュ骨折

① 病態

 骨盤は骨盤輪と呼ばれる内側でぐるりと輪を作る環状構造となっています。この骨盤輪が、一筆書きに連続しているので、骨盤は安定しているのです。両側の恥骨と坐骨の骨折で、骨盤輪の連続性が損なわれている状態をストラドル骨折と呼びます。

ストラドル骨折続きを読む »

< 後遺障害のポイント>   【1】後遺障害の前提

Ⅰ. 腸骨翼骨折に限っては、単独骨折であっても骨盤腔内に3000mlを超える大出血をきたすことがあり、その際は、出血性ショックに対応して全身管理を行う重症例となります。それ以外は骨癒合さえ問題なければ、後遺症なく回復傾向、等級も14級9号止まりか、痛みなどの神経症状が無ければ非該当になります。

Ⅱ.

続きを読む »

(3)尾骨骨折(びこつこっせつ)

① 病態

 仙骨の下についている骨で、しっぽの名残であり、尾てい骨ともいわれています。交通事故では、自転車、バイクでお尻から転倒したときに骨折することが多いのですが、尾骨は、退化した3~5つの尾椎が一塊となって存在しており、つなぎ目があることと、事故前から屈曲変形していることもあり、XPでは骨折と判断することが困難なことがあります。確定診断には、CT、MRI撮影が必要です。

 経験上、事故前にすでに軽い脱臼状態、変形や転位(折れて分離)しているなど、既往症もいくつか目にしました。産婦人科医に聞くと、経産婦で出産時に曲がったまま、それが残る例もあるそうです。   ② 症状

 尾てい骨部分に激烈な痛みがあり、歩くことや座ることで痛みが増強する。長時間、座っていると尾てい骨の痛みが強くなってくる。尾てい骨に痛みがあり、下肢にしびれがあり、歩きにくさを生じている。それでも、深刻な後遺症は稀で、後遺障害として認定されること少ないと思います。   ③ 治療

 治療は、通常は保存的に安静加療が行われています。   ④ 後遺障害のポイント

 シリーズの最後にまとめて解説しています。    ⇒ 骨盤骨折 ④ 後遺障害  

続きを読む »

(2)恥骨・坐骨々折(ちこつ・ざこつこっせつ)

① 病態

 骨盤骨折で経験上、最も多い例です。恥・坐骨②③は、前方と下方からの外力で骨折しており、恥骨と坐骨の両方が折れることも多く、併せて「恥座骨骨折」と書かれることが多いようです。

 交通事故では、自転車やバイクを運転中、出合い頭衝突で前方向から衝撃を受け、ドスンとお尻から落下して骨折しています。この事故発生状況では、腰椎の圧迫骨折を合併することもあります。   ② 症状

 横になっても座っても、鼠径部に強い痛みが生じます。坐骨骨折では、半腱・半膜様筋・大腿二頭筋により、骨折部は下方へ転位し、股関節の伸展運動ができなくなります。   ③ 治療

 片側の恥骨や坐骨の単独骨折は、ほとんどは安定型骨折であり、高齢者などは入院することがあるものの、手術に至ることはありません。安静下で、鎮痛薬や非ステロイド性抗炎症薬、NSAIDが投与されます。

 多くは、1週間の経過で歩行器を使用して短い距離を歩くリハビリが開始され、1~2カ月の経過で、後遺障害を残すことなく、症状は軽快しています。弊所でも認定例が無かったように思います。   ④ 後遺障害のポイント

 シリーズの最後にまとめて解説しています。    ⇒ 骨盤骨折 ③  

続きを読む »

 今年いくつか相談・受任を頂きました骨盤骨折について、交通事故110番から引用、シリーズで集中解説したいと思います。

 一口に骨盤骨折と言っても、骨折箇所や様態を細かく分類して覚えておく必要があります。まずは、安定型と不安定型に2分、それに属する傷病名別に整理します。   【1】骨盤骨折・安定型

 骨盤は左右の恥骨、坐骨、腸骨と仙骨で構成され、後方は仙腸関節、前方は恥骨結合で融合して骨盤輪を形成しており、体幹の姿勢を支え、身体の要となっています。

 骨盤骨折でも、内臓器損傷がなく、転位が小さい単独骨折では手術によらず、保存的に安静臥位で経過観察しています。深刻な後遺症とならないケースが多いようです。   (1)腸骨翼骨折(ちょうこつよくこっせつ)

① 病態

 腸骨翼は、腰の両横にあって、ベルトがかかる部位です。腸骨翼は、前方、後方、側方からの衝撃で骨折しており、出血を伴わないものは、軽症例です。

② 症状

 骨折部の強い痛み、歩行すると痛みが増強します。

③ 治療

 ドーヴァネイ骨折(ドゥベルネ骨折と言う医師もおりました)とも呼ばれていますが、入院下で、安静が指示されますが、1週間もすれば、歩行器使用によるリハビリが開始され、1~2カ月で後遺障害を残すこともなく、軽快しています。

④ 後遺障害のポイント

 シリーズの最後にまとめて解説しています。

 ⇒ 続きを読む »

 前回まで、自動車事故の衝撃度を表す上でよく使われる「ビルからの落下・計算」を説明しました。ケーススタディを重ねましょう。今度はバイクが衝突した場合です。   3、自動車にバイクが追突した場合  

 Cさんは原付バイク(ヤマハ 車体重量90㎏)で走行、信号待ちのハイエースバンに追突してしまいました。原付なので時速30kmが制限速度です。まぁ、これを守っていたとして30kmとします。修理費はバンパー交換+αで20万円でした。修理費は問題なく保険で支払いました。しかし、ハイエースのドライバーDさん、むち打ちとなって毎日通院を始めました。治療費を払う損保は「3カ月まで!」と、業を煮やして治療費を打切りました。不満のDさんに対して、損保は以下の計算を示しました。    それでは、ハイエース(車体重量1960kg)の受けた衝撃を計算してみましょう。    時速30km ≒ 秒速 8.3m の場合では、    8.3m × 8.3m  ÷ ( 2 × 9.8 )= ...

続きを読む »

 シリーズ再開! かつて相談会に参加した相談者さまの実例から計算してみましょう。    その前に、2019年10月にシリーズ化したまま途絶した前回記事は以下の通り。

👉 受傷機転について、その衝撃を科学する ② 自動車事故の衝撃度   

1、自動車の単独事故 ~ 壁に衝突した場合

 Aさんは小型自動車(日産マーチ 940kg)で壁に衝突、つまり自爆事故で負傷しました。その時のスピードは30kmだっだったそうです。マーチは全損となりました。シートベルトをしていなかった為、フロントガラスに顔面を強打、10針を縫うケガに。6か月の通院の後、後遺障害は醜状痕の9級16号、頚椎捻挫14級9号が認定されました。

 どの位の衝撃か、例の「ビル落下衝撃度」から計算してみましょう。   ○ 時速36km = 秒速10m/s の場合・・・5.1mの落下衝撃となります。

続きを読む »

真性の腱板損傷:後遺障害10級レベルの立証

 本件では可能性が極めて低いのですが、もし、事故受傷による棘上筋断裂であれば、肩の専門医の診断を乞います。肩関節の1/2制限など、本来、手術が適用される重度損傷です。

 秋葉事務所が指定した専門医のもと、すでにMRI撮影済みでも再度3.0テスラMRI検査、あるいはエコー検査を重ね、専門医の診断(書)と検査所見を完備します。

 それまで通院した小池クリニックの診断や、精度の低いMRIは、あくまで治療経過を辿るものとして補強的な医証へ下げます。そして、間違いのない10級、あるいは12級レベルの医証を固めてから弁護士につなぎます。

 具体的には、専門医の診断書とMRI・エコー画像に、治療経過としての診断書・MRIを揃え、説得力のある受傷機転の説明を加え、可動域制限を裏付けるリハビリ記録、手術を検討するカルテの記述など、あらゆる証拠を収集します。これは、ある意味、審査側をも助ける作業になるはずです。

 

陳旧性の腱板損傷:現実的戦略と回復努力

 被害者さんの受傷機転と直後の治療経緯から 、恐らく陳旧性の病変と予測できた場合。被害者さんのスポーツ歴、職歴を尋ね、確信を得たら、元々事故前から肩に変性があったと説明、枝野さんの理解を促します。

 ここでもし本当に肩関節の可動域に2分の1制限があったとしても、10級を主張すれば詐病者扱いになる場合があるのです。

 肩関節:外転80°の計測記録でも・・・最悪、「非該当」の結果が返ってきます。自賠責の怒りを買った結果です。可動域の数値通りに肩関節の障害とみてくれません。

 そんな、無謀な申請は敬遠させます。先日の説明通り、自賠責の視点を知っているからです。受傷後の肩関節の痛みから、あまり動かさずにいた為に関節拘縮が進んだ場合であれば、専門医へお連れして、理学療法を工夫して継続、可動域の回復へ向かわせます。お金を取ることだけが秋葉事務所の仕事ではありません。

 このように、被害者さんに現実的な等級認定・解決への理解と、回復への努力を促します。そして、次の③に進ませます。  

事故直後から肩の痛みが発症した場合・・後遺障害14級9号だけでも確保

 陳旧性損傷や年齢変性であっても、事故以前は何ともなく、事故後から痛みを発症するケースもあります。これはムチウチに同じく、引き金論(元々あった損傷が事故を契機に痛みを発症)として、医学的に説明がつきます。事故の衝撃でインピンジメント症候群を発症したケースも数件、経験しています。簡単に言うと、歳をとって棘上筋等のささくれが肩関節を動きを邪魔し、場合によっては関節部に石灰化が起き、中高年のいわゆる四十肩・五十肩の症状となります。これは経年性の内在的な病変ですが、運悪く、事故を契機に痛みを発することがあります。これを、自賠責は「外傷性の肩関節周囲炎が惹起された」とギリ推測、14級だけは認定してくれました。この件は、歩行中に車にはねられて肩を強打したケースでした。自動車搭乗中にコツンと追突されてでは・・一笑に付されます。この手の多くは、「頚肩腕症候群」と言って、頚部神経症状由来の肩の痛みが多くを占めます。可動域制限については、痛みから余計動かさなくなることで、関節拘縮が進行するケースが多いようです。  

 したがって、外傷性肩関節周囲炎にしろ、頚肩腕症にしろ、真面目にリハビリを継続し、適当な時期に症状固定、先生に診断書の記載をお願いします。ここで、過度な可動域制限の数値などは敬遠させます。できるだけ、肩の可動域は自助努力で回復させるべきです。すると、症状・治療の一貫性から、神経症状の14級9号認定の余地を残します。ややグレーながら、症状の一貫性と信憑性があれば、自賠責も鬼ではありません。     

まとめ続きを読む »

お問い合せはお気軽に!

事務所メンバー

「交通事故被害者救済」がスローガン! 病院同行に日夜奔走しています。解決まで二人三脚、一緒に頑張りましょう。

代表者略歴を見る!

部位別解説 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

今月の業務日誌

2024年11月
« 10月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

月別アーカイブ