大腿骨頚部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)   (1)病態

 大腿骨の上部は、大腿骨頭、大腿骨頚部、転子部と呼ばれる3つの部位で構成されています。

 大腿骨は頚部で内側に屈曲し、大腿骨頭と骨盤骨である寛骨臼蓋で股関節を形成しています。ヒトは、屈曲した大腿骨で身体を支えているのですが、屈曲した部分は、転倒や転落の際に、外力が集中することになり、骨折しやすい形状となっています。

 この骨折は、骨粗鬆症で骨が脆くなった高齢者に多発することでも有名です。交通事故では、自転車や原付VS自動車の衝突で、自転車や原付の運転者に多発しており、とくに、高齢者では、骨折をきっかけとして寝たきりや、外に出かけようとしない、引きこもりになってしまうことが、社会問題となっています。

 医学的には、股関節の中で骨折する大腿骨頚部骨折と、股関節より膝方向に離れた関節外の部分で骨折する大腿骨転子部骨折、転子下骨折の3つに分類されています。3つの分類の中では、大腿骨頚部骨折が、圧倒的多数です。   (2)症状

 事故直後から、痛み、腫れ、関節の可動域制限を訴え、歩行できないことが一般的ですが、安定型の骨折では、転子部・転子下骨折に比較すると、痛みも軽く、受傷直後は歩けることもあります。頚部骨折は股関節内骨折であり、骨折による腫れが、肘や膝のようには、目立たないのです。   (3)治療

 単純XP撮影で、大腿骨頚部の骨折を見ることができます。頚部骨折では、受傷直後に、XPで骨折が見えないことがあります。こんなときは、MRIで、骨折を探らなくてはなりません。

 Grade Ⅰ 不完全な骨折、    Grade Ⅱ 完全骨折で、転位のないもの、   続きを読む »

 腸腰筋の出血、腸腰筋挫傷(ちょうようきんざしょう)

  (1)病態

 腸腰筋は、腰椎と大腿骨を結ぶ筋肉群、大腰筋と腸骨筋の2つの大きな筋肉で構成されています。内臓と脊椎の間に存在し、主として、股関節を屈曲させる働きをしていますが、同時に、腰椎のS字型を維持する機能も併せ持っています。交通事故では、自転車、バイクからの転倒による打撲を原因としています。   (2)症状

 腸腰筋挫傷による出血は、股関節〜下腹部の痛み、足を伸ばせないなどの症状が出現します。右の腸腰筋出血では、右下腹部痛により、急性虫垂炎と間違えられることがあります。出血付近の神経を圧迫し、下肢に神経障害、知覚麻痺や痺れの症状をきたすこともあります。大きな筋肉であることから、大量出血が認められることもあります。   (3)治療

 出血性ショックに陥れば、血圧低下、貧血が発生します。XP、CT検査により、腸腰筋内の高濃度吸収域=出血、低濃度吸収域=血腫を確認することができるので、比較的には、容易に診断されます。治療は、保存的に、再出血防止の為にベッド上安静が指示されています。   (4)後遺障害のポイント

Ⅰ.

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(4)後遺障害のポイント   Ⅰ. 軽度な股関節唇損傷では、保存的な治療が選択されますが、股関節の運動制限や鎮痛消炎剤が処方され、丁寧なリハビリが行われます。「その内に、治る。」として、放置されることは、保存療法とはいいません。受傷から1カ月を経過するも、股関節部に運動痛があるときは、専門医を受診しなければなりません。   Ⅱ.

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股関節唇損傷(こかんせつしんそんしょう)

(1)病態

 関節唇は、肩と股関節にだけに存在するもので、環状の線維軟骨組織で形成されており、関節の安定性を高める、滑り止めの役割を果たしています。股関節唇は、股関節内の大腿骨頭が、外に外れるのを防ぐ土手のような役割をしているのです。

 交通事故では、歩行者、自転車、バイクなど、転倒時に、股関節が大きく広げられることにより、関節唇に亀裂が発生しています。   (2)症状

 股関節唇損傷が、そのまま放置されると、亀裂が大きくなるばかりでなく、裂けた軟骨が関節の中に入り込んでスムーズな動きを妨げるようになり、さらには、入り込んだ軟骨が股関節表面を傷つけ、症状は深刻化していき、やがては、修復術が必要となります。

 聞き慣れない傷病名ですが、ダウンタウンの松本人志さん、巨人軍の杉内俊哉投手、俳優の坂口憲二さん、アメリカではレディーガガさんが、この傷病名で悩みました。松本さん、杉内さん、レディーガガさんは、部分切除術もしくは縫合術を受けているはずです。

 股関節唇損傷では、脚を動かす動作で疼痛が走り、引っかかるような症状を訴えます。あぐらをかく、股関節を外側に開く運動=外旋、内側へ倒すような運動=内旋するときに疼痛が生じ、日常的には、靴下を履く、爪を切るなどの股関節を深く曲げるような動作で疼痛が発生します。   (3)治療

 症状が軽いときは、関節を深く曲げるような無理な動作を避け、鎮痛消炎剤の内服で炎症を抑え、症状が和らぐのを待ちます。

 重症では、関節鏡手術などの対象となります。股関節の外側に小さい穴を、数カ所開け、内視鏡によって、損傷部を切除、あるいは縫合する股関節鏡による手術です。

   つづく ⇒ 後遺障害のポイント  

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(1)病態

 高齢化社会となり、材質の改良もあって、股関節などを人工関節に置換する人が増加しています。それに伴い、人工関節周囲の骨折が増えているのです。

 多くは、高齢者で、転倒を原因としたものですが、交通事故による骨折も、増加傾向です。交差点で信号待ち停止中では、右足は軽くブレーキを踏んでいます。この状態で、後方から追突を受けると、右股関節には大きな衝撃が加わります。右股関節が人工関節では、衝撃でステムが下方に沈下し、ステム周囲が骨折することがあります。

 歩行者、バイクや自転車VS自動車の出合い頭衝突では、直接的な打撃を原因として、ステム周囲の骨折を発症しています。ステム周囲骨折は、大腿骨で発症することが圧倒的です。   (2)症状

 症状は、局所の疼痛、腫れ、変形であり、歩けなくなります。   (3)治療

 XPやCT検査で確定診断が行われています。骨折に対しては、固定術の実施ですが、人工関節が緩んでいるときは、人工関節の再置換術などが検討されることになり、画像検査では、骨折による人工関節の緩みも評価しなければなりません。

 治療は、ほとんどで、手術が選択されます。骨折に対しては、プレートやワイヤーによる固定が行われ、人工関節に緩みが生じているときは、人工関節の再置換術が選択されます。粉砕骨折や、人工関節の緩みで骨量が不足しているときは、腸骨からの骨移植も行われています。   (4)後遺障害のポイント   Ⅰ.

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(4)後遺障害のポイント   Ⅰ. 人工関節では、

① 超高分子量ポリエチレンやセラミックが普及し、耐久性が15~20年と伸びたこと、

② 無菌手術室により、感染症のリスクが低下していること、

③ 変形性関節症の高齢者が増えていること、

④ 診療報酬面で利益性の高いこと、

 これらを理由として、人工股関節全置換術の件数が急上昇しています。そして、この程度で全置換術? も、少なからず、見聞しています。医大系病院から医師を招聘し、人工関節外来を新設、この治療法をセールスポイントにして、HPで宣伝している治療先も増えていますが、そんなに簡単に手術を選択して良いのか、やや疑問を持っています。

 交通事故受傷により、股関節部の粉砕骨折、寛骨臼の挫滅的な骨折では、人工股関節全置換術もやむを得ない選択となります。しかし、中程度の骨折であれば、自分の骨を使用して骨切り術を受けることが優先されます。自分の骨であれば、破損や摩耗の心配がなく、専門医であれば、高い活動性を確保してくれます。その後は、プールでの水中歩行などによる筋力トレーニングや肥満の防止に努めれば、股関節を維持させていくことが可能であるからです。手術には感染症はじめリスクが存在します。

 参考までに、体重を1kg減らすことができれば、膝関節の負担は約3kg、股関節に対しては約4kg、階段昇降時の膝においては約7kgの負担軽減ができると報告されています。

 骨切り術には、棚形成術、寛骨臼回転骨切り術、キアリー骨盤骨切り術がありますが、いずれも、関節近くの骨切りで、関節の向きを調整し、残存の軟骨部に荷重を移動させる方法が採用されています。

 私見では、医大系の整形外科で関節鏡術の実績を誇っている専門医を頼るべきです。なんでもかんでも人工関節の切りたがり救急病院、医師は避けるべきです。   Ⅱ.

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 変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)   (1)病態

 変形性股関節症は、関節軟骨の変性、磨耗によって、大腿骨頭、臼蓋部の骨の変形、破壊や関節滑膜の炎症が起き、疼痛や運動障害からADL障害をきたす股関節の疾患です。

① 股関節の隙間が保たれています。   ② 股関節の隙間が狭くなっています。   ③ 股関節部の軟骨はすり減り、大腿骨頭が変形し、骨棘が見えています。    股関節に限らず、変形性関節症とは、関節の軟骨部が摩耗し、骨に変形をもたらす傷病名です。骨盤骨々折では、骨盤輪の連続性が失われるストラドル骨折やマルゲーニュ骨折、仙腸関節の脱臼を伴う恥骨結合離開、大腿骨頭の納まる部分の寛骨臼の挫滅的な骨折、股関節部では、股関節後方脱臼骨折、股関節中心性脱臼の重症例では、時間の経過によって、変形性股関節症を発症することが予想されます。

 軽度な股関節唇損傷であっても、損傷が見逃され、放置されることにより、股関節部の軟骨が広範囲に傷つき、変形性股関節症に移行することが考えられるのです。    股関節唇損傷での認定例 👉 14級9号:股関節唇損傷(30代女性・愛知県)   (2)症状

 股関節は、脚の付け根に位置しており、初期症状では、立ち上がったとき、歩き始めのときに、脚の付け根に痛みを感じる程度ですが、変形性股関節症が進行すると、持続する痛みで、足趾の爪切りができない、靴下が履けない、和式トイレや正座が困難となり、日常生活でも、長い時間の立ち仕事や歩くことが辛くなり、階段や車・バスの乗降も、手すりに頼ることになります。   (3)治療

 股関節部のXP撮影で、確定診断がなされていますが、拡がりを観察するときには、CTが有用です。治療は、保存療法と手術療法に分けられます。早期であれば、保存療法で進行を抑えることができます。鎮痛消炎剤の薬物療法、プールでの水中歩行などによる筋力トレーニング、食事制限による肥満の防止、これらの3点セットが有効です。中期となれば、骨切り術が選択されています。

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 外傷性骨化性筋炎(がいしょうせいこっかせいきんえん)  

※「画像診断まとめ」 のホームページから引用しています。

  (1)病態

 骨化性筋炎は、骨や関節周囲の軟部組織に外傷などの刺激が加わって起こる異常骨化現象で、本来、骨組織が存在しない部位に発生する骨化と定義されています。外傷性骨化性筋炎は、異所性骨化症ともいわれ、筋肉の炎症に引き続き、カルシウムが沈着し、石灰化現象が起こって筋組織の中に骨が形成されることを意味しているのです。

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 股関節中心性脱臼(こかんせつちゅうしんせいだっきゅう)   (1)病態

 先に説明した股関節後方脱臼骨折は、dashboard injuryを原因とすることが多いのですが、中心性脱臼は、転子部の強打、つまり、側方からの外力が加わることで発症しています。

 交通事故では、自転車・バイクVS自動車の衝突で、自転車・バイクの運転者に多発しています。   (2)症状

 鼠径部の激痛、腫れ、歩行困難   (3)治療

 関節包が破れることは少ないのですが、臼蓋底骨折により、大腿転子部は陥没します。大腿骨の遠位部を力点とし、10数kgの重りで4週間の直達牽引を行います。    これにより、大腿骨を臼蓋底から引っ張りだし、臼蓋底骨折部が自然に癒合するのを待つのです。長くても、4~6週間でリハビリテーションに移行できます。

 外傷性股関節脱臼には、後方脱臼、中心性脱臼以外にも、前方脱臼があります。前方脱臼では、関節包前面を損傷し、大腿骨頭骨折や大腿骨頭靱帯断裂、大腿動脈損傷、大腿神経損傷を合併することが多く、重症例ですが、滅多に発生することはありません。   (4)後遺障害のポイント   Ⅰ.

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(4)後遺障害のポイント   Ⅰ. 股関節の後遺障害の対象は、股関節の機能障害(可動域制限)、下肢の短縮、大腿骨頭壊死に伴う人工骨頭もしくは人工関節置換、痛み・その他不具合(局部に神経症状を残すもの)の4つです。   Ⅱ.

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(1)病態

 乗車中の交通事故で、膝がダッシュボードに打ちつけられ、発症することが多く、dashboard injuryと呼ばれています。

 運転席や助手席で膝を曲げた状態のまま、ダッシュボードに膝を打ちつけ、大腿骨が関節包を突き破り後方に押し上げられて発症します。  

 股関節脱臼に伴い、寛骨臼=大腿骨頭が収まっている部分の骨折も、多く見られます。全体の70%は、後方脱臼となっています。   (2)症状

 鼠径部の激痛、腫れ、股関節の異常可動性、内側に異常に曲がる状態となり、後方に大腿骨が押し上げられ、大腿骨は、短縮化しています。   (3)治療

 単純XP撮影で、大腿骨頭が、寛骨臼から外れているのが確認できます。

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 受傷機転とは、「どような事故状況で、どのように受傷部位に衝撃が加わったか」を説明したものです。これを、自賠責保険の後遺障害審査では非常に重視しています。受傷部位・診断名ごとにその理由を説明します。不定期ですが、シリーズ化の予定です。本日は、よもやよもやの膝関節。    以前から、再々受傷機転の重要性を語ってきました。自賠責保険は、審査上、医師の診断名を鵜呑みにしません。必ず、レントゲンやCT、MRIの画像を確認します。ここで「確かに損傷がある」としても、直ちに等級認定しません。受傷機転に戻ります。①「このような事故状況で膝を強打するだろうか?」、②「この程度の衝撃で靭帯や半月板が損傷するのか?」と、極めて常識的な疑問を持ちます。

 私達がよく相談者さんに説明する話法はこうです。「床に固いガラスの玉と柔らかいゴムの玉を落とすと・・・割れるのはガラスですよね」。ガラス玉は骨で、ゴム玉は靭帯を指します。つまり、膝に衝撃が加わったとして、骨折を回避できたのに、都合よく靭帯や半月板だけ痛めるのは、極めてまれなことだと思うわけです。例えば、自動車搭乗中に追突されて、踏ん張った拍子に膝を痛めた・・・この程度の衝撃で膝の靭帯が切れるはずはないと思われるでしょう。仮に、玉突き衝突で前車にも追突して、ダッシュボードに膝を打撃した場合、可能性は感じます。そこで、膝蓋骨(膝のお皿)が骨折していれば、靭帯や半月板の損傷は信用されます。ところが、骨に異常なく、都合よく靭帯だけが切れたとなると、にわかに信用できなくなるわけです。

 一方、自転車搭乗中に交差点で左折自動車の巻き込みにあって、人体への打撃はほとんどなかったが、脚が自転車に挟まって膝関節をひねり、前十字靭帯が断裂した例はありました。これは、事故状態から十分に説明できるので、靭帯損傷は納得できるものです。    通常、医師はこれら受傷機転を考慮することなく、画像検査や問診・触診から損傷があれば、診断名にします。受傷の原因はどうであれ、診断を下すことが医師の仕事です。しかし、相手保険会社、そして、自賠責保険の調査事務所は受傷機転に納得いかなければ、医師の診断名を疑う、あるいは陳旧性(事故以前の古傷)病変と思うのです。これが、交通事故外傷にまつわる紛争化の原因なのです。    MRIを撮って、靭帯の不全断裂、もしくは軽度損傷が見つかりました。医師も画像から診断名をつけました。さて、この損傷は事故受傷によるものでしょうか? これを、ケガと事故の直接因果関係と呼びます。ここでも、最も参考とするのは受傷機転なのです。次いで、事故直後の行動でしょうか。例えば、中高年の男性が自転車で自動車と衝突・転倒し、膝を強打したとします。しかし、骨折なく、多少のスリ傷程度です。通常、靭帯が断裂した瞬間、「ゴリッ」「ボキッ」と音がします。アキレス腱断裂などは周囲にも音が聞こえます(剣道部のあるあるです)。関節内出血が起きれば、膝部が腫れあがって膨張します。 でも、それらがない。

 何より、大の男がのたうち回る位に激痛です。まともに歩けません。それが、立って普通に歩けるのは何故か? これらの情報から、事故受傷が主原因ではなく「元々、経年性の損傷が半月板や靭帯にあった」との推定が働きます。とくに、変形性膝関節の兆候がある中年女性の場合、半月板がすり減っている人が多いものです。

 事故現場から普通に自転車に乗って帰宅し、翌日になって痛みで病院に行ったら、靭帯損傷の診断名となりました。これも、実に不自然でしょう。対して被害者さん達は、事故直後はアドレナリンがでて痛みを感じなかった、仕事に遅れるので痛みをこらえて急いで会社に行った、痛みはあったが日曜だったので翌日病院に行ったと言い訳します。しかし、一般人にそんな我慢は無理です。訓練された軍人やスポーツ選手なら可能性がありますけど(ランボーやマイク・タイソンなら可能でしょう)。普通、事故の衝撃で靭帯が切れたら、歩けない程痛みます。それを現場検証に来た警察や周囲の人がほっておくでしょうか? 救急搬送が普通、自転車など漕げるはずがないのです。

 ただし、すべてが嘘とは言えません。経年性で靭帯や半月板に劣化があったとして、無症状だった人が、事故の衝撃から痛みや不具合を発症することはあり得ます。そこは、自賠責も鬼ではありません。受傷直後~半年間、症状の一貫性があれば、14級9号(局部に神経症状を残すもの)のお茶を濁すような認定もあります。ただし、自転車を漕いで帰った人や、1週間後にやっと病院に行った被害者さんは、苦しい・・「非該当」になると思います。    このシリーズ、毎回の結論ですが、「自賠責保険はまず常識で判断」しているのです。    受傷者がアスリートなど特殊な例は除外。これら個別具体的な事情のある後遺障害は、裁判で後遺障害等級を勝ち取らねばなりません。

 

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 漢字ですと書き方が難しく、言葉にするとカミカミな膝の靭帯の呼び方。医師はカルテ上、英語で略して記載することが多いようです。今日は少し手抜きですが英語表記を復習しましょう。  

前十字靭帯(ACL)= Anterior Cruciate Ligament     後十字靭帯(PCL)= Posterior Cruciate Ligament   内側側副靭帯(MCL)= Medial Collateral Ligament      外側側副靭帯(LCL)= Lateral ...

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 サイエンス記事からコピペ、手抜き記事ですが、まずはご一読を。  

 再生医療というのは、病気や怪我などで傷ついたり機能を失ったりした体の細胞・組織・器官(臓器・筋肉・骨など)の再生や機能回復を目的とする医療技術の総称である。生きた組織や器官を移植する皮膚移植・骨髄移植・臓器移植だけでなく、人工材料で作られる義手・義足・関節、そして身体機能回復訓練のリハビリテーションなども広い意味での再生医療とされている。

 ただし、こうした方法では難病の根本治療には至らず、臓器移植にはドナー(臓器提供者)の不足、臓器移植後の免疫拒絶反応リスク、他人の臓器を移植することに対する倫理上の問題なども指摘されている。

 このため再生医療で注目されているのが、患者自身や他人から採取した幹細胞を移植して組織や器官を再生する技術だ。幹細胞というのは組織や器官に成長(=分化)する細胞のことで、分化能力を保ったまま自己増殖する能力を持っている。体の組織や器官が傷ついた場合に、残存する細胞の中で幹細胞が増殖し、傷ついた部分を修復して元の状態へ回復する現象を再生と言う。骨髄造血幹細胞、神経幹細胞、筋肉幹細胞などが知られているが、これらの幹細胞は分化できる範囲が限定される。そして、近年特に注目されているのが皮膚細胞などから作製するiPS細胞(人工多能性幹細胞)がある。

 iPS細胞は受精卵のように体を構成するすべての細胞に分化できる能力を持っている。そして患者の皮膚細胞から作製したiPS細胞を、治療に使う神経や筋肉などの細胞に分化させ、患者に移植することで病気や怪我で失われた機能を回復させることが可能になる。皮膚という完全に分化した状態の細胞に4つの遺伝子を組み込むことによって受精卵のような状態に戻し、受精卵と同様の万能性を作りだしたことが画期的とされ、生物学の常識を覆したと言われている。

 ES細胞の場合は患者と別人の細胞のため免疫拒絶反応リスクが大きくなるのに対して、iPS細胞の場合は緊急時などを除いて患者本人の細胞のため免疫拒絶反応リスクが小さく、倫理面の課題も少ないと考えられている。iPS細胞の基本特許は2009年に日本で成立し、2011年7月に欧州、そして8月には米国で製法に関する特許が成立している。

 iPS細胞による再生医療実用化に向けた課題としては、発がんリスクを低下させる技術、緊急時など他人のiPS細胞を利用する場合に備えたiPSバンクの整備、安全性や品質に関する基準・規制の策定などがあるが、動物が本来持っている自己再生能力を最大限に活用するため、iPS細胞が未来の再生医療の本命という見方が有力である。

     昨年、日本のiPSの最前線、京大の先生から半月板の手術についてご講義を頂きました。その先生は関節の専門医で、半月板の修復・再生手術について日本でトップクラスの技術、実績をお持ちです。研修後の会食でも、術式の説明が続きました。

 交通事故で膝の半月板など軟骨の損傷を負った場合、血の通っている骨と違い、血の通っていない軟骨部分は、自己修復ができないのです。つまり、骨折はくっつくが、軟骨がつぶれたら再生不可能が基本です。そこで損傷した半月板の修復は外科手術が必要となります。手術方法はいろいろありますが、影響のないところの半月板を円形にくり抜いて、損傷個所に埋め合わせる移植術があるそうです。この移植術も半月板組織をiPS細胞の培養で作ることが可能となるはずです。    交通事故外傷で重度の骨折の手術の場合でも、腸骨や腓骨など比較的人体に影響のない骨を採取し、損傷個所に使う手術が多くあります。これもiPS細胞ですべて解決できる未来が目前のようです。    

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 膝や肘など関節部分を骨折すると、高い確率で後遺障害が残ります。ざっくりと後遺障害の指針を示します。   1、骨折の癒合後の骨変形や転位(ズレてくっつく)、関節面の不整による可動域制限   2、骨折が完全に癒合しなかった場合、偽関節による動揺関節   3、骨折と併発した靭帯損傷、軟骨損傷による痛みから、関節が曲がりづらい   4、骨折と併発した、もしくは単独の靭帯断裂、靭帯損傷(靭帯が伸びてしまった)による動揺関節   5、骨折と併発した軟骨損傷による、関節の隙間の狭小化による可動域制限   6、骨折が正常に癒合したが、関節硬縮や疼痛による可動域制限(ただし、14級9号止まり)   7、靭帯や半月板が損傷し、疼痛による可動域制限(14級~12級)      さて、もうお解りと思いますが、関節の機能障害は大きく分けてこの2種です。赤は関節の動きが悪くなったもの(可動域制限)、青は関節がぐらぐらになったもの(動揺性)です。両者は同じ骨折を契機とした障害であっても、障害の種類が違うのです。    可動域制限は、ケガをした腕(膝)と、ケガをしてしない方を比べて、4分の3位までしか曲がらない(12級)、半分しか曲がらない(10級)、硬直、ほぼ曲がらない(8級)と基準が分かれます。

 (ただし、自賠責保険は、この計測だけをもって判断しません。画像上、損傷と一致していないと疑われます。)    動揺関節は、労災の基準では、硬性補装具の使用状態から12級(たまに装着)、10級(重労働時には装着する)、8級(お風呂以外は常時装着)とします。膝の靭帯が損傷、多くは不全断裂によって、緩んでしまったので、装具をつけないと膝がぐにゃっと崩れます。とくに、階段を降りる時は恐怖だそうです。

 (ただし、自賠責保険は、装具の装着だけをもって判断しません。画像上、損傷と一致していないと疑われます。)    通常、「可動域制限と動揺関節は並立しない!」これが原則です。この2つの機能障害の次いで、茶色の神経症状の残存(痛みやしびれの継続)が検討されます。この審査の視点に乗って進めないと、後遺障害の立証が迷走します。    例えば、骨折後、靭帯の複合損傷で動揺性が残ってしまった障害であるのに、靭帯損傷や補償具の使用頻度に触れず、関節可動域の数値が記入されている後遺障害診断書を見たことがあります。つまり青の種類の損害なのに、赤を主張している診断書です。これはズバリ的外れ。当然ながら可動域は、ほぼ正常なので、骨の変形や転位がなければ、茶色の12級13号もしくは最悪14級9号の判断が返ってきます。    お医者さんも、その辺をよくご理解していない状態で診断書を書いてしまうことがあります。だからこそ、障害の予断が大事なのです。「このケガであれば、このような障害が残りやすい」と予想し、「可動域制限なのか動揺性なのか」を明確に区分しておくのです。これこそ、秋葉の仕事です。医師の「治療」と障害の「立証」を結びつけることなのです。

 

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 本日サッカーワールドカップアジア最終予選、日本vsオーストラリア戦です。引き分け以上で予選突破です。今夜決めたいですね。

 さて半月板損傷の長友選手が復帰しそうです。かつて本田選手も経験した半月板損傷、これはサッカー選手の職業病、かなり多いケガです。交通事故外傷でもおなじみで、大腿骨や脛骨の顆部骨折で一緒に痛める症例を何度も経験しています。その際、外傷による完全な断裂であれば、文句なく後遺障害の対象となります。しかし微細な損傷では陳旧性(古傷)の疑いとなります。これを読影するには専門医の力を借りねばなりません。最近、専門医の診断に立ち合い、初歩的な指導を受けてまいりました。

 まず復習→ 半月板損傷・・・専門医の診断から

 それではお待たせしました。「わさわさ」した画像を見てみましょう。

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