土曜日は病院1件同行でした。場所は桜新町、そうですサザエさんの街です。原作者、長谷川町子さんの在住にちなみ、サザエさんをモチーフとした街並みで全国的に有名です。
左の写真は駅前のブロンズ像です。波平の像はしょっちゅういたずらにあいます。3本しかない髪の毛が抜かれてしまうそうです。→
子供のころ、日曜日の夕暮れ、サザエさんの放送が終わると日曜も終わりです。「明日からまた1週間学校か・・・」ちょっと鬱な気分。エンディングテーマは決して愉快なメロディではなかったです。サザエさんの放送は現実に立ち返る合図でもありました。
さてここ数日間の相談者から気になったことは「現実認識」です。
先週の日誌で異議申立案件に対しても言及しましたが、とにかく被害者の立場は圧倒的に不利であることです。それに対し、現実認識に至らない被害者が多いものです。よくある相談者の例を挙げますと・・・
① 過失割合に納得がいかない。「とにかく相手が悪い!」と一方的な主張しかしない。
② 後遺障害の認定等級に納得がいかない。「異議申立てすればなんとかなる」と過度の期待をしている。
③ 自営業者で所得の過少申告をしておきながら、事故の休業損害では「本当の所得で計算して!」と調子のいいことを言う。
④ とにかく治るまで治療はやめない。「治療費の支払の継続を保険会社と交渉して欲しい」と弁護士に頼む。 例を挙げたらキリがないです。このような被害者さん達に共通しているのは「現実認識」の欠如です。もう少し柔らかく言うと、「自分は被害者なんだから助けられて当然」といった甘えです。誰も被害者の為に、自動的に助けてなどくれません。相手の保険会社も支払削減の為に一生懸命であり、被害者を助けるボランティアをしているわけではありません。警察も民事不介入であり、事故調査までが仕事です。検察も加害者に刑事罰を与えるか否かを調査・決定する機関であり、当事者同士の争いにはこれまた不介入です。そして被害者がお金を払った弁護士等だけが被害者の立場で働くのです。 しかし交通事故賠償が難しい交渉であることに変わりなく、その弁護士も①~④までの主張をする被害者には辟易しています。つまり被害者の損害を立証し、相手からお金をもぎ取る作業はマイナスからのスタートなのです。私はお金を握っている加害者側と比べ、どう考えても被害者は不利な立場にいると認識しています。だからこそ、まず自らの置かれている立場が「弱者」であること、厳しい戦いが控えていることを理解しなければなりません。そこからはじめて逆境を跳ね返す戦略、戦術を立てるのです。自らの置かれている状況を認識せずには先に進みません。相談者の耳にやさしい甘言をささやき、契約させることは簡単なのです。私はそのような被害者を商売相手とするような利益優先の仕事はしていません。勝つための仕事を標榜しています。だからこそ厳しい物言いをしています。
サザエさんの夕暮れ、現実認識の刻を思い起こさせます。