中手骨頚部骨折 (ちゅうしゅこつけいぶこっせつ)
(1)病態
頚部骨折は頻度が高く、次に基底部骨折、骨幹部骨折、骨端線離開の順で発生しています。共通する症状として、外傷の衝撃後に激痛、骨折部位の圧痛、手指の機能不全、腫脹、変形、運動障害などを発症します。拳を握った状態で打撃、打撲による外力が加わったときに発症します。
パンチ動作で発生することも多く、ボクサー骨折とも呼ばれます。好発部位は、環指や小指の中手骨によく発生します。交通事故では、バイクや自動車のハンドルを握ったまま正面衝突したときに、外力が中手指節関節から中手骨の長軸に向かうことで発生しています。
手根骨上部の「中」が、中手骨です。腱と関節包との結合部位では剥離骨折が多く発生し、伸筋腱断裂によってマレットフィンガーと呼ばれる遠位指節間関節の屈曲変形が生じることがあります。
(2)治療
軽度であれば、例えば亀裂骨折(ひびが入っただけ)は、シーネやサポーター等の外固定、保存療法で癒合を待ちます。およそ6週間程度の固定で改善が得られますが、重度の腱損傷や骨折を伴うときは、手術が選択されています。骨折部が連続性を失っている(折れた骨が離れている)場合は、小型のプレート&スクリューで固定します。あるいは、髄内にキルシュナー鋼線を通して固定する方法がとられます。
骨折型、粉砕の程度、軟部組織の損傷の程度によっては、手術後に指拘縮が起こりやすく、また、発生部位に関わらず、整復が不完全なときは、運動障害や運動痛を残します。
(3)後遺障害のポイント
MP関節の可動域制限が予想されます。機能障害にまで至らない場合でも、痛み・不具合などの症状の一貫性から14級9号を確保したいところです。
以下、序論 手指の機能障害をご参照下さい。
👉 上肢の後遺障害 52 手指の障害 序論 Ⅰ~ 手指の機能障害
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