精子・卵子が出来なくなった場合です。交通事故では珍しく、秋葉事務所でも認定は1件のみです。一方、勃起障害(ED障害)はいくつの相談・受任がありました。ざっと等級は以下の通りです。
 
(男子)

・常態として精子が存在しないもの = 7級相当
 
・勃起障害、射精障害 = 9級相当
 
 いずれも、単なる泌尿器科では対応できないことが多く、勃起障害を立証するリジスキャン検査を実施できる病院は限られます。
 
(女子)

・常態として卵子が形成されないものは7級相当
 
 
7級相当:生殖機能障害+11級10号:排尿障害(20代男性・東京都)
 
【事案】

 歩行中、自動車の衝突を受け、骨盤を骨折した。自動車は逃走したが、後に逮捕され、幸い任意保険の存在を確認できた。内臓損傷は数箇所に及び、大腸・小腸の切除と一時的な人工肛門の増設を含め、腹部に数度の手術を施行した。不幸にも、最初の術中に低酸素脳の状態が生じ、脳にも障害を残すことになった。主な症状を列挙すると、生殖機能、排便・排尿の障害、脳由来の神経症状から軽度の言語障害と易疲労性、体感バランス・筋力の低下、4肢の軽度麻痺、さらに、胸腹部・背部・臀部の広範囲に瘢痕・手術痕を残した。
 
【問題点】

 非常に多くの障害を残したことから、検査、診断書記載について、それぞれ担当した専門科の医師の協力を取り付ける必要があった。自賠責保険が規定する障害の系列について、立証作業を整理・構築でき、必要な検査を熟知している事務所に依頼できるか否か・・本件事故の解決の第一歩を誤ってはいけない。
 
【立証ポイント】

 ご本人・ご家族は各事務所を吟味し、その評価から弊所を選んでいただいた。ご期待に応えるべく、まず、後遺障害を系列ごと3つに作業を分類し、それぞれの主治医に面談を重ねた。生殖機能障害の立証については、2つの面から試みた。
 
1、物理的側面:生殖器へのダメージから、ED障害の検査(リジスキャン検査)
 
2、内在的側面:睾丸亡失からテストステロン(男性ホルモン)の検査(血液検査・FSH値の計測)
 
 それぞれ、1、から勃起不全、2、から無精子症を明らかにした。結果、「生殖機能を完全に喪失したもの」として、7級相当を確実にした。排尿障害については、頻尿の症状を示していたが、その程度・頻度から、被害者の負担になるウロダイナミクス検査は必要ないと判断した。医師の診断と本人の尿頻度の申告を書面にまとめて提出し、11級10号を確保した。これらを併合し、6級の認定とした。
 
◆ 泌尿器科は女医が多い?

 性器に関する傷病名は、異性の医師に相談しづらいものばかりです。できれば同性の医師に相談したいものです。かつて、頚髄損傷からED障害に陥った男性と奥様を泌尿器科にお連れしました。あいにく女医さんでした。勃起検査をする前に、まずバイアグラの服用で改善をみる、または、プロスタグランジンE1の陰茎海綿体注射(性器に注射)により勃起状況を確認する検査が提案されました。男性の被害者さんは、女医さんに「その注射は痛いですか?」と必死に質問です。女医さんの困った顔に対して、横で奥様が「バカねぇ、女がわかるわけないでしょ」と。

 後に、この話は職場で大いに盛り上がったそうです(みんな下ネタが大好きです)。