ガレアッジ骨折 = 橈骨骨折 + 尺骨の肘関節脱臼
 
(1)病態

 橈骨骨幹部骨折に伴い、尺骨頭の背側に脱臼を生じたものをいいます。先に説明しているモンテジア骨折の逆バージョンです。

 XPで「単なる腕(橈骨)の骨折」とされ、肘関節までXPを行わないと、尺骨頭の脱臼を見逃します。町の整形外科では、あり得る話です。また、血管や神経などの軟部組織が損傷しているときもあるので、MRI、神経学的検査、関節鏡検査、筋委縮検査も必要となります。
 
(2)治療

 一昔前はギプス固定が主流でしたが、現在はプレート固定術が選択されます。整復が不十分では、回内・外運動に機能障害を残します。
 
(3)後遺障害のポイント

Ⅰ. 橈骨をプレート固定すると、同時に尺骨の脱臼も整復されます。整復が上手くいけば、後遺障害を残すことなく治癒しています。それでも、橈骨は癒合も、その長さが変わってしまったケースなど、肘関節や手関節の可動に影響を残す場合もあります。以下、可動域制限が検討されます。



 
Ⅱ. 手関節の可動域に影響を残す場合もありました。レアケースと思います。
 

  
Ⅲ. 痛みや不具合が残存した場合、14級9号「局部に神経症状を残すもの」の可能性が残ります。最近の固定術は安定しており、変形の残存はあくまで小数例です。長管骨の変形に該当する程の変形ではないが、変形癒合が明らかな場合、12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当します。

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