膝の関節面にある軟骨は、損傷すると自然に再生しません。軟骨は骨と違って、血管が通っていないからです。本件は難治性の骨折ながら、主治医は最善を尽くしたと思います。

 機能障害なく治ったことは良いのですが、画像上、軟骨損傷を示すことで、12級13号に収めました。また、長期間の治療には、少なからずコロナの影響もあったと思います。
 
難治性の膝関節、これもその一つです。
 

12級13号:脛骨高原骨折(30代男性・神奈川県)

 
【事案】

道路を横断中、右方から走行してきた自動車に衝突され、受傷した。脛骨(すね)の膝下部分を骨折し、プレート固定とした。直後から強烈な神経症状に悩まされる。
 
【問題点】

骨の欠損がひどく、骨折箇所に人工骨を埋めるなど、骨癒合に時間がかかり1年を要した。また、元々の体質としてX脚であり、そこへ今回の事故によって軟骨が欠損したため、将来膝関節症になることが予見されるとの説明を受け、交通事故としてX脚矯正手術と併行して軟骨培養術を勧められた。とにかく膝がボロボロであった。


 
【立証ポイント】

コロナが落ち着いた段階でようやく医師面談が可能となったため、現状把握や今後の方針について医師から説明を受けた。X脚矯正の骨切術や軟骨培養については、保険会社が交通事故としては支払ってくれない旨、ご本人が再度長期の休みを取ることができない職業であり、ご本人もそれを望んでいない旨を医師に説明し、なんとか手術前に症状固定とする流れへ持っていくことができた。

可動域制限では等級を逃しており、軽度な動揺性は自覚症状レベルであるものの、靭帯に異常がないため、軟骨の欠損を証明して12級13号を目指すこととなった。抜釘手術時に、内視鏡で関節面を確認するとの事だったため、後遺障害診断書作成時に内視鏡検査の画像打出しを添付していただき、審査に付して40日、速やかに12級13号が認定された。