腓腹筋(ひふくきん)断裂・肉離れ
(1)病態
ふくらはぎは、下腿骨の脛骨と腓骨の後方に位置するのですが、下腿骨後方は、コンパートメントと呼ばれる隔壁で、浅部と深部に分けられています。
ふくらはぎは、浅部にある筋肉、腓腹筋とヒラメ筋で構成されており、この2つの筋肉は下腿三頭筋と呼ばれています。下腿三頭筋はアキレス腱に連結しています。
※ コンパートメント・・・筋肉を覆う筋膜組織で構成された隔壁で、筋間中隔とも呼ばれます。
(2)症状
ふくらはぎの痛み、内出血、ふくらはぎの一部に凹みが見られる。
(3)治療
XPで骨折を確認し、次ぎに、超音波検査、MRIで筋肉の損傷状態を確認します。治療は、消炎鎮痛剤、局所注射、固定、物理療法で炎症を抑えますその後、運動療法で筋肉の伸張性を高め、筋肉を柔軟にし、筋力強化を行います
腓腹筋、ふくらはぎの肉離れ
① 重傷⇒膝を曲げてもストレッチで痛み、つま先立ちができない。
② 中程度⇒膝を曲げていれば、ストレッチ痛が軽度である。
③ 軽傷⇒ストレッチ痛が軽度である。
大腿後面、ハムストリングの肉離れ
大腿前面の大腿四頭筋の肉離れ
(4)後遺障害のポイント
Ⅰ. 腓腹筋の挫傷、腓腹筋の断裂は、分かりやすく言えば、ふくらはぎ部分の肉離れです。「肉離れだから、湿布を貼ることが治療、なに、2週間もすれば治る。」こんな対応で放置されなければ、重傷であっても、3カ月以内に完治するものです。
Ⅱ. 医師の診断も、ときには疑ってみる?
日本においては、医師と患者の関係は、従属的、盲目的です。しかし、交通事故は、被害者だけの問題では済まないのです。社会復帰が遅れ、職場に迷惑をかけると、あなたの評価はダダ下がりとなります。
しかし、この要素は、損害賠償では考慮されていないのです。交通事故における被害者の最大の目標は、早期社会復帰にあります。であれば、医師の治療にも、神経質でなければなりません。
◆ 交通事故110番 宮尾氏の経験則
事故受傷から10日目、ほやほやの被害者さんが無料相談会に松葉杖で参加されました。原付バイクを運転、信号待ち停止中に、軽トラックの追突を受けたもので、0:100、傷病名は、右ふくらはぎの打撲、頚部捻挫、腰部挫傷です。自宅近くの整形外科に3回通院、右ふくらはぎの痛みを訴えても、「肉離れだから、湿布を貼ることが治療、なに、2週間もすれば治る。」そんな反応で、相手にもしてくれない。本当に、湿布だけで治るのでしょうか?そんな相談がなされました。
右ふくらはぎは、内出血で青黒く変色しており、右下腿周径は左に比較して7mmの筋萎縮、右腓腹筋内側にかすかな陥没が認められ、その部分を押すと、激痛を訴えました。
「右腓腹筋が断裂しているのではないか?」 宮尾氏の予想です。
不安を感じて、スポーツ外来に特化した整形外科を紹介、メディカルコーディネーターが同行しました。エコー検査で、右腓腹筋の断裂が確認され、傷病名は、右腓腹筋の断裂となりました。
患部の炎症を抑える必要から、鎮痛消炎剤の内服、筋肉の過緊張を和らげる徒手療法、筋肉の働きを助けるテーピングがなされ、5日後からは筋肉を柔軟、強くして再断裂を予防する運動療法が開始されました。松葉杖がとれ、就労復帰したのは、受傷から3週間後です。幸い、後遺障害を残すこともなく、完全治癒しました。
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