長管骨の変形には、厳密に基準が定められています。大腿骨は以下の通り。
 
① 屈曲 = 折れてくっついた・・・15°の曲がり
 
② 回旋 = ねじれてくっついた・・・外旋(外側に)で45°、内旋(内側に)で30°
 
③ 直径の減少 = 細くなった・・・3分の1以上減少
 
 弊所の経験上、上記に合致した例は1~2件と記憶しています。現在の医療では、変形なきようにできるだけ手術で矯正します。いわゆるヤブにあたらない限り、それなりに変形は回避されます。

 しかし、自賠責保険は上記の基準を正確に計測した結果と言うより、視認で明らかに変形が確認できた場合、12級8号をくれるようです。今までも、弊所の実績では、仮骨により癒合部が極端に膨らんだもの、癒合部の転位(ズレ)で太くくっついてしまったものは認定を得ています。
 
 大腿骨変形の認定例 👉 併合11級:大腿骨骨折(40代女性・神奈川県)
 
 その辺は柔軟な審査を感じています。本件も見た目、曲がったり、ねじれたわけではありませんが、枝状に骨が剥がれたような部分があり、総合的に転位と仮骨による変形は明らかでした。

 なお、併せて寛骨臼の骨折もあり、その内容もUPしました。
 
長い期間の対応となりました。

併合11級:大腿骨骨幹部骨折(40代男性・静岡県)

【事案】

自動車にて走行中、センターラインオーバーの自動車と正面衝突、受傷した。直後から強烈な神経症状に悩まされる。
 
【問題点】

体質の問題なのか、骨再生速度が緩やかだったため、事故から1年を経過するも骨癒合が完了せず、ただただ待つばかりの状態が半年間も続いた。また、執刀医が転勤したため、その後の診察では、受診するたびに医師が変わり、誰が主治医なのか定かではなかった。
 
【立証ポイント】

仕事の都合やご本人の意向で抜釘はしない方針となったため、骨癒合が完了した段階で症状固定とすることとなった。偶然にも、癒合完了を確認したのが、事故当初に診断書を作成してくれていた医師であったため、後遺障害診断の話がスムーズにでき、膝の可動域等を計測していただいた。

膝の曲がりが悪く、12級の数値となったため、修正の必要もなく提出に至った。また、受傷時と症状固定時のCT・XP画像を精査すると、砕けた骨が枝葉のように癒合していることや仮骨形成によって多少角度がついていることが分かったため、画像打出しを添付資料として補完した。

審査に時間がかかると予想していたが、1ヶ月で併合11級(膝の機能障害で12級7号+大腿骨の変形で12級8号)が認定された。骨折の癒合には個人差があると痛感した次第。

 寛骨臼骨折の認定 👉 12級7号:寛骨臼骨折