ゲームの世界では「隠れアイテム」「隠れキャラ」などの言葉があります。これはゲームの製作者が意図的にその存在をマニュアル等に載せず、ゲームをやりこんだマニアにそれを発見させる楽しみを与えるものです。
これがあるのです。自動車保険にも。
いざというとき、つまり交通事故では自動車保険がもっとも頼りになる救済システムです。それは掛金を払っている契約者(加害者)はもちろん、相手(被害者)に対しても同様です。
しかしこれから紹介する特約を知っている人はどれだけいるでしょう?私の聞き込みでは大手損保会社の数億円収保の大型プロ代理店、保険支払部門勤務30年のベテラン社員でさえこの特約の請求に遭遇したことがないそうです。この方達が勉強不足であるとは思えません。それほど珍しいケースなのでしょうか・・・。
隠れ特約① 無保険車傷害特約
無保険車傷害保険とは(超簡単に説明します)・・・
前置きが長くなりました。実例でお話します。
実話 隠れ特約に翻弄されて
相手の自賠責保険だけが残りました。しかしこの請求も誰かがやってくれるわけでもなく、一向に手続きが進みません。結果的に相手保険の代理店、相手が雇った弁護士が手続きを手伝ってくれました。そして最低限、スズメの涙ほどの保険金が支払われた後は梨のつぶて、相手からの連絡が途絶えました。それから3年、時効が迫るころに私に相談が舞い込んできました…
私:「相手が無保険ならご自身がご加入の自動車任意保険から無保険車傷害特約を適用することができますよ」
Bさん:「えぇっ?本当ですか? そんなこと弁護士相談でも聞きませんでしたよ」
私:「弁護士とはいえそれを説明できる先生は稀です。さらに保険会社は率先して教えてくれません」
Bさん:「しかし事故後、自分の保険会社ア〇サに何か救済方法はないか聞いたら、『人身傷害特約に加入していないので、支払える保険はありません』と言われました」
私: 内心(またか・・・) 「そこまで言って無保険傷害特約の存在を教えてくれないのは悪質ですね。私が電話しましょう」
私: 「ア〇サさんですか?・・・・Bさんの件ですが無保険車傷害特約払って下さいな」
ア〇サ: 「人身傷害特約に入っていませんので・・・」
私: 「あのぅ、日本語わかります?『無保険車傷害特約』の請求をしたいんですが」
ア〇サ: 「少し調べる時間を下さい。折り返しお電話します」 ・・・翌日別の担当に代わり電話がきました。
ア〇サ: 「私が担当Dと申します。無保険車傷害特約は適用できます。しかし残念ながら保険金請求の時効2年を超過しておりまして・・まことに残念ながら・・・」
私: 内心(またそうきたか・・) 「しかし2年前、Bさんは『人身傷害特約』の請求相談で電話をしています。その時に『無保険車傷害特約』の案内はできましたよね?意図的に特約を隠ぺいしたと言われても仕方ないですね。」
ア〇サ: 「いえ、当時の対応した者が勉強不足で・・・ごにょごにょ」 そしてさらに担当が替わる。
私: 「もうあなたが最後ですよ! つまり保険業法の重大な説明義務違反ですな。これ以上は金融庁に相談しますわ」
ア〇サ: 「いえっ(焦)、少しお待ちを」 ・・それから1時間・・ 「被害者救済のため特別に適用します」
私: 内心(あ~面倒くさっ、だからア〇サか) 「わかりました。請求書を送って下さい。それと『特別に』じゃなくて『当然に』じゃないですか?今後の対応しっかり頼みますよ」