顎関節症・円板損傷(がくかんせつしょう・えんばんそんしょう)
(1)病態・症状
関節円板の位置のズレや変形があることで、開口・並行のときにカクンカクンのクリック音か出ること、変形が大きいと口が途中までしか開かない開口障害が出現しています。
関節円板は下顎頭の外側と内側には強く連結しているのですが、前後方向への連結は緩やかで、関節円板は前後へ大きく動くことが可能になっているのです。
関節円板障害は、正しい位置から前にずれることが大半で、関節円板前方転位といいます。つまり、下あごが、前に出っ張った状況となっているのです。原因として、ストレスからくる歯のくいしばり、歯ぎしりなどが指摘されています。
(2)治療
① あごを楽にするようなリハビリ運動
② マウスピースの装用
③ 噛み合わせの調整
歯科医における上記の治療・矯正で、改善が得られます。
(3)後遺障害のポイント
顎関節症は、時々相談を受けていますが、後遺障害の対象となる程の方はいませんでした。事故との因果関係に疑念があること、歯科の治療・矯正で改善が得られることの2つを理由としています。
上顎・下顎骨に骨折がないと、開口障害やそしゃく障害を訴えても、まず見向きもされません。骨折など、相当のダメージを前提に、上下顎関節の転位、あるいは円板損傷があれば信用されます。円板損傷はMRIで立証します。それでも、経験上、微妙な画像が多く、立証の難易度は高いと言えます。
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