(3)後遺障害のポイント
① 眼球の運動障害
眼球の運動は、上下・内外・上下斜めの3対の外眼筋の一定の緊張で維持されています。動眼神経麻痺により、外眼筋の一部が麻痺すると、緊張状態が壊れ、反対の方向に偏位します。
ゴールドマン視野計で注視野を測定し、注視野の広さが2分の1以下に制限されていれば、著しい運動障害として、単眼で12級1号、両眼で11級1号が認定されています。
ゴールドマン視野計
1、注視野
頭部を固定した状態で、眼球の運動のみで見える範囲のことで、単眼視では各方向50°両眼視では45°となります。
単眼、両眼の注視野の範囲は、以下の通りです。
2、眼球の運動障害
② 複視
眼球運動障害として後遺障害等級に該当しないものであっても、複視が認められるときは、その程度に応じて等級が認定されています。複視には正面視での複視、左右上下の複視の2種類があります。
検査には、ヘスコオルジメーターを使用し、複像表のパターンで判断します。
正面視の複視は、両眼で見ると高度の頭痛や眩暈が生じるので、日常生活や業務に著しい支障を来すものとして10級2号、左右上下の複視は、正面視の複視ほどの大きな支障はないものの、軽度の頭痛や眼精疲労を生じるので13級2号が認定されています。
③ まぶたの運動障害
詳しくはこちらに解説済みです ⇒ 眼の後遺障害 ⑮ 外傷性眼瞼下垂 ~ まぶたの運動障害
③ 瞳孔(どうこう)
瞳孔は通常は光に反応して収縮します。自律神経が支配していますが、目に入る光量が低下すると最大6㎜の大きさに散大します。外傷によって瞳孔が開いたままとなり、光に対する反応が消失、または減弱したものを外傷性散瞳と呼んでおり、これらは、眼科医のハロゲン・ペンライトによる対光反射検査で立証します。
瞳孔の対光反射が著しく障害され、著明な羞明を訴え労働に支障を来すものは、単眼で12級、両眼で11級相当が認定されます。
瞳孔の対光反射は認められるが不十分であり、羞名を訴え労働に支障を来すものは、単眼で14級、両眼で12級相当が認定されています。
○ 瞳孔散大
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