【2】まぶたの運動障害

 まぶたの運動障害は、顔面や側頭部の強打で、視神経や外眼筋が損傷されたときに発症します。ホルネル症候群、動眼神経麻痺、眼瞼外傷による上眼瞼挙筋損傷、外転神経麻痺が代表的な傷病名となります。
 
 まぶたには、 まぶたを閉じる=眼瞼閉鎖、

        まぶたを開ける=眼瞼挙上、

        瞬き=瞬目運動
 
 以上の3つの運動があり、後遺障害である、まぶたに著しい運動障害を残すものとは、瞼を閉じたときに、角膜を完全に覆えないもので、兎眼と呼ばれています。同じく、まぶたを開いたときに、瞳孔を覆うもので、これは、眼瞼下垂と呼ばれています。

 単眼で12級2号両眼で11級2号が認定されますが、男女とも、相当に深刻です。 実務上では、顔面の醜状障害として上位等級の9級16号も視野に入れます。
 

 
※ 偽眼瞼下垂

 65歳以上の高齢者では、眼瞼下垂と思われても、実は、まぶたの皮膚だけが緩んで下がっている眼瞼皮膚弛緩症や、前額部の皮膚や筋の弛緩により眉毛が下がりまぶたを押し下げている眉毛下垂といった老人性のたるみがほとんどです。これは、歳のせいで、後遺障害の対象ではなく、真の眼瞼下垂とは区別しなければなりません。

 どうしても見えにくいのであれば、皮膚の切除や眉毛の吊上げのオペが選択され、回復が見込めるのです。過去に、アメリカのレーガン大統領が、このオペ=リフト術を受けて若返っています。
 
※ 兎眼

 外傷や顔面神経麻痺などにより、まぶたを完全に閉じることができず、眼球表面が露出している状態を兎眼と呼びます。

 昔、兎は目を開いたまま眠ると信じられており、兎眼と呼ばれるようになりました。放置しておけば、角膜と結膜が乾いて強いドライアイになります。重症では、角膜の炎症や潰瘍が進行して、視力を失うことも予想されます。眼球がまぶたに覆われ、乾かないように修復術が行われています。
 
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