外傷性眼瞼下垂(がいしょうせいがんけんかすい)

 ⇒ まぶたの欠損・運動障害
 

(1)病態

 眼瞼挙筋は、まぶたや眼球の運動に関わる動眼神経が支配しており、自分の意志でまぶたを開けたり閉じたりすることができる筋肉です。ミュラー筋は自律神経が支配しており、自分の意志で動かすことはできません。また、額の筋肉の前頭筋も眉毛を上げる作用があります。眼瞼下垂などで、まぶたが開けにくい状態では、前頭筋を使ってまぶたを上げることが癖となり、額のしわが深くなります。

 外傷性の眼瞼下垂は、腱膜性眼瞼下垂と呼ばれるものと動眼神経麻痺の2つに分類されます。腱膜性眼瞼下垂は、挙筋腱膜の断裂や瞼板との付着部分が分離するなどにより、瞼板を正しく持ち上げることができず、まぶたが開きづらくなっている状態です。上まぶたが下垂し、まぶたが開きにくくなることで、物が見えにくい状態を眼瞼下垂と呼び、先に説明の、まぶたの切創=裂傷で、眼瞼挙筋や挙筋腱膜を損傷することでも発症します。
 
(2)後遺障害のポイント

【1】まぶたの欠損

 交通事故によるまぶたの切創=裂傷では、縫合や形成術を行っても、著しい欠損を残すことが予想されるのです。


 
① まぶたの欠損により、まぶたを閉じたときに角膜を完全に覆うことができないものは、まぶたに著しい欠損を残すものとして、単眼で11級3号が、両眼で9級4号が認定されます。
 
② まぶたを閉じれば角膜は完全に覆うことができるが、白目が露出する状況では、まぶたの一部に欠損を残すものとして、単眼で14級1号が、両眼で13級4号が認定されます。
 

 
 次回 ⇒ まぶたの運動障害