骨折後の骨変形、この後遺障害は画像で等級が決まります。私共は「画像勝負」なんて呼んでいます。
骨折後の癒合状態で判断されますから、本人の治療努力は別として、私共の立証作業は等級の軽重に寄与しない、とも言えます。すると、弊所にご依頼頂き、医療調査費を依頼者さんにご負担頂く意味は薄れるものでしょうか? 確かにそのようなケースもありますが、審査する担当者、あるいは顧問医が変形の程度をどのように判定するのか・・変形の度合いを重度か軽度か、その判断が微妙なケースもあるわけです。後遺障害の判定全般に言えることですが、軽重を分ける基準が存在するも、審査員の判断に左右されることもあると思います。
↓ 椎体の圧壊率は椎体の前方高(A)・後方高(P)から計算しますが・・
本例は受傷直後の画像から、早くも「11級確定だが、8級に及ぶか」を検討していました。そして、6か月後の症状固定を計画し、経時的に胸椎のCT、MRIの観察を続けました。だらだら治療を続け、症状固定を遅らせることにより、基準を超えた骨癒合での審査を避けたかったのです。結果、11級を覚悟しましたが、運よく8級判定となりました。ご依頼者から報酬を頂ける仕事をしたと思います。
やった!
8級相当:胸椎圧迫骨折(40代男性・群馬県)
【事案】
自転車で片側一車線の道路を直進中、後方から走行してきた自動車が自転車を追い越した後、急に左折したため、避けきれず衝突し負傷。救急搬送され、即日入院となった。
【問題点】
事故当日にご家族より事故報告が届いた。受傷直後~解決までの計画を策案、問題なく進めることができた。
【立証ポイント】
事故に理解がある医師であったため、後遺障害診断書の出来はばっちりであった。しかし今回は、画像で勝負が決まる案件であったため、受傷時と症状固定時に撮影したMRI・CT画像の比較を資料として打出し、後遺障害診断書を補強して提出した。
(参考画像)
2椎体の圧迫骨折があるものの、それぞれの圧壊程度から11級7号に留まるかもしれなかった。ギリギリの判断と思うが、2椎体のうちの1椎体に「中程度の変形」が認められ、8級相当となった。もちろん理由書には「鈍痛等の症状については前記等級に含めての評価となります。」という一文も記載されるように仕掛け、逸失利益の交渉に備えた。
8級は期待以上、依頼者も大満足の結果となった。本件は過失が見込まれる案件でもあったため、労災にて治療していたが、続いて労災でも8級が認定されれば、隙のない解決となるであろう。