涙滴骨折(るいてきこっせつ)
 

 
 椎体骨折では比較的珍しい折れ方。医師によっては単に「破裂骨折」、単純に一つのかけらに分離する場合は「隅角骨折」と診断名を打つ場合もあります。秋葉事務所での等級認定にはなく、相談例として2件のみです。
  
(1)病態

 頚椎が、外力で屈曲が強制され、同時に、上方向からの圧迫力が加わったときに、中・下部頚椎に発生する骨折のことで、上位椎体が下位椎体を圧迫したときに、椎体前方部分を破壊し、これが涙の滴のように前方へ分離することから、涙滴骨折=ティアドロップ骨折と呼ばれています。

 交通事故では、正面や側面衝突などの高エネルギー衝突で発生しています。出合い頭衝突の勢いで、電柱や立木、高速道路壁に激突など、かなりひどい事故状況です。交通事故以外では、浅いプールや海などへの飛び込みにより頭部を水底に打ち付けることや、高所からの転落事故で発生しています。
 
(2)症状

 骨折部の激痛と腫れ、C2~3など頚椎が高い部位では可動域制限。 付随して頚部神経症の発症もあります。
 
(3)治療

 安定型であれば、仰臥位で砂嚢による固定、頚椎に配列異常があれば、持続的牽引の保存療法が行われます。椎体後柱部の骨折では、後方へ転位し、棘間靱帯や後縦靭帯の損傷による頸椎の後弯、前方辷り、椎間関節や棘突起の間隔の開大などにより高度の脊髄損傷を合併すること予想されます。この場合は、緊急手術で強固な内固定が行われています。
 
(4)後遺障害のポイント

 安定、不安定によって、対応は変わります。安定型骨折であれば、受傷から6、7カ月で症状固定とし、脊椎の変形で11級7号を目指します。不安定型骨折はめったにありません。神経症状がひどい場合、脊髄症状を丹念に拾い上げて、神経系統の機能の障害を立証します。