TUGテストとは、Timed Up & Go Test の略です。
最近、水頭症の専門医と面談の機会があり、医師から教わった事を基に、日本運動器科学会さまのHPから引用、記事にまとめました。今後も高齢者のご相談・ご依頼者さまの介護や障害の評価として、度々目にするはずです。
Timed Up & Go Test(TUG)は開眼片脚起立時間とともに運動器不安定症(MADS)の指標となっています。
高齢者の生活機能を正しく評価することは、転倒・骨折の危険性を早期に発見し、適切なリハビリテーションを行うことによって、要介護状態となることを防止し、尊厳ある高齢者の自立を支援するという極めて重要な意味を持ちます。その評価の基盤となる高齢者の運動機能に関する疫学調査は本邦においても、近年質の高い報告がなされるようになっています。中でもTUGは信頼性が高く、下肢筋力、バランス,歩行能力、易転倒性といった日常生活機能との関連性が高いことが証明されており、高齢者の身体機能評価として広く用いられています。
(1) 測定方法:Mathiusにより発表された原法は肘掛のついた椅子にゆったりと腰かけた状態から立ち上がり、3mを心地よい早さで歩き、折り返してから再び深く着座するまでの様子を観察します。この動作間の所要時間で評価したものがTimed Up & Go Testです。
<運動器不安定症における具体的実施方法>
椅子に深く座り、背筋を伸ばした状態で肘かけがある椅子では肘かけに手をおいた状態、肘かけがない椅子では手を膝の上においた状態からスタートし、無理のない早さで歩き、3m先の目印で折り返し、終了時間はスタート前の姿勢に戻った時点とします。
(2) Cut-off値(何秒で転倒リスクや介護の必要性を判断するか):Shumway-Cookは転倒経験者と非経験者を対比しcut off値を13.5秒とし、Bischoffは地域在住高齢者と施設利用者と対比しcut off値を12秒としている。
また、2005年本邦で行われた介護予防事業では要支援の高齢者の平均値が12.2秒であった。以上の報告をもとに、介護予防の観点から運動器不安定症のcut off値は11秒と設定されている。
⇒ 13.5秒以上:転倒リスクが予測される
⇒ 30秒以上:起居動作や日常生活動作に介助を要す