交通事故の被害者は当たり前に補償が受けられるわけではありません。
加害者が必ずしも任意保険に加入しているわけではありません。およそ、走っている車の5台に1台は無保険です。
加害者が自賠責保険すら入っていないケースも稀にあります。
では、保険に入っていない人が、お財布を開いて治療費や慰謝料を払ってくれる確率は?・・極めて低いと覚悟するべきです。たいてい、「お金がない」か「俺は悪くない」と居直ります。
保険に入っていたとしてしても、100%安心できません。困ったことに自分の非を認めず、「過失割合を認めない」などと抵抗、終には「自分の保険を使わない」と放置、逃げを決め込む加害者が少なからず存在するからです。
つまり、被害者の損害の回復は、加害者次第の面もあるわけです。
このような変な加害者にぶつけられた場合、すんなり補償は受けられず・・交渉は紛糾、長期化し、自損自弁(お互い自分の車を自分で修理する解決)のように、最悪やられ損となります。
最近のご相談でも、
・加害者・被害者双方の保険会社の話し合いで、過失割合も20:80で合意、被害者もそれでよいとするも、加害者だけが認めない。挙句、自身の保険使用を取り下げて勝手に交渉終結。
弁護士から訴えを起こそうにも、行方不明で請求書面を受け取らない。行方探しから始めなければならず・・請求者(被害者)に大変な負担が圧し掛かります。 公示送達(※)の方法が残りますが、相手がいない・受け取らない事情を調査をする必要があり、簡単に裁判はできません。
※ 公示送達・・・当事者の住居所の不明な場合、または通常の送達方法によることができない場合などに、その書類を一定期間、裁判所の掲示場などに掲載して公示するもの。 本人に送達したと同一の効力を生じます。
・事故状況どころか、事故場所まで食い違い、自身加入の保険会社の調査から事実はほとんど明らかなのに、加害者だけが認めない。刑事事件が1年以上も続き、保険会社の支払いも止める始末、被害者は相手からの補償が得られない状態なのです。 このようなケースは高齢者に多いのですが、頑固を通り越して病的です。
近年の死亡事故で、車の故障と言い張り、アクセルとブレーキを踏み間違えたことを認めない人もおりましたね(裁判の結果はご存じの通りです)。
交通事故にはこのようなリスクが存在しています。相手によっては、弁護士も法律も無力なのです。「正義が勝つ」のは、加害者がまともな人ならの話、単なる理想に過ぎません。だからこそ、被害事故対策としての保険を自ら加入が望ましいのです。
被害者対策の保険ですが、ケガの場合は人身傷害保険。これで相手からの支払いなくても、自らの治療費や休業損害、慰謝料など最低限を確保できます。
自動車など物の損害の場合、車両保険への加入が望まれます。相手からの弁償を請求することや過失割合の争いも含め、自分の保険会社に丸投げできます。示談を待たずにさっさと修理して、日常を取り戻せます。いつまでも変な人を相手にするなど、時間も精神力も無駄なのです。
また、紛争に備えて、弁護士費用特約の加入も必須です。
これら、被害者になった場合の保険を完備すれば、”金持ち喧嘩せず”の実現が可能です。
損保代理店さんの営業努力だけではなく、それ以上に人々の保険に対する意識向上が必要です。
やられた場合、確実に補償が得られる保証はありません。自ら「保険」という盾を用意しておくべきなのです。