言語に関する障害は平成23年4月の新基準において言及され、「意思疎通能力」の低下として重要視されています。
前回の「言語機能に関する障害」ではSLTAを取り上げました。もう一つ解説します。
 

② WAB失語症検査 

 言語機能の総合的な検査(8項目、全38検査)を行います。自発語、復唱、読み、書字について0~10(自発語のみ20)点の得点を計ります。失語症の分類・軽重を明らかにします。
 

1、全失語(重度の失語)
 
2、ブローカ失語(運動性失語、流暢性の喪失)
 
3、ウェルニッケ失語(感覚性失語、内容の乏しい発言)
 
4、健忘性失語(言葉のど忘れがひどい)             以上4つの分類、評価をします。

下位項目 得点範囲
1、自発話 0~20
2、話し言葉の理解 0~10
3、復唱 0~10
4、呼称 0~10
5、読み 0~10
6、書字 0~10
7、行為 0~10
8、構成 0~10

 高次脳機能障害の失語症は、認知障害、記憶障害、右半身麻痺などの症状と重なって生じるケースが多くみられます。しかし失語障害の度合いが強い患者の場合で、認知障害、記憶障害などの程度が軽く、それらが検査で顕著に出ないと認定等級も低くなってしまいます。失語は意思疎通能力にとって重要なマイナス要素であると思います。兆候があれば必ず実施したい検査です。
 言語聴覚士を擁する病院でも言語についての検査設備を持っていないことが多いです。この分野は失語症のリハビリ検査であると理解されており、脳神経内科寄りの分野、リハビリの一環となります。