昨日に続き、視覚に焦点を当てた検査です。見えているものを間違った記憶としてしまう。
例えば丸い大皿を取ってと言ったのに四角い小皿を渡してしまう患者さんの例を経験しています。
■ ベントン視覚記銘検査
視覚性注意、視覚性記憶、視覚認知、視覚構成能力の4つの観点で評価します。○、△、□などの3つの図形が書かれた見本を見せて、その後それを同じ形、同じサイズ、同じ並び方で書かせます。これを10枚繰り返します。
<見本> 下の図を5秒見せます
○ ▽ □ |
<描写図> 見本を隠した後、書いてもらいます
1、省略、追加はないか?
2、歪みはないか?
3、同じ図形を繰り返し書いてしまわないか?(固執性)
4、上下逆に書いてしまわないか?
5、並び方を間違えないか?
6、大きさを極端に違えてないか?
障害とされる点数は 15歳~44歳 5点以下
45歳~54歳 4点以下
55歳~65歳 3点以下
また見本を見せる時間も5秒と10秒があり、即時記憶が可能かどうかも計れます。
記憶障害も「言語」「行動」「聴覚」「視覚」と観点を変えて観察することが大事です。なぜなら高次脳機能障害は、ある部分はケガの前と変わらないが、ある部分はガタッと欠落している、という特徴があります。全般的に認知能力や記憶力が低下し、好不調の波があるアルツハイマー型痴呆との違いの一つです。