労災と交通事故(通勤災害)は切っても切れない関係です
 
 
 今回は、労災が適用される交通事故において、保険会社からもらう賠償金には控除されない障害特別一時金について説明します。
 
 労災で後遺障害が認定されると、障害年金(7級から1級)障害一時金(14級から8級)、障害特別支給金、障害特別一時金、を受給することができます。交通事故とは関係のない労災事故であれば、全て満額受給することができますが、交通事故では、相手方から支払われる後遺障害慰謝料・逸失利益というものが障害年金・障害一時金と重複してしまうため、金額によっては、労災からもらえない、年金では、一定期間もらうことができないといったことが生じます。
  
 しかしながら、障害特別支給金と障害特別一時金については、相手方から貰うお金とは別に受給することができます。この点だけでも労災に請求するメリットはあります。これは、治療費を労災で請求したかどうかは関係ありません。最後の最後に会社と病院に書類を記載してもらい、申請すればOKです。(もちろん、労災でも後遺障害の審査がありますので、必ず貰えるわけではありませんが…)

     障害特別支給金と障害特別一時金については、下記の表のとおりです。


 障害特別支給金については、認定されると決まった金額がもらえるので、分かりやすいです。しかし、障害年金や特別一時金には〇日分というのがあり、請求者さんにとって一見ではわかならいでしょう。この〇日分というのは、算定基礎日額というものが〇日分支払われるということであり、皆様の賞与額によって決まります。

 「算定基礎日額」とは、負傷または発病以前1年間の賞与の総額を365日で割った額です。

 ※ 賞与の総額が給付基礎日額の365倍の20%を上回る場合は…といったことがありますが、今回はなしで考えましょう。

 仮に、1年間の賞与が夏・冬それぞれ18万2500円もらっていたとすると、合計で36万5000円となります。その金額を365日で割ると算定基礎日額が1000円となります。そのため、12級が認定された方であれば、障害特別支給金として20万円、更に障害特別一時金として15万6000円、合計35万6000円が受給できます。
 
 このように、相手方からもらう金額以外に別枠で受給できるのです。「会社が労災を使わせてくれない、その後の会社での立場が…、手続きが面倒。」といった声をよく聞きますが、私からみると勿体ないなと思います。今は、分かりやすい金額で出しましたが、賞与がそれ以上もらえている方もいらっしゃると思います。手続きが分からないのであれば、交通事故に長けた事務所にぜひ相談してみてください。