死亡事故では、後遺障害の立証など、医療調査の場面は限定されます。もちろん、事故と死亡の因果関係が検討されるケースとなれば、シビアな作業になります。
しかし本件の場合は、相手が無保険(自賠責保険のみ)で、高齢からほとんど逸失利益が見込めず、また、自身にも相当の過失がありのトリプルコンボ。さらに、自動車のない世帯で任意保険(人身傷害、無保険者傷害)の加入無し。すると、弁護士の賠償請求や交渉での増額余地は少なく、自賠責保険の保険金額で収まってしまいそうです。したがって、連携弁護士から自賠責請求に関する書類収集や諸事務を託されました。自賠責保険のみで終わる死亡案件は、実は少なくありません。
ご冥福をお祈りします
死亡:外傷性くも膜下出血、脳挫傷(80代男性・東京都)
【事案】
自転車にて走行中、原動機付自転車に衝突される。頭部を強打し、意識不明の状態で救急搬送、外傷性くも膜下出血、脳挫傷の診断にて入院するも、外科的処置にての救命は不可能と判断され、事故から6日後に息を引き取った。
【問題点】
加害者が自賠責のみで無保険であった。また、本件事故に目撃者がおらず、細かな事故態様が不明であったが、被害者の過失は避けられない様子。高齢であることからも、逸失利益等が見込めず、自賠責保険のみで決着が濃厚だった。
【立証ポイント】
通常、死亡事案の多くは弁護士の仕事が中心となるが、本件のほとんどは自賠責保険の請求事務であり、その書類収集を担うことになった。
2ヵ所の病院の診断書・画像、全ての戸籍を取り寄せた。本件は年金受給者であったため、自賠責調査事務所から「年金額についての通知の提出と、年金以外の収入についての回答」を求められた。依頼があった書類を送付したところ、2ヶ月後に「死亡認定」が無事になされた。
連携弁護士は、これ以上の賠償金は望めないと判断、そのまま解決となった。