10月になりましたが、衣替えをためらうような陽気が続いております。
本日のお昼、事務所は珍しく全員揃っていました。そこで、マックの月見バーガーをウーバーイーツ(UberEats)で頼もうということになりました。UberEatsは今、注目の配達サービスです。提携店から商品を自転車便などでデリバリーしてくれます。アメリカ発のアイデア業ですね。真夏の炎天下、真っ黒に日焼けした配達員のお兄さんが頑張っています。
ここで少し心配、彼らの業務中の保障はどうなっているのでしょう。配達員とUberEatsの雇用形態に注目してみましょう。
配達員はアプリ経由で好きな時間に仕事ができるという最先端の働き方ですが、「個人事業主」という立場で契約しているようです。つまり、労災や雇用保険の対象になりません。当然、交通事故もあるでしょう。色々と問題が浮上しているのか、アメリカでは労働組合結成に向けた動きもあるようです。 ちょうど、ネットニュースが入りましたので、それをご覧下さい。
<ITmedia NEWSさま(9/30配信)記事より引用>
UberEats、事故に遭った配達員に「見舞金」「労災保険ない」反発の声に対応
Uber Japanは9月30日、フードデリバリーサービス「Uber Eats」の配達員が事故に遭った場合、見舞金を支払う「傷害補償制度」を、10月1日から導入すると発表した。三井住友海上火災保険と協業し、配達員が保険料などを支払う必要はない。「個人事業主扱いなので、労災保険が適用されない」という、配達員からの反発に対応した。
配達員がスマートフォンアプリで配達リクエストを受諾した時点から、配達が完了するか、キャンセルされるまでの間に、事故に遭うと補償対象になる。医療見舞金、後遺障害見舞金、死亡見舞金、入院に伴う見舞金などを付与する。
従来の制度では、対人・対物賠償で、配達員自身のけがは補償対象に含まれていなかった。Twitter上では7月ごろ、「Uber Eatsの配達中に転倒したら、運営元から『アカウントが永久停止になる恐れがある』とメールが届いた」という投稿が拡散。「けがした現場の人に対して心無い言葉だ」「補償制度はないのか」など批判の声が上がっていた。
そうした中、配達員の有志が労働組合に相当する「ウーバーイーツユニオン」を設立すると発表。Uber Japanに対し補償制度の導入を訴える一方、国に対しても法制度の整備を求めていた。
Uber Japanは、こうした配達員の要望に応えて新制度を発表。Uber Eats日本代表の武藤友木子氏は「これまでも配達員が安全・安心に配達するためのサポートを提供してきたが、今回追加した補償制度は大きなステップになると考えている」とコメントしている。
Uberのように、フリーランスがスマホアプリを通じて単発の仕事を請け負う「Gig Economy」(ギグエコノミー)を巡っては、海外で規制の動きが広がっている。
米カリフォルニア州では9月、「労働者が企業のコントロールから自由であること」などの条件を満たさない場合、請負業者ではなく従業員として取り扱う法律が成立した。労働者を従業員として雇用すれば、その分だけ福利厚生のコストが掛かるため、Uberにとって大きな打撃になりそうだ。
この話題から、かつて、大手損保が扱っていた団体傷害保険を思い出しました。とくに、中小企業向けに「共通団体保険」が大人気でした。この保険はざっくり人数だけで契約し、加入者名簿は契約者(会社)が控えておればよく、従業員が事故で保険金請求となった時に保険会社に提出すればよいという、信じられない大雑把な団体保険でした。背景として、昭和~平成は、労働者が日雇いやアルバイトが多く、労災未加入としていた工務店や工場は珍しくありませんでした。今でこそ、労災加入は厳しくなったと思いますが、大らかな時代は長く続いたものです。名簿の管理がゆるいこの保険は、従業員の出入りが多く名簿の管理が大変な、それら中小企業のニーズにぴったりでした。私もよく契約を頂いたものです。
右肩上がりの経済終焉の現在、非正規雇用者の増加は止めようもないと思います。社会保険や労災による企業負担の上昇は、益々サービス業のアウトソーシング化に拍車がかかると思います。かつての共通団体のような保険が今なお、望まれていると思います。本例、UberEatsさんのような雇用形態には、自転車配達員が加害者となった場合の対人・対物保険(おそらく施設賠償保険)に、配達員自身のケガに対する補償を組み込むのも一つのアイデアではないでしょうか。被保険者(つまり、外注の配達員)の名簿管理が大変ですが、まさか共通団体のようにはいかないまでも、準記名式で。このパック商品の開発・設計、保険会社、代理店さんに是非ともヒントにしていただきたいと思います。