2件目も同じく7級、これも一見、障害を感じさせない被害者さんでした。

 それでも、後遺障害の仕事を舐めてはいけません。簡単に見極めては、些細な障害を見落とすことになります。ご家族と共に数ヶ月間、丁寧に観察・検証を続けました。性格変化の立証は、元々の性格と障害による変化を区別・比較する必要があります。医師はその患者が事故受傷で病院に運ばれて来てからの付き合いですから、当然に元々の性格など知りません。いかに、主治医に事故前後の変化を示すことができるか、これがポイントです。


適切なフォローと緻密な立証無くば、12級13号に落とされても仕方ない案件でした
 

7級4号:高次脳機能障害(50代女性・静岡県)

【事案】

交差点で道路を横断中、後方からの右折自動車に跳ねられた。直後、救急搬送され、頭蓋底骨折、急性硬膜外血腫、くも膜下出血、鎖骨骨折の診断となる。

【問題点】

幸い予後の経過よく、本人と面談したが特に高次脳機能障害としての症状は読み取れなかった。もちろん、それは良いことではあるが、海外出張中の御主人及び、同居のご長男(社会人で多忙)に対し、限られた時間であっても綿密に症状・変化を観察・記録頂くよう要請した。

【立証ポイント】

ご本人、ご家族と頻繁に連絡を取りつつ、神経心理学検査を重ねて11ヶ月目で症状固定とした。易怒性と呼ぶほどは酷くはないが、怒りやすく繊細に過ぎる部分、固執性などをフォーカスすること、つまり、微々たる性格変化の立証が決め手となった。ご家族の観察を主治医に伝えるべく、3度にわたる医師面談で繊細な障害の共通認識を深めた。

申請後まもなく、高次脳機能障害で7級4号が認定された。なお、本件では鎖骨骨折後の変形で12級5号が認定され、併合6級となっている。