つまり、後から症状を訴えても信じてもらえません。受傷初期から専門科を受診し、検査結果を残す必要があります。また、事故受傷のダメージから初期に神経症状の一環として症状が発露し、後に軽減するパターンも多いものです。その場合は、症状固定時期に再度の検査を重ねる必要があります。
周到な計画なくして、交通事故被害の立証は果たせません。本件も微妙な症状はすべて蹴られました。もっとも、症状の軽減は良いことで、諸症状を一くくりに、14級9号に収めた結果を残せたと言えます。
14級9号:前頭骨骨折(30代男性・山梨県)
【事案】
自動車同乗中、運転手が信号柱に衝突した為、受傷した。直後から顔面部痛のみならず、しびれや目眩、複視等多岐にわたり強烈な神経症状に悩まされる。
【問題点】
事故から1年経過してからの相談だったため、すぐに医師面談して、今後の方針について打合せをした。また、目眩については耳鼻科を受診していなかった為、諦めとなった。
【立証ポイント】
骨折部と痺れの領域が一致していた為、形成外科の医師に働きかけたところ、専門外ながら後遺障害診断書に神経症状の残存を記載いただけた。提出時には受傷初期に撮影された3DCTを添付して12級13号認定を試みたが、骨癒合良好の為、神経症状の14級9号認定止まりとなった。
複視については、受傷直後から定期的にヘススクリーンテストを実施していたが、全ての結果で5度以上離れていなかった為、非該当となった。このように重篤な怪我で後遺症に苦しんでいるにも関わらず、14級9号認定に留まってしまうという認定基準の負の面を見た案件となった。