現在、秋葉事務所の担当している脊髄損傷(頚髄損傷、中心性脊髄損傷 含)による被害者さんは3名です。受傷直後の相談者さんも2名おります。
脊髄損傷は一般的には不可逆的、治療による改善が望めない不治のケガです。神経が完全に断裂していない場合、麻痺の強弱はありますが、リハビリでわずかの改善を目指すしかありません。近年、IPS細胞の培養による組織移植によって、あらゆる臓器の取替えが期待されています。将来、人間の体も故障したパーツごとに取り替え、予備部品がストックできるようになるのでしょうか。
それでも、脳細胞や神経は完全にコピーできるものか懐疑的でした。それら人体の精密部品は完全に解明できないところもあり、素人目にも難しいと思っていました。ところが、今朝のニュースで、実験段階に及んでいることを知りました。以下、産経新聞より抜粋します。
将来は慢性患者の治療も iPS移植、脊髄損傷に光明
国がこれまでに承認したiPS細胞による再生医療の臨床研究は、薬など他の治療法が存在する病気が対象だった。だが、脊髄損傷は再生しない神経細胞が傷付くことで起きるため、薬では治せない。慶応大の細胞移植は成功すれば唯一の治療法となるだけに、患者の期待は非常に大きい。
移植は脊髄を損傷してから数週間の患者を対象に行う。神経細胞は切断された場所だけでなく、周辺でも炎症を起こして死滅し、症状が悪化していくため、早期に移植した方が治療効果が出やすいからだ。
ただ、慶応大の岡野栄之(ひでゆき)教授は「将来は損傷から長期間が経過した慢性患者の治療もiPS細胞を使って行いたい」と話す。安全性の確認を最優先に、さまざまな知見を蓄積し、適用対象の拡大につなげていく考えだ。
国内では約20万人に及ぶ慢性患者が不自由な生活を強いられながら、治療法を待ちわびている。今回の臨床研究は、こうした人たちに光明を届けるための第一歩となる。
<産経新聞(伊藤 壽一郎 氏)より>
iPSで脊髄損傷治療 慶応大が大筋了承、来年にも移植
人工多能性幹細胞(iPS細胞)から神経のもとになる細胞を作り、脊髄損傷の患者に移植する岡野栄之(ひでゆき)慶応大教授らの臨床研究について同大の審査委員会は13日、実施を大筋で認めた。研究チームは正式な了承を経て、近く厚生労働省に承認を申請する。認められれば来年にも移植を行うとみられ、iPS細胞を使った世界初の脊髄損傷の臨床研究となる見通しだ。
脊髄損傷は交通事故やスポーツの事故で脊髄を損傷し、脳と体をつなぐ神経が傷付き手足のまひなどが起きる。国内患者は年間約5千人で、重度の場合は車椅子生活を強いられる。有効な治療法はなく、新たな治療法の開発に大きな期待が寄せられている。
計画では、移植を行うのは運動機能や感覚を失った重度の成人患者。脊髄を損傷してから2~4週間以内の患者が対象で、治療の安全性と有効性を確認する。
京都大が備蓄している拒絶反応が起きにくい免疫タイプの健常者の血液から作ったiPS細胞を使って、慶大が神経細胞のもとになる細胞を作製。患部に移植して新たな神経細胞を形成し、神経信号の途絶を修復して運動機能や感覚を回復させる。
チームは重度の脊髄損傷を起こしたサルで実験した結果、後脚で立ち上がり、握力を回復させることに成功。iPS細胞を使った移植はがん化が懸念されるが、マウスの実験でがん化しないことも確認した。昨年2月、学内の審査委員会に実施計画を申請していた。
岡野教授は「まずは治療の安全性確認を第一に取り組む。その上で少しでも患者の機能が回復することを期待する」と話している。
iPS細胞を使った再生医療の研究は理化学研究所などが重い目の病気で、京都大がパーキンソン病でそれぞれ移植を実施。心不全や再生不良性貧血でも厚労省が計画を承認している。
<産経新聞 より>