【事案】

自転車で交差点を横断の際、バイクと出会い頭衝突・転倒し、頭部を強打した。意識不明のまま救急搬送され、診断名は急性硬膜下血腫、くも膜下出血となった。緊急開頭手術で側頭葉の血腫を除去、命は取り留めた。
 (参考画像)

【問題点】

本件は加害者側が自賠責保険のみであり、自身契約の人身傷害を頼るしかなかった。また、ご家族の回復への執念から、症状固定が延びた。

その後、外傷の回復は進んだが、記憶、注意機能に低下が見られた。なかでも易疲労性が顕著で、食が極端に細くなったことから体力の低下が進んだ。これには主治医もお手上げで、私達もこのように極端な症状は初めてである。セカンドオピニオン、漢方薬の服用等を併用したが、改善は見られなかった。
 
【立証ポイント】

体力低下が深刻であることから、私達は障害認定へ進めるよう促した。医師の診断書記載を急かし、受傷からおよそ3年後に症状固定となった。

3級の決め手になったのは、易疲労性・意欲低下に連なる摂食障害による、体力低下であった。脳損傷後の精神障害・神経症状は多肢に渡るが、本件の症状は命を縮める実に重いものである。

(平成30年9月)