【事案】
バイク運転中、対向車線からの右折自動車の衝突を受ける。手指を損傷、診断名は以下の通り。
・母指(親指)→ 伸筋腱断裂
・示指(人さし指)→ 中手骨開放骨折、伸筋腱断裂
・中指 → 伸筋腱断裂
・環指(薬指)→ DIP関節脱臼
・小指 → 伸筋腱断裂
【問題点】
症状固定時期には、人さし指のMP関節とPIP関節の可動域が2分の1制限、中指のPIP関節も可動域が2分の1制限、それぞれギリギリであったため、症状固定を急いだ。さらに、薬指のDIP関節も関節可動域に制限を残した。このDIP関節はどのように等級判断されるかを注目した。
前任弁護士は手指の障害をあまり理解していない様子で、事故から1年たっても具体的な方策なく、症状固定に踏み込めずにいた。
【立証ポイント】
漫然と医師の診断を待っているわけにはいかない。依頼者の理解を促して、弁護士を交代して進めることになった。
主治医のいる病院と手術を実施した病院の医師とが分かれており、それぞれに検査、診断書の依頼で往復が続いた。一番の問題は、伸筋腱断裂とあったにもかかわらず、MRIは一度も撮影していなかったことである。急いで検査を実施し、可動域もしっかり計測を行い、専用用紙にまとめた。最後に、すべての画像、前任弁護士が集めきれていなかった診断書、レセプトを集積して被害者請求へ。
約3ヶ月も審査を経て、認定等級は以下の通り。
① 親指は可動域制限等なく、痛み・しびれ等の症状から、お馴染みの14級9号に。
② 人さし指のMP関節とPIP関節の可動域2分の1制限、及び、中指のPIP関節可動域2分の1制限から、「親指以外の2の手指の用を廃したもの」として、問題なく10級7号が認定。
③ 薬指のDIP関節は、「1手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの」として、14級7号という、事務所初の認定が加わった。
尚、②と③の障害は同一系統(機能障害)の障害であったため、併合ではなく、10級相当と認定された。ただし、① 別系統(神経症状)の認定等級が加わり、最終的には併合10級に。
※ 併合の為、分離しています。
(平成30年4月)