【事案】
自転車搭乗中、前方から直進してきた自動車に衝突され受傷。直後から肩の痛みに悩まされる。
【問題点】
相談に来られた時には、既に後遺障害診断書も記載済みであった。また、可動域制限が残存していたが、癒合状態も良好で傷病名と可動域の因果関係やMRI検査、3DCT等必要な検査を行っていなかった。医師の判断で、5ヶ月もの間プレート固定をしていたため、毎日のようにリハビリに励んでいたが、拘縮によって可動域制限が起きてしまったようである。
【立証ポイント】
すぐに病院同行し、MRIと3DCT検査の依頼に伺う。症状固定後の検査依頼であったため、怪訝な様子ではあったが、大きな病院なので即日3DCT検査、後日MRI検査も実施していただいた。やはり、3DCTやMRI検査でも可動域制限が起こりうるような有力な所見は得られなかった。後遺障害診断書上の健側の可動域の数値が不可解であったが、修正をしてしまうと10級の数値になってしまうため、あえて間違えのまま12級の数値で申請を行った。弊所は疼痛での14級9号を予想していたが、予想を超えた「可動域制限での等級」が認定された。健側の数値を正常値に修正していたら・・つまり、半分しか腕が上がらない(10級)症状で申請したら、自賠責・調査事務所の怒りを買って「非該当」の結果もあり得たのではないか?
上肢の機能障害 |
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両上肢の用廃 |
・肩・肘・手関節の完全強直、 |
2関節の用廃 |
・関節の強直またはこれに近い状態にあるもの、 |
著しい障害 |
・健側に比して患側の可動域が 2 分の 1 以下に制限されて |
機能障害 |
・健側に比して患側の可動域が 4 分の 3 以下に制限されて |
被害者に残存した障害を正しく立証することは当たり前だが、どこか「人の機微を読む」ことも等級認定には必要ではないかと考えてしまう。後遺障害は知れば知るほど奥が深いと改めて感じた案件となった。
(平成29年8月)