鎖骨の認定が続きました
 
 交通事故で、特にバイクで事故に遭われた場合、鎖骨を脱臼したり、骨折したりします。相談会で実際に相談者にお会いする場合、鎖骨の怪我で、主に確認することは以下の3点があげられます。
 
① 痛みが残存しているかどうか

② 骨折箇所と骨折内容について

③ 外観上、健側(怪我していない肩)と比べて、左右差が出ているかどうか
 
 ① 痛みが残存しているかどうかについて・・・症状固定時に疼痛が残存していれば、骨折した部分の癒合状態にもよりますが、大きく分けますと、きれいに癒合していれば14級9号が、癒合不良や癒合しても変形、骨片の残存等で痛みの原因が明白であれば12級13号が、認定の対象となります。

 ② 骨折箇所と骨折内容について・・・上記した通り、疼痛の原因が画像上明白かどうかを確認します。また、骨折の場合、骨折箇所が鎖骨のどのあたりなのかも確認します。なぜなら、鎖骨の外側(肩に近い方が遠位端、首に近い方が近位端)の骨折の場合、癒合してもわずか数ミリのズレで関節に可動域制限が生じる可能性があるからです。

 鎖骨骨折後の肩関節の可動域制限については、とくに外転運動(腕を下げた状態から腕を横→上に上げていく運動)に影響がでる傾向です。等級については以下の数値となります。

部位
主要運動
参考運動
肩関節
屈曲
外転
内転
合計
伸展
外旋
内旋
正常値

180 °

180 °

0 °

360 °

50 °

60 °

80 °

8 級 6 号

20 °

20 °

0 °

40 °

10 級 10 号

90 °

90 °

0 °

180 °

25 °

30 °

40 °

12 級 6 号

135 °

135 °

0 °

270 °

40 °

45 °

60 °

 
※ なお、違う記事でも述べましたが、可動域については演技をしようと思えば可能であるため、画像所見や神経検査の結果等で所見があり、かつ、可動域制限が生じても矛盾しない場合に認めることが原則です。ここ数年来、この原則が厳格になっているようです。