膝シリーズ復活!
 最近も重傷例を担当しました。実戦に勝る経験則はありません!
 
 前回までのシリーズ ⇒ 膝の怪我について①
 
 以前述べたように、靱帯の損傷がひどい場合、手術としては、靭帯修復術や再建術、人工関節置換術をすることがあります。

 人工関節置換術とは、関節を金属・セラミック・ポリエチレン等でできた人工関節に入れ替える手術です。この手術は関節の疼痛を緩和・消失、または関節を曲げられるように、あるいは関節の動揺性をなくすこと等を目標としています。なお、人工関節置換術がなされた後、疼痛が消失する代わりに、多くの人は正座ができなくなります。

 交通事故で関節を損傷し、人工関節置換術を実施した後に症状固定した場合の等級としては、以下の通りです。
 
 (1) 人工関節置換術がなされて、かつ可動域制限がない場合:10級11号
 
 (2) 人工関節置換術がなされて、かつ関節可動域が健側(怪我をしていない方)と比べて2分の一以下に制限されるようになった場合が:8級7号
 
 人工関節置換術は、交通事故外傷より圧倒的に膝関節症の改善の為に行うことが多く、膝の疼痛の訴え程度で誰もが手術をするわけでありません。日常生活に支障が出るような重度の症状を対象とします。人工関節置換術が無事に終わったとしても、術後に感染症のリスクがあります。したがって、比較的安価で気軽に手術できるようになりましたが、、手術をすることがやむを得ないような症状、かつ、関節の専門医によってなされる手術といえます。また、治療先の選択も慎重にする必要があります。