【1】閉尿・頻尿を残すもの
排尿障害(閉尿 等)を残すもの |
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ぼうこう君 膀胱は都合のよい時まで尿をためておく貯水池の役目を果たしています。通常の場合で 250ml 、牛乳瓶 1 本分より少し多目の量を貯蔵可能です。 |
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9 級 |
残尿が 100ml 以上のもの、 |
11 級 |
残尿が 50 ~ 100ml 未満であるもの、 尿道狭窄のため、糸状ブジーを必要とするもの、 |
14 級 |
尿道狭窄のため、糸状ブジー第 20 番がかろうじて通り、時々拡張術を行う必要のあるもの、 |
頻尿を残すもの |
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11 級 |
膀胱の畜尿量は 200 ~ 300ml あり、 150ml で軽い尿意、 250ml で強い尿意が起こります。 排尿は、 1 日 1500ml 、昼間の覚醒時で 4 、 5 回、夜間の就寝時で 2 回、合計 7 回の排尿が成人の平均と言われています。 対して、昼間の覚醒時で 8 回以上、夜間の就寝時で 3 回以上の排尿を頻尿と説明します。 |
労災の基準に準じれば、上の表を自賠責の基準と考えます。これより深くは経験則、自賠責の等級認定の思考を以下、推量します。
カテーテルでの導尿は経験上、14級か11級の選択となります。ウロフロメトリーと残尿測定の数値が明確(つまり、異常)であれば11級、数値が正常ながら受傷初期から症状の一貫性があれば14級の可能性を残します。
やはり、11級以上は閉尿・頻尿共に、ウロダイナミクス検査が望まれます。特に器質的損傷のない、神経因性の症状であれば、緻密な検査・立証を必要とします。そして、閉尿の場合で仮に残尿量が100ml以上を満たしても、脊髄損傷等、排尿障害に疑いのない傷病名でなければ、9級は相当に厳しいチャレンジとなります。
【2】尿失禁を残すもの
尿失禁を残すもの |
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7 級 |
持続性尿失禁を残すもの、 切迫性尿失禁または腹圧性尿失禁のため、終日パッド等を装着し、かつ、パッドをしばしば交換するもの、 |
9 級 |
切迫性尿失禁または腹圧性尿失禁のため、常時パッド等を装着しているが、パッドの交換を要しないもの、 |
11 級 |
切迫性尿失禁または腹圧性尿失禁のため、パッドの装着は要しないが下着が少し濡れるもの、 |
尿漏の等級判別は検査数値で区切れません。尿失禁の原因・類別を検査し、専門医の診断を乞います。そして、日常での頻度、尿パットの使用状況を説明します。これは、前日に解説しました【4】排尿日誌を備えると良いです。
それでも、閉尿・頻尿に同じく、まず、事故受傷との因果関係を、検査と専門医の診断で明らかにする必要があります。器質的損傷の無い打撲・捻挫で神経因性の尿失禁となった場合、9級以上の高度なものは、認定例をみたことがありません。やはり、審査側は、脊髄損傷や膀胱・尿路への直接の損傷を想定していると思います。