太ももの大腿骨の膝関節に接する部分です。呼び方も「大腿骨遠位端骨折」、「大腿骨顆部骨折」といくつかあります。膝から路面に転倒したり、自動車運転中の場合、衝突でダッシュボードに膝を強打したときに受傷します。
多くは膝周辺の靭帯や半月板、脛骨にも損傷が及び、膝窩動脈損傷を伴う深刻なケースもあります。後遺障害としては変形癒合、人工関節、短縮障害、可動域制限で等級が認められます。

<治療>

基本通り、元通りに整復するにはプレート固定術がとられます。骨幹部(骨の両端を除いた幹の部分)の骨折と違い、ボルトの数や手間、つまり医師の技術が必要です。ひどい整復がなされると、当然、後遺障害も重くなります。
定期的にXPで癒合具合を確認してくださる医師はいい先生です。癒合の監視と運動療法が大事で、とくにCPM※を用いて膝部の屈伸運動訓練を行います。
この術後の処置が良好に進まないと、関節拘縮を起こします。これは文字通り関節が固まった状態で、可動域制限はもちろん、ひどいと足の長さが変わってしまいます。

   
XP (レントゲン)    固定方法も折れ方でいろいろ・・

※ CPM・・・関節可動域改善の回復訓練を促進する機械で、手術後に固まってしまった関節を改善します。「膝関節屈伸運動装置」、「連続関節可動運動機」と訳されます。(写真があるとよかったのですが・・捜索中)

 

<後遺障害>

以下の項目ですが、同部位の場合、一番重い等級が認定されます。痛み、しびれ等の自覚症状も含みます。

〇 変形癒合    12級8号

まずXPで視認、その他数値的な判定は以下の通りです

1、変形・・・ 15°以上の屈曲変形。骨が前後に曲がってくっついた状態。

2、骨の欠損 ・・・ 欠損の大きさに関係ないようですが、程度によって短縮障害につながります。また骨頭部の再生不能の場合、人工関節の置換術となります。

3、回旋変形 ・・・ 外旋で45°、内旋で30°。骨が左右にねじれてくっついた状態。

4、直径の減少・・・ 直径が3分の1に細くなった?状態。しかし骨頭部では考慮しません。

 

〇 人工関節

1、人工骨頭、人工関節の置換術を施したもの。   10級10号
2、それでも関節の可動域に2分の1以下の制限が残ったもの。  8級6号 

 

 近年、素材も技術も向上中、病院も手術に積極的です。

 

 

 

〇 短縮障害

レントゲンのロールフィルムを用いて計ります。これはレントゲンのパノラマ写真です。

1、5cm以上短縮    8級5号

2、3cm以上短縮   10級8号

3、1cm以上短縮   13級8号


昨年13級の認定受けた例では「関節拘縮」の診断名と計測値だけで、ロールフィルムまでは提出しませんでした。
しかし10級以上となると、証拠画像として重きをなすはずです。

 

 

〇 可動域制限

1、健側(ケガしていない方の膝、正常値130°)に対して、ほぼ動かなくなった(15°以下)場合

 1下肢の3大関節の1関節の用を廃したもの=8級7号

2、同じく、2分の1以下に制限されたもの(65°以下)

   1下肢の3大関節の1関節の機能に著しい障害を残すもの=10級11号

3、同じく、4分の3以下に制限されたもの(100°以下)

 1下肢の3大関節の1関節の機能に障害を残すもの=12級7号