膝シリーズ再開です。 今日から膝周辺骨折に及びます。
膝を構成する骨ですが・・・まず膝蓋骨、膝のお皿です。続いて太ももの大腿骨、この膝関節部分を大腿骨遠位端と呼びます。脛骨については逆に近位端となります。またジョイント部を外顆・内顆とさらに細かく分類します。
■ 膝蓋骨(しつがいこつ)骨折
よく「膝のお皿が割れた!」と聞きます。
しかし割れ方にもいくつかあり、その結果、治療と後遺障害の行方が分かれます。
膝蓋骨の骨折形態
横骨折 縦骨折 上極骨折 下極骨折 粉砕骨折
このような骨折分類を頭に入れておけば、医師ともスムーズに話ができます。
<治療>
1、転位の場合
転位とは折れた骨が元通りにくっつかず、ずれたままくっついてしまうことです。そうなることを防ぐためには、鋼線締結手術が必要です。
キルシュナー鋼線とよばれる、針金で固定している様子が左の写真からわかります。
2、非転位の場合
円筒形ギブス固定を行います。そのまま保存療法がとられます。
<後遺障害>
痛みの残存はあっても、転位なく整合すれば通常、後遺障害は残りません。転位が残存すれば、膝の可動域制限は説明がつきます。
1、健側(ケガしていない方の膝、正常値130°)に対して、ほぼ動かなくなった(15°以下)場合
1下肢の3大関節の1関節の用を廃したもの=8級7号
2、同じく、2分の1以下に制限されたもの(65°以下)
1下肢の3大関節の1関節の機能に著しい障害を残すもの=10級11号
3、同じく、4分の3以下に制限されたもの(100°以下)
1下肢の3大関節の1関節の機能に障害を残すもの=12級7号
最近調査事務所の認定において、変形癒合が伴わない可動域制限に厳しい目を感じます。「骨が綺麗にくっつけば、膝が曲がらなくなる事はないでしょう・・」との解釈でしょうか。