過去の事故相談から~
Q、犬を事故で死傷させてしまいました。
先日、自動車走行中、犬を跳ねてしまいました。即、動物病院に搬送しましたが、手当のかいもなく亡くなってしまいました。当然ながら飼い主様の悲しみは大変なものでした。できるだけの償いをしたく、加入していた保険会社と相談しました。すると「対物賠償で時価相当額の弁償ができます」との回答。しかし飼い主様にとっては大切な家族です。「物」として扱い、お金で賠償とは・・・。
予想通り、飼い主様は「お金なんていらない」と言っています。どうしたらよいでしょうか。
A、これは答えのないデリケートな問題です。
まず、保険会社の回答は正しいです。民法上、ペットなどの生き物も所有「物」とみなします。
そして損害賠償の原則から実損填補となります。この場合、時価額相当の金銭弁償です。
しかし法律通りペットショップで金額を調べて提示するなど、被害者の神経を逆なでする行為でしかありません。では相手が「いらない」、つまり損害賠償請求権を放棄したのだから、そのままでいい、も心無い対応です。被害者の心を癒すこと、また加害者の贖罪の心をも汲み取った解決が望ましいと思います。
具体的に私が指示した方策は・・
1、ワンちゃんの葬儀、お墓について全面的に支払いをさせて頂くこと。
葬儀費用の領収書をとり、あとで自動車保険の対物賠償から請求をします。
2、葬儀に参列し、献花とお線香の御許可を頂く。
香典支払い分は保険請求しません。
ついに替わりの犬の買替え代金について触れませんでした。
しかし、これで被害者、加害者とも納得の解決に至りました。保険会社支払い担当者も丁寧に協力して下さりました。
このように両者の心の機微を感じながら進めることが大事です。杓子定規な法律論ではダメなのです。