最終更新:2019.11.26
TFCC損傷による後遺障害を立証し労災12級6号を獲得
この被害者は自賠責の後遺障等級申請をしたが非該当。その後、異議申し立てをするが無残に非該当。2度も非該当を突き付けられた事案だった。
しかし秋葉事務所は自賠責に申請する段階で非該当を予測し、
労災で後遺症認定を獲得する為の準備をしていた。
非該当の理由は【問題点】にて記載しているが、どんなに酷い怪我をしていても、
プロセスが崩れると立証できずに、審査には落ちてしまう。
崩れたプロセスを立て直すのは簡単ではないが、なんとか労災での後遺症12級認定を勝ち取った事案紹介です。
仮に年収500万円だった人が労災の12級を獲得したら、貰える保険金額は約250万程になる。
保険金だけで250万円程である。
ちろんその後交通事故慰謝料を弁護士が増額交渉して、交通事故慰謝料の数百万が足されて解決です。
数百万円がかかった立証。普通の弁護士には到底不可能と断言できます。
【事案】
自動車で通勤中、交差点で後方よりの左折車の巻き込みで受傷、膝と手首を傷めた。後にTFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)が判明した。
【問題点】
受傷後は膝の治療が中心となり、手関節の治療及び診断が遅れた。後に専門医から手関節の手術の示唆を受けるが、保存療法を選択した。治療経過から自賠責は因果関係を厳しく見てくると覚悟した。
つまり、事故直後から手関節の治療をしていないから、
その手首、本当に事故が原因??
と疑われてしまうのだ。
そこで、その疑いを晴らしTFCC損傷の後遺症を立証するための証拠集めに徹した。
【立証ポイント】
基本通り、MRI画像はもちろん、専用の診断書に詳細な診断を記載していただいた。
しかし案の定、確定診断の遅れから「非該当」。
カルテ開示を行い、受傷直後からの症状の訴えを拾い集めたが、決定打はなく、異議申立てでも否定された。
ある程度予想できていたので、労災での後遺症認定の準備を虎視眈々と進めていた。
自賠責「事故の影響ではありません」
秋葉事務所「仮に事故受傷以前から損傷が進行していたとして、それは業務の影響である。」
考えを自賠責から労働災害へ。即座にシフトチェンジさせ、なんとか労災後遺症12級を獲得した。
自賠責は悔しいながら断念、傷害慰謝料の増額交渉を連携弁護士に委ねた。後遺障害については労災12級6号で補償を受けて決着とした。
(平成27年11月)
TFCC損傷とは
手首を構成するのがTFCCです。
三角繊維軟骨複合体。
軟骨のあつまりなので、一度損傷すると、軟骨と言うのは治りが悪いです。
理由は簡単で、軟骨には血液があまり通っていないから、修復が出来ないのです。
なので今回も、後遺症と言う形で等級を獲得しました。
このTFCCに損傷が起きると、手首を動かすのが困難になります。
特に、小指側に手首を曲げる事は痛くてできません。
ドアノブを回すような動きもできません。
とにかく痛いです。
なので初期の痛みがあるうちは、注射での治療がメインとなります。
ステロイドを注射で打つと、少しの間痛みが治まります。
それを繰り返すことで炎症期が過ぎます。
しかしその後もしばらく痛みは続きますよ。
手術をしても良くなる保証はないですし、多くの方が保存療法を選びます。
だんだんと動かない関節との付き合い方がわかってきて、
痛みが出ないよう自己流のリハビリなどが発達していく模様です。