もう、普遍的な事となりました、他事務所からの契約切替えについて、意見します。

 せっかく弁護士他に依頼をしながら、その後の対応に不安・不満をもった被害者さんからの相談は、相談会参加者でも25%ほどまでに登ります。他の弁護士先生からも「今月は○○法律事務所から2件、△△法律事務所から1件、□□法律事務所から3件・・」と他事務所からの契約切替えを定期報告のように聞きます。

 確かに依頼をしてみた結果、「合わないな」と思って解任することもそれなりにあるでしょう。しかし、こと交通事故に関しては日常茶飯事、本当に多すぎるのです。それほど被害者さんは軽薄に契約しているのでしょうか。しっかり説明を受けて契約したはずです。また、依頼を受けた事務所も誠実に業務を遂行しているはずです。なぜ、交通事故に限って依頼先の変更が常態化してしまったのでしょうか?
  
 交通事故で弁護士が活躍するのは、当然ですが賠償交渉です。そして、その前段階である諸手続き、損害の立証作業も腕の見せ所です。しかし、現実は前段階の事務をやらない、できない事務所が圧倒的多数です。賠償交渉ですが、裁判などは3%に満たない珍事であって、大多数は赤本などの基準表を見て計算し、相手保険会社と賠償金の計算書の交換をするだけで交渉が進みます。そうです、まるでクレサラ業務と同じ、すべてとは言いませんが楽~な作業なのです。近年、クレサラ事務所が交通事故に大挙参入してきたことと無縁ではないでしょう。

 対して、賠償交渉以前の事務では、ある程度、保険会社との折衝はするでしょうが、健保切替えに付随する第三者行為の書類作成、労災の手続き、身体障害者手帳の申請などすべて被害者に任せ、やってくれません。場当たり的なアドバイスはしますが、多くの弁護士は「それは窓口に聞いて進めて下さい」と丸投げです。さらに、後遺障害の立証も、被害者さんがすべて自分で医師と折衝し、検査を手配し、書類・画像を集め、争いとなれば自ら鑑定先を探し、異議申立て手続き・・頼るべき弁護士は等級が確定するまで待っているだけです。

 結局、このような事務所を選んだ被害者は、様々な対処に困って依頼したものの、全部自分で動かなければならないのです。

 弁護士たるもの「わからない」、「できない」、のであれば派手なホームページで「交通事故に強い」「後遺症も任せて」等、あたかもできるように書いてはいけないと思います。「当事務所は賠償交渉のみしかやりません」と書かなければ、誇大広告となるはずです。それでも生まれて初めての交通事故である被害者は比較しようもなく、宣伝だけで弁護士を選びがちです。
 
 さて、それだけのことで済めば、どの商売でもよくある話です。交通事故の場合はそれだけでは済みません。普通、依頼を受けながら解任される弁護士事務所は、売り上げが逃げますのでそれなりに困るはずです。また、依頼者に問題がある場合を除き、解任自体を反省、恥じるべきです。しかし、弁護士費用特約(以後、弁特)の存在がそれらを打ち消します。

 契約を受けて、その依頼者の契約している保険会社に着手金を請求・受領すれば売上は達成されます。解約によって成功報酬はなくなるにせよ、ほぼ何もしないで、10~50万円を手に出来ます。そして、多くは(着手金はいかなる理由でも返還しない)契約を盾に着手金を返しません。やってくれた仕事と言えば、契約時の面談に、後は電話数本程度・・それでも頑として着手金を返しません。そもそも着手金の性質は手付け、経費の前払いとの理解です。業務量に見合った金額以外は返還するのが常識的な態度でしょう。しかし、依頼者も弁特からの支出ゆえ、自らの懐が痛んでいません。苦情もなくそのままに・・。

 こうして、依頼者に弁特があれば何でもかんでもとりあえず契約に持ち込み、着手金GET、その後何もしないで解約されても「あぁ、そうですか」で平然と応じます。弁特が無い場合は正式契約せず、相談を継続(実質、何もしない)して等級がでるまで様子見を決め込みます。この”相談状態”の宙ぶらりんな対応に不安を感じた(セカンドオピニオンとしての)2重相談者も非常に多い。残念ながら、少なからずの事務所がこの体たらくで、これが「異常に解約が多い」ことの温床になっていると思うのです。

 毎月何十件も受任している事務所は一定割合の解約もこのように利益にしています。弁特のおかげで、着手金稼ぎのビジネスが成立です。商売上手?ではなく、悪質とさえ思えてきます。保険会社も苦々しく思っており、いくつかの事務所に苦情を申し入れています。LAC(日弁連の)が着手金を「10万円まで!」に固執している理由は、この着手金稼ぎビジネスを防ぐためでもあるのです。
 
 最後に最近の相談者さまを代弁して、
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「それが、お前らの、やり方かぁー!」