私達は依頼者に対して様々なアドバイスをしております。
その依頼者にとって、最も良い交通事故の解決方法は何か、常にそのことを考え、悩み、実行に移させていただいております。
依頼者の相談の中で、中心となるのが、後遺障害の申請に関する相談です。
この点、私達はすべての依頼者に対して後遺障害の申請を勧めているわけではございません。後遺障害が残るような依頼者とそうでない依頼者とでアドバイスの内容は異なります。 つまり、後遺障害の申請は、後遺障害が認められるような方にのみ申請を勧めているのです。
その為の重要な判断材料として、受傷機転(交通事故の受傷状況)があげられます。
ここで、皆様に質問をしてみたいと思います。
ある日、A、Bはそれぞれ違う場所で追突事故に遭いました。 二人とも、事故直後から痺れや痛みがあり、整形外科で真面目にリハビリをしており、MRI検査も受けております(本件では二人とも頸椎捻挫で、画像所見や傷痕は特になかったものとします)。
二人とも6カ月経過しても症状が変わらず、後遺障害の申請をしました。
皆様に質問です。
Aは高速道路上、最後尾にて渋滞待ちをしているところで追突に遭ったのに対し、Bはスーパーの地下駐車場で追突に遭いました。 どちらの追突の衝撃が大きいと思いますか。
この場合、Aの追突の方が大きいように見えます。 何故なら、高速道路では一般道よりもスピードを出しますので、追突された際の衝撃は大きいといえます。そのような事故で痛みや痺れが出てきたと主張しても、信じられすいといえます。
これに対して、Bの追突の場合、スピードがあまり出ない狭い駐車場、しかも、それが地下にあった場合、暗く、狭い場所が多いことから、運転する際も一般道に比べて非常に減速した状態での追突といえます。 Aの高速道路上の衝撃と比べると、衝撃は小さいといえます。
あまりにも常識的すぎて、つまらないかもしれませんが、相談会に出席される方の中には、Bのような場合でも症状が重いと相談される方が少なくありません。
A、B二人は、それぞれ「痛い、痺れる」と言っており、それぞれが医者に相談した場合、診断書にその旨が記載されます。 しかし、事故の衝撃が大きければ、症状の重さにも差が出ます。 この点、診断書の記載内容は、「疼痛、痺れ」のみであり、A、B共に同じ場合であることが通常です。また、痛み等の重さを測る装置等も存在しません。
そこで、皆様が痛みを判断するには、骨が折れていないか等の画像所見、傷痕等、外見上明らかな場合であればそれで考え、そういうものがなければ、事故の状況で考えるはずです。 これは、保険会社(自賠責・調査事務所)も例外ではありません。 特に、多くのムチウチの場合、画像所見が出ないことも少なくなく、その場合、事故状況はどのようなものであったのかが重要な判断材料となるといえます。
結論として、軽微な事故であれば、例え、痛みやしびれが出たとしても、後遺障害が認められない可能性があります。 例えば、自動車のバンパーを交換するレベルの「物損事故」では、後遺障害が認められにくいといえます。
但し、例外はありますので、これがすべてというわけではありません。
上記したBのような追突でも、地下駐車場が通常の駐車場よりも広かったり、また、加害者がアクセルとブレーキを踏み間違えて急加速して衝撃が大きかったり、依頼者が歩行中であるのに対し、加害者の自動車が大型のジープで、かつ、日本なのにどういうわけかグリルガードが装着されていた状態で追突されることも全くないわけではありません。
要は、ケースバイケースで、保険会社(自賠責・調査事務所)が信用するか否かなのです。