3年前に「隠れ特約」として記事にした「年齢条件不適用特約」を再度取り上げます。この特約は(例)から説明しないといけません。

(例)「35歳未満不担保」のお父さんが契約していた自動車に、18歳になって免許を取った息子さんが年齢条件の変更をしないまま運転、人身事故を起こしました。この場合は契約ルール上、年齢条件違反となり、保険は使えません。しかし、この車に被害に遭った被害者にとって保険の契約違反など関係なく、補償が得られず困ってしまいます。そこで、一定の条件下、保険会社が対人・対物について支払いをOKとするものです。

 過去記事 ⇒ 「隠れ特約」

c_y_170 この記事を書いたのは3年前のゴールデンウィークでした。この特約、相変わらず周知されていません。元々、掟破りの特約であるゆえ、保険会社の隠しておきたい心情も理解できます。しかし、実務上、被害者が強く主張しないと黙っているような対応がみられるのです。いくら表面化したくなくても「バレるまでしらばっくれる」姿勢に非難は避けられないでしょう。そもそも被害者救済の措置ですから。
 

 この特約の解説前に、年齢条件について復習しましょう。

○ 全年齢担保    = 免許があれば何歳でもOK

○ 21歳未満不担保 = 21歳以上が保険の対象
    ・・・ 18~20歳の運転事故は保険が出ない

○ 26歳未満不担保 = 26歳以上が保険の対象
    ・・・ 18~25歳の運転事故は保険が出ない

○ 30歳未満不担保 = 30歳以上が保険の対象
   ・・・ 18~29歳の運転事故は保険が出ない

○ 35歳未満不担保 = 35歳以上が保険の対象
    ・・・ 18~34歳の運転事故は保険が出ない

 
 世代別で事故数を比べると圧倒的に若年層の事故が多くなります。そこで、年齢が上がる、つまり事故率が下がる年齢ごとに段階的に割引を適用しています。

 自動車保険は掛金に差を付ける必要があります。事故率の低いお父さん世代(35歳以上)の掛金に対し、18歳の息子さん(全年齢)の掛金は2倍取らないと保険会社の採算が合わないからです。これが保険の「ロス(危険)の公平な分担」です。

 このように自動車保険は年齢ごとに割引を設定して契約します。契約はお客様と保険会社の間の約束です。破ったら保険は出ません。これが原則です。その掟を破る特約ですから約款にひっそりと忍ばせるようになります。

 つづく