先日の内容から弁護士に依頼した場合の損得勘定をしてみましょう。
訴えてやる!
① 治療の継続による治療費請求
弁護士の交渉により1か月通院が伸びました。治療費は病院に払われるものですので賠償金として加算しません。
しかし延長の条件として健康保険を使った場合は別です。自己負担額(0~30%)がありますのでその分は獲得した賠償金と言えます。
(計算例)
一回のリハビリの点数を200点としますと、健保治療の場合1点=10円ですので2000円、そこから3割負担の国保(自営業)なら600円が自己負担です。その600円×1か月の実治療日数が15日なら、600円×15日=9000円をゲットしたことになります。これがこの弁護士の交渉による成果といえます。
② 休業損害の証明
この自営業者さんは保険会社の最低補償である5700円/1日から7000円へアップできました。
(計算例)
受傷から3か月間の実治療日数45日までが認められたとして、7000円-5700円=1300円×45日=58500円の増額を弁護士の交渉により、勝ち取ったことになります。
③ 慰謝料の妥当性
これは先日の表を見れば一目瞭然、弁護士が介入しなければ認めてくれなかった赤本基準をしぶしぶ保険会社は払います。
(計算例)
3ヵ月の保険会社慰謝料378000円が530000円に、さらに治療期間の延長により4か月=670000円。
670000-378000円=292000円です。
もし治療の延長がダメだったとしても152000円の増額です。
軽傷の場合、弁護士に依頼した方が良いのか否か?
今回のシミュレーションではやっと受任してくれる弁護士を見つけ、その交渉により、① 治療費で9000円、② 休業損害で58500円、③ 慰謝料で292000円の合計359500円の増額を勝ち取りました。
さて問題はここから弁護士に報酬を支払った結果の費用対効果です。
この弁護士は着手金を20万とし、成功報酬を20%で契約しました。
(計算例)
着手金 = 200000円
成功報酬 359500×20%=71900円
合計 =271900円 + 消費税8% = 293652 円
つまり359500円の増額の為に293652円がかかったことになります。経済的利益は65848円です。
しかし治療の延長がダメだった場合は・・・
着手金 = 200000円
成功報酬 210500×20%=42100円
合計 =242100円 + 消費税8% = 261468 円
つまり210500円の増額の為に261468円がかかったことになります。費用倒れ決定です。弁護士報酬を総額20万円以下にディスカウントしていただかないと成立しない契約なのです。
このような試算から、弁護士も3か月の通院程度の打撲・捻挫ではなかなか引き受けてくれまん。引き受けてくれる弁護士を探すのも一苦労と思います。
しかし金銭上の損得勘定だけではない効果も当然ながらあります。ケガで弱っている状態で、保険会社に治療の延長や休業損害の証明や慰謝料の交渉をするのはそりゃもう大変苦痛なはずです。それを代理人が間に入ってくれ、保険会社との煩わしいやり取りから解放される効果も捨てきれません。
つづく