検査結果は芳しいものではありませんでした。
 

 膝に重度の障害を負いながら、12級13号の判断に留まっている被害者です。傷病名はプラトー骨折と前十字靭帯、半月板の損傷です。膝の複合損傷ではお決まりのコースと言えます。特に脛骨の骨融合に転位があると判断しています。これが諸症状の原因とにらんでいますが、12級7号の基準以下の可動域制限のみが記載された診断書で12級13号が認定されているのみです。

 可動域制限ではなく、動揺性を主張すべくストレスXP撮影と装具の使用状況を追補した診断書で異議申立てを行いました。結果として12級7号としました。等級は上がりませんでしたが13号と7号では大違い、逸失利益の大幅な増額を主張しやすくなりました。後の賠償交渉を考慮し、号違いの異議申立ても稀に行うことがあるのです。

 しかし間違った障害系統を正すことには成功しましたが、全体的な症状を鑑みるに12級では軽すぎると思っています。神経症状ではなく、可動域制限的ではなく、動揺性だけではなく・・・残るは短縮障害か。前日の日誌にあるように下肢帳の正確な計測に最後の望みを託しました。しかし1㎝の差は計測できず・・・。

 自賠責保険や労災はある一定の数値の基準をもって判断します。何㎝以上か以下か?数字によって有利な等級となるか不利な等級となるか運命が決まります。本件は可動域制限も動揺性も下肢長差もすべて中途半端な数値なのです。こように計測値が及ばないが故、該当する等級に納得がいかないことも多々起きるのです。あとは日常生活の困窮と装具の使用状況から賠償交渉にて決着をつけることになります。数値・基準に満たない個別具体的な事情は裁判等で争うしかないのです。それでも事前に自賠責保険の等級認定で立証するに越したことはありません。

 主治医にも親身にご協力をいただきながら残念です。全力を尽くしましたが、あとは弁護士に引き継くことになります。


 東海道は富士山が綺麗でした。