脚の骨折、腕の骨折、骨折の形態も、横骨折、斜骨折、粉砕骨折、剥離骨折、亀裂骨折、挫滅骨折、いろいろ経験してきましたが、四肢すべて骨折は初めてです。右上肢は上腕骨幹部骨折、左上肢は橈骨遠位端、右下肢は大腿骨骨幹部、左下肢は近位端、そして年齢は80代。これではもう歩けません。痛みはもちろん日常生活の不自由は深刻です。年齢から回復は望むべくもなく、このまま衰弱していく・・・そのような危惧を家族も医師も抱いていたはずです。
受傷から一年が過ぎ、症状固定を迎えました。歩行不能ですが車イスでなんとか自力移動できます。そして両腕は事故前の筋力が戻りました。年齢からすると驚異的な回復です。関節可動域制限も残りましたが、12級レベルまで戻っています。事故に遭うまで農家の畑仕事は現役でした。平素維持した体力はもちろん、若いころから我慢強く、80超えてもなお精神力を保っています。
感嘆すべきおばあちゃんです。対してむち打ちで1年もだらだら通院し、仕事に復帰しない若者もいます。被害者の務めはなにより回復努力と日常生活への復帰です。治療をする医師や補償問題に取り組む私達はそのお手伝いをしているに過ぎません。被害者には事故に負けずに頑張って欲しいのです。