ついで罰金と反則金について法理論からも解説します。これは法律に興味のある方だけ読んで下さい。(注)理屈っぽくて、つまらない内容です。
罰金は刑罰、免許停止や反則金は行政罰と区別しました。さらに罰金は単なる罰金と科料があり、また行政処分である過料も三種に区別されます。
軽微な犯罪で、厳密な刑事罰の適用がなじまないケースがあります。この重い刑罰を科すことが適当ではない犯罪に科料が適用されます。
科料
科料が適用される犯罪で代表的なものを挙げます。
公然わいせつ罪(刑法174条)
単純賭博罪(185条)
暴行罪(208条)
侮辱罪(231条)
器物損壊罪(261条) その他 軽犯罪法違反など
まず「科料」は刑罰の一種で、罰金と科料との違いは金額の相違です。罰金は1万円以上と規定され(刑法第15条/裁判官の判断で減軽し、1万円未満もあり)、科料は、1000円以上1万円未満です(刑法第17条/1000円が下限です)。1万円以下ですから、比較的軽い罪の罰則ということになります。
しかし1万円未満の軽い科料でも、納付しなければ、「労役場留置」といって、刑務所に収監されて、1日いくらと定められた額で払い終わるまで働かされます。例えば判決主文に罰金8000円(1日2000円)とあり、それを納付しなければ、4日間刑務所で労務に服することになります。
比較的悪質度が高くない犯罪に対する財産刑が科料であれば、過料と同じようなものでしょうか?
「科料」と「過料」の違い
両方とも読みは「かりょう」です。区別する意味で、「科料」は「とがりょう」、「過料」は「あやまちりょう」とも読みます。両者ともにお金を払うことですから、似たようなものに思えますが、法律構成上は異なったものです。
一般に、「科料」は「刑事罰」で刑事処分、「過料」は「秩序罰」で行政処分といわれています。実務においては、反社会性の強いものには、犯罪として刑事手続を経て法の下に科料の処分となり、逆に反社会性の弱いものは、義務の履行を促すものとして行政庁から過料を科すという傾向にあります。交通反則金はまさに秩序罰の性質を帯びます。
問題は科料、過料の金額が刑罰の罰金に比べて低いため、刑法に規定されている犯罪に比べ抑止力はないといわれていることです。さらに過料は徴収コスト上、必ずしも厳格な執行は期待できないようです。実際、駐車違反の反則金を払わず、そのまま何もない・・ことも珍しくありません。もっとも悪質な未支払い常習者には刑事手続きをとることもあります。
つづく