小説のタイトルにもなりそうな題目ですが、交通事故の解決で大変に含蓄のある賠償交渉の話です。もちろん、行政書士は賠償交渉をしませんので、連携弁護士の報告を交え、シリーズでまとめました。    例えば、鎖骨の変形で12級5号が認定された案件で、その逸失利益を請求する場合、相手損保は「鎖骨の変形から、とくに将来の収入が減りませんので、逸失利益は0円ではないですか」との回答になります。確かに、被害者さんのその後の仕事や日常生活で、大きな障害にならないことが普通です。判例でも、とくに事情が無ければ、逸失利益0円がスタンダードなのです。  

 逸失利益・・・障害による以後の労働能力低下を金銭化したもの

   そこは、交通事故に秀でた弁護士は慣れたもので、「痛みや不具合の残存があり、自賠責保険の認定理由でも、それら症状を含むとされています。したがって、逸失利益は〇年に及びます」と反論、いくばくかを獲得するわけです。

 しかし、小規模損保社の担当者は、知ってか知らずか、最初から逸失利益を認めて、「12級だから逸失利益は10年ですね」と、相対交渉でくれたことがありました。骨変形で逸失利益が生じない原則を知らなかったのか、12級ならすべて10年、と勘違いしているのか・・12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」なら、確かに10年が相場です。

 東京海上日動さんであれば、鎖骨のみならず腰椎圧迫骨折でも、その逸失利益は0円回答です。医学的な資料まで用意して、否定の論陣を張ってきます。損保担当者のレベルの違いを感じるところです。    被害者の味方である弁護士さんも、レベルの差は歴然です。一流~三流で、以下のような差になります。   三流:12級が取れてよかった! 逸失利益を原則通り67歳まで計算して請求も、相手担当者の反撃にあい・・・今度は依頼者に対して、「骨変形での逸失利益は裁判でも認められないので・・慰謝料は増額させますが・・ゴニョゴニョ」とトーンダウン、依頼者に減額の説得をすることになります。

 これも弁護士選びの失敗例ですが、最初から原則通り逸失利益は取れない事が正しいと、まったく請求してくれない先生がおりました。交通事故の知識は豊富で判例にも詳しいのですが・・法律やルールに従順過ぎるのです。依頼者にも初めから「骨変形での逸失利益は無理です」とピシャリ。相手担当者の提示を待つことはしません。本来、民事上の示談とは、(公序良俗に反しない限り)双方の合意があれば、どんな金額・条件でも問題ありません。それが法律や原則に沿わないものであっても、です。杓子定規を絵に描いたような先生でした。    二流:骨変形での逸失利益獲得の困難さを知っているので、後遺障害診断書の自覚症状に、「痛みや不具合」を記載させ、自賠責保険にもそれを含めた認定であることを認定票に明記させます。変形だけではない、障害の困窮点をしっかり把握し、「神経症状も含んでいる」と、逸失利益の根拠を示して請求します。   一流:さらに上級者は、相手損保(と担当者)が甘いと察すれば、最初からしれっと満額の逸失利益を請求します。前述のように、勉強不足から払ってくる担当者もいるのです。まさに、原則を知りながら、憎いまでに臨機応変な請求をするのです。  秋葉事務所の連携弁護士達も、お互い事例研究や情報交換に余念なく、「原則を知りながら、しれっと」を多用しています。   

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【事案】

信号待ち停止中、後続車に追突され、負傷。直後から頚部痛、左手の痺れ等強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

ご連絡を頂いたときには事故から既に1年4ヶ月が経過していたが、相手保険会社が打ち切ることを忘れていたらしく、中途半端に回復が進んでいた。受傷機転は軽微だったが、通院回数がものすごいことになっていたため、ギリギリ14級認定はされるだろうと思いきや、2週間で非該当通知が届いた。   【立証ポイント】

症状固定後もリハビリを継続していたこともあり、初診時から直近時までも推移の書類を医師に依頼し、ご協力いただくことができた。しかし、通院期間が長すぎた弊害なのか「不変」に〇をしてはもらえず、全ての項目において「軽減」との記載しか頂けなかった。

それでも、症状の一貫性を取り繕い、非該当通知到着から1ヶ月も経たないうちに再申請したところ、1ヶ月も経たずに14級9号が認定された。今回の事案は通院先が1箇所しかなく、医療照会をするまでもないため、審査に時間がかからなかったのかもしれない。

(令和6年12月)    

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【事案】

自動車で交差点を直進中、信号無視で侵入してきた自動車に衝突され、負傷。直後から頚部痛腰痛等、強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

乗っていた自動車は自走不能でレッカー対応となったほどの衝撃だったにもかかわらず、なぜか保険会社が4ヶ月ちょうどで治療費を打ち切ってきた。また、主治医もそこまで重い症状だと思っていなかった。   【立証ポイント】

打ち切られてからは健康保険を使って継続することとなり、通院頻度やMRI検査の手配等、遠隔でサポートした。医師面談にて、主治医に後遺障害診断書の記載を依頼した際、非常に理解ある医師だったため、記載内容についても親身になってくださり、シンプルで好感度の高い診断書が完成した。

本件は治療費がそこまでかさんでいなかったため、後遺障害に加え、傷害部分についても請求、申請から1ヶ月も経たないうちに、14級の75万円と傷害部分の保険金が入金された。

通常、保険会社が半年間の一括対応をして、無事に後遺障害認定までいくような被害事故だと思われたが、「保険会社が嫌う職業」ということが、早期打切りという対応に繋がったのではないか・・と思ってしまうような案件であった。    保険会社が嫌う職業 👉 後遺障害診断書に無駄な記載 ②   (令和6年10月)  

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【事案】

自動車で信号のない交差点を直進中、左方から走行してきた自動車に衝突される。直後から頚部痛、腰痛等、強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

半年で治療費を打ち切られていたが、症状が残存しているということで、事故治療のまま半月以上、健康保険を使って継続していた。   【立証ポイント】

弊所での面談時に、① 後遺障害診断書を依頼すること、② 症状固定日を打切り日に遡って作成する旨を説明し、日程調整後に病院同行した。患者に協力的な医師のため、過剰な診断名までつけられてしまったが、大勢に影響はないものと判断(多少の修正は施したが)し、受け取った診断書を自賠責へ提出した。

不要な診断名の影響からか審査に2ヶ月以上かかったものの、なんとか初回申請で14級9号認定がおりた。「プランニングを見誤ると非該当まっしぐら」という状況であったため、いかに「14級9号」という認定が危ういものか依頼者自身がまざまざと感じる案件となった。

  (令和7年1月)   

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